蕗 キク目/キク科/フキ属 フキノトウの旬/1月中旬~2月中旬 花期/3月~4月 旬/5月~
食用自生種
フキ 鎌倉市植木・龍宝寺 2017/03/25
少し湿った場所に好んで生える多年草で、雌雄異株(しゆういしゅ)。乾燥した市街地では見かけないが、どこもかしこもじめじめ湿っている鎌倉や三浦半島では雑草としてそこかしこに自生している。川の畔(ほとり)にも多い。
#フキの群生 茅ヶ崎市萩園・十二天神社裏 2019/10/30
フキの葉 鎌倉市植木・龍宝寺 2017/03/25
斑入り#フキの葉 藤沢市・神光寺 2024/04/16
斑入り#フキの葉 藤沢市・神光寺 2024/04/16
斑入り#フキの葉 逗子市/鎌倉市・名越切通 2024/04/13
フキの蕾(フキノトウ)
まだ寒さ厳しい真冬の季節に地表から顔を出したフキの花の蕾をフキノトウ(蕗の薹)という。初春を代表する味覚として人気が高い。苞(ほう、花をくるんでいる葉)が開かないうちに採取し、山菜として天麩羅や味噌汁などにするとよい。ふっくらした食感のあとに口に広がる癖のない苦みがおいしいとされる大人の御馳走。
フキノトウ(雄花) 鎌倉市植木・龍宝寺 2018/02/15
フキノトウ(雄花) 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/19
2月半ば頃から苞が開いてくる。苞が開いて中身が露出した蕾はフキノトウらしいかわいらしい姿となるが、食べるには少々手遅れ。採取は2月上旬に。
フキノトウ(雄花) 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/19
フキノトウ(雄花) 鎌倉市植木・龍宝寺 2018/02/15
フキノトウ 茅ヶ崎市浜之郷 2017/02/13
フキノトウ(雄花) 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/19
フキノトウ 静岡県・熱海梅園 2017/01/29
フキは雌雄異株だが、雄花の方が苦味が若干強いという。雄花は花粉を放出してその役割を終えると早々に枯れてなくなるが、雌花はその後も伸長を続けて背高に育ち種子を作る。
フキノトウ(雄花) 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/19
冬はフキらしい形状の葉がほとんど生えていないため、フキノトウは意外と探しづらい。鋸歯がレタスのように尖っているハート形の葉が目印だ。鋸歯が尖っていない小さめの葉がたくさん密集して生えているものはフキのようでフキではない。オオアラセイトウ(大紫羅欄花)の若葉かもしれない。
なおフキノトウは、フクジュソウ(福寿草)や山地に生えるハシリドコロ(走野老)という毒草の幼芽と間違えやすいので注意したい。
オオアラセイトウの若葉 茅ケ崎里山公園 2017/02/18
フキの花
フキの雄花 横浜市緑区・新治市民の森 2018/03/15
フキの雄花 鎌倉市植木・龍宝寺 2017/03/25
フキの雄株と雌株の花の構造
フキは雌雄異株。ただし、雄株には雄花が、雌株には雌花が咲く──、という単純な話では済まない。
フキの雄株
両性花の姿をした雄花だけが咲く。小さいながらもよおく見れば星形の花弁が目に留まる花らしい形状の小花、これが雄花。花粉を作る。雌蕊は不稔で結実しない。
フキの雌株
細い毛のような糸のようなものがたくさん飛び出て見えるが、その糸状のものが雌花の花柱。ここで受粉をして種子を作る。雌花には雄蕊はない。
雌株の花序にも、雄株の両性花(雄花)のような姿をした小花がいくつか咲く。ただしこれは花粉を作らず、種子もできず、の生殖能力のない花。蜜を出して花粉運搬係の昆虫を引き寄せることに専念している。
フキの葉柄
大きく育ったフキの葉柄(ようへい、一般には茎と呼ばれることが多いか)も食用になる。食べるのは葉ではなく意外にも柄(え)の方。皮は硬いので剥くこと。その作業がちょっと面倒くさい。苦みもあるので入念に灰汁(あく)抜きをした方が美味。おひたしなどにして。キャラブキ(伽羅蕗)は、フキの葉柄を醤油などで煮込んだ料理のことで佃煮(つくだに)の一種。黒っぽい色をした香木の伽羅(きゃら)に見立てられた呼び名である。
馬堀自然教育園(門入って左)、明王院(本堂向って右奥の山裾=早め ※境内撮影禁止)、浄智寺、海蔵寺、台稲荷神社(参道階段上って右手・鳥居周辺)、龍宝寺(玉縄歴史民俗資料館と旧石井家住宅の間、本堂向って左手)、茅ケ崎里山公園(柳谷(やなぎやと)麦畑の東向かい斜面=土砂崩れをきっかけに滅失、記念ガーデンに少数、記念ガーデン北側空き地に多いが立入禁止、記念ガーデンの道路挟んで東向かい、丘の村北側に少数、 ※動植物の持ち出しは禁止されているが、フキノトウの大方は盗掘される)
大巧寺(本堂裏手)、光則寺、鎌倉市小袋谷・成福寺(JR横須賀線沿いフェンス越し)、夫婦池公園(駐車場東隅の植え込み)、#茅ヶ崎市文化資料館(玄関前)
秦野市・葛葉緑地(くすのき広場のハナノキ下に雌株、どんぐり山の小さな池周辺に雌株)
採取は土地所有者(公園であれば県や市、寺境内であれば住職、神社境内であれば宮司や役員)の許可が必要。
参考資料
『ワイド図鑑 身近な野草・雑草』 菱山忠三郎著 主婦の友社発行(2010)