ノブキ

野蕗 キク目/キク科/ノブキ属 花期/8月中旬~11月上旬 結実期/10月~11月
学名/Adenocaulon himalaicum Edgew.

自生種稀少保護

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

丘陵地や山地の林床に生える多年草。ヤブカ(藪蚊)が大量に待ち受けていそうな薄暗い森を抜ける軽く湿っている山道沿いに多い。茂った他の野草に埋もれてしまう草地は嫌いで、開けた場所を好み、よく群生する。名は人が栽培しない野山に生えるフキの意だが、フキとはまったくの別種。ロゼット状に広がった根生葉(こんせいよう)に成人男性の手のひらくらいの大きなものがあるので、”これはいったい何物か”と人目に付くだろう。葉を見てもフキらしさは感じられまい。神奈川県内では主に相模原台地から箱根にかけて普通種。ほぼ雑草。ただし、近年は特に丹沢周辺で”増えすぎたシカ(鹿)”による食害が顕著で壊滅状態にあるらしい(神奈川新聞 平成30年(2018)9月29日「緑の戸籍簿(2) 丹沢から消えるノブキ」)。湘南・鎌倉・三浦半島でも主に丘陵地に自生あるも、なかなか見かけるものでなし。ノブ&フッキーはコンビのベテランものまね芸人。

ノブキ 愛川町/厚木市・鳶尾山道 2023/05/02

ノブキ 愛川町/厚木市・鳶尾山道 2023/05/02

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

やや明るい林床に群生するノブキ 大和市・泉の森 2023/06/13

やや明るい林床に群生するノブキ 大和市・泉の森 2023/06/13

薄暗い林床に群生するノブキ 大和市・泉の森 2023/06/13

薄暗い林床に群生するノブキ 大和市・泉の森 2023/06/13

轍(わだち)の間に生えたオオバコとノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

轍(わだち)の間に生えたオオバコとノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキのやや小振りな株 大和市・泉の森 2023/06/13

ノブキのやや小振りな株 大和市・泉の森 2023/06/13

開花中のノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

開花中のノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

開花中のノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

開花中のノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

轍の間に生えた開花中のノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

轍の間に生えた開花中のノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

開花中のノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

開花中のノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

実が出来始めたノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

実が出来始めたノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

葉は大きくて心形。葉身(ようしん)の肩の部分が張り出す傾向があり、表面は(ツワブキ(艶蕗)ほどてっかてかではないが)うっすら光沢あり。フキの葉には似ていない。シラヤマギク(白山菊)でもない、ウバユリ(姥百合)でもない、まさかのオヤマボクチ(雄山火口)でもない、人が通る道(の踏み固めすぎていないところ)に生えるのでオオバコ(大葉子)のお化けか何かか、といった感じにも思える葉がノブキである。葉柄(ようへい)に翼(よく)が目立つのも特徴。

ノブキの晩春の葉 大和市・泉の森 2023/04/19

ノブキの晩春の葉 大和市・泉の森 2023/04/19

ノブキの葉 大和市・泉の森 2023/06/13

ノブキの葉 大和市・泉の森 2023/06/13

ノブキの葉 大和市・泉の森 2023/06/13

ノブキの葉 大和市・泉の森 2023/06/13

ノブキの葉 藤沢市・遠藤笹窪谷 2022/05/30

ノブキの葉 藤沢市・遠藤笹窪谷 2022/05/30

ノブキの大きな葉 藤沢市・遠藤笹窪谷 2022/05/30

ノブキの大きな葉 藤沢市・遠藤笹窪谷 2022/05/30

ノブキの葉柄にある翼 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/05/19

ノブキの葉柄にある翼 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/05/19

ノブキの花

ひょろひょろっと背高な、ときに1mにもなる細長い茎を一本立てて花を咲かせる。直立するが、自重で上部の茎がふにゃんと曲がっているもの多い。花だけは確かにフキに似ている。

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキ 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキの総苞 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキの総苞 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

花見はヤマビル(山蛭)が多く生息している丹沢周辺から明らかに隔離した地点にある、県央地域などの森で行いたい。

ノブキの実

頭状花序全体ではなく(雌花が配置されていた)外周にだけ果実ができるので、ちょっと珍妙な姿になる。キク(菊)の仲間なので粒の一つ一つが独立した実である。その実一つも鬼の金棒のようなメキシコにあるサボテン(※偏見に基づくイメージです)のようなおもしろい形状をしている。腺毛(せんもう)があり、べたつく。動物や人間に付着して種子が運ばれる仕組み。従って、人などが通る山道沿いに生えることが多い。

ノブキの若い実 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキの若い実 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキの若い実 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキの若い実 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキの若い実 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04

ノブキの若い実 中井町/小田原市・曽我丘陵 2022/09/04


三浦アルプス、遠藤笹窪谷(少ない)

大和市・泉の森(こもれび広場、がしゃば山林間広場、泉の森ふれあいキャンプ場のくぬぎの森側、ほか各所にたいへん多い)、愛川町・八菅山いこいの森(はすげさん-、八菅神社周辺に多い、鳶尾山への道沿いに多い)、中井町/小田原市・曽我丘陵(浅間山~不動山に大量)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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フキ

ツワブキ

ニオイカントウ

シラヤマギク

ウバユリ

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オオバコ