烏瓜 ウリ目/ウリ科/カラスウリ属 花期/7月下旬~8月 結実期/10月下旬~12月
学名/Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim. ex Franch. & Sav.
自生種
カラスウリの実 茅ケ崎里山公園 2017/10/05
蔓性の多年草で、ウリ科なので雌雄異株(しゆういしゅ)。晩秋に付ける赤い実が有名だが、夏に咲かせる白花もまた特筆すべき妖艶なものである。林縁部や荒れ地はもちろん、農地周辺の生垣などひょんな場所にも生えている。いざ探すとなると(特に赤い実は)なかなか見つけられなかったりもするが、たくさん生えている普通種。
林縁の斜面を覆ったカラスウリ(右側上部) 平塚市・湘南平 2022/08/11
丘陵の斜面を覆った大量のカラスウリ 鎌倉広町緑地 2022/09/06
カラスウリの大株 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12
カラスウリの昼間の姿 平塚市・湘南平 2022/08/11
植込みを覆ったカラスウリ 茅ヶ崎市西久保 2019/08/20
カラスウリの葉 茅ヶ崎市西久保 2019/08/20
カラスウリの葉 鎌倉市・妙本寺 2016/09/12
カラスウリの葉 鎌倉中央公園 2017/09/29
カラスウリの葉に虫食い痕あらばおそらくはクロウリハムシ(黒瓜葉虫)の仕業だろう。
カラスウリの虫こぶ
虫こぶまたは虫癭(ちゅうえい)とは、植物に小さな虫の幼虫などが寄生することによってできる不思議なこぶ状の膨らみのこと。英語からゴール(Gall)とも。
カラスウリクキフクレフシ
カラスウリの茎が膨れて節になるもの、の意。ヘビ(蛇)のようににょろにょろ膨れてまるで実のようであるがあくまでもただの茎。茎にウリウロコタマバエの幼虫が寄生して棲みつくとこうなるらしい。
カラスウリクキフクレフシ 鎌倉市・妙本寺 2016/09/12
カラスウリクキフクレフシ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30
ヘビウリ(蛇瓜)という、ヘビのような姿の実ができるウリがあるが、もっと巨大なものである。
真夏前後の時期は刈払いや植え込みの剪定(せんてい)がよく行われるが、カラスウリは蔓性で他の植物に絡まるためもうそれだけで目障りであるとして容赦なく徹底して刈られ滅失してしまうことが多い。できるだけ人目に触れない荒れ気味の場所、人の手が加わらない放置気味の場所を探せば見つけられるのではないか。
根はイモ(芋)状に膨れて塊根(かいこん)になる。漢方薬として用いられる。
#カラスウリ(実生の一年もの)の根 茅ヶ崎市浜之郷 2022/11/12
#カラスウリの根 茅ヶ崎市浜之郷 2023/11/25
#カラスウリの根 茅ヶ崎市浜之郷 2023/12/01
#カラスウリの根 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/12
#カラスウリの根 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/23
カラスウリを除草するには、塊根を掘り起こすか、葉に除草剤を散布するとよい。茎を掴んで引っこ抜こうとすると地際でぶちっと切れてしまい、塊根の養分を使ってじきに再生してしまう。
カラスウリの花
花が咲くのは、夜間。日没(18:30頃)の頃に開き始め、見頃は19:30以降、ふつう早朝にはもうくしゃくしゃにしぼんでしまうため日中にきれいに開いた花を目にする機会はない。花火大会や盆踊りのついでにでも、懐中電灯持参のうえ観察したい。曇天の朝にはまだ閉じ切らない花が目撃されることもあるが稀。
カラスウリの雄花 寒川町・JR相模線宮山駅付近 2019/08/20 20:33
カラスウリの雄花 寒川町・JR相模線宮山駅付近 2019/08/20 20:37
カラスウリの雄花 茅ヶ崎市西久保 2019/08/20 22:27
カラスウリの雄花 茅ヶ崎市西久保 2019/08/20 22:29
カラスウリの雄花 茅ヶ崎市西久保 2019/08/20 22:32
カラスウリの雌花 寒川町・JR相模線宮山駅付近 2019/08/20 20:34
カラスウリの雌花 寒川町・JR相模線宮山駅付近 2019/08/20 20:35
カラスウリの雌花 寒川町・JR相模線宮山駅付近 2019/08/20 20:40
特に日没直後は、花の蜜を吸いにくる夜行性の巨大なスズメガ(雀蛾)の仲間が周囲をぶんぶん飛び回るので注意。人を襲うことはなく無害だが、気色悪い。
カラスウリの雄花で蜜を吸う巨大ガ 茅ヶ崎市矢畑 2011/08/12
カラスウリの朝になって閉じた雄花 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2018/08/23 05:22
カラスウリの実
青かった実は秋以降に朱色ないし赤色に熟す。たいへん鮮やかで可愛らしい姿をしているため家の飾りや絵画の題材に好まれる。
カラスウリの若い青い実 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26
カラスウリの若い青い実 葉山町上山口 2016/09/17
カラスウリの実 三浦市・毘沙門海岸 2015/11/22
カラスウリの実 茅ケ崎里山公園 2017/10/05
カラスウリの実 茅ケ崎里山公園 2017/10/05
カラスウリの実の果肉は皮の内側に薄くあるのみで、匙(さじ)などで削ぎ取るよりない。他に食べられそうな箇所はタネ周りで、メロンのと同様にべろべろした繊維の”わた”だ。”わた”はひと舐めするとほのかに甘みあり。意外といけるのではないかと期待させたが、以後無味無臭、若干青臭い。じきにかすかな苦味に襲われる。ぺっと吐き出してしまいたくなるほど不味いものではないが、二度は食べたいとは思えない。そんな感じ。食用にあらず。
カラスウリの実 鎌倉市台 2011/12/24
小豆大のタネは洗って”わた”を排除。タネは形が財福の(仏教に取り入れられた)神である大黒天が手に持つ「打出の小槌(うちでのこづち)」に似ているとして、縁起物として財布に入れておくとお金が貯まるという俗信がある。はじめは真っ黒できれいなものだが、乾燥すると月の表面にあるクレーターのようにぶつぶつに傷んで茶色く変色してしまう。残念ながら保存には向かない。
カラスウリの種子 大磯町高麗 2017/11/04
カラスウリの一日で干からびた種子 大磯町高麗 2017/11/05
カラスウリの実、荒地の内部は小さな鳥たちの安住の地になっている 三浦市・毘沙門海岸 2015/11/22
近似種キカラスウリ(黄烏瓜)は葉も花も実も異なるもの。似たような名前のものにスズメウリ(雀瓜)がある。
カラスウリの実 逗子市・池子の森自然公園 2017/10/09
カラスウリの熟しすぎて色落ちまでした末期の実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2019/02/01
翌春まで生き延びたカラスウリの実 大磯町生沢 2019/04/13
毘沙門海岸(毘沙門洞窟周辺)、逗子中学校前(南側林縁)、鎌倉広町緑地(カエル池奥)、寒川町宮山、茅ケ崎里山公園、大磯町・楊谷寺谷戸入口
逗子市・池子の森自然公園、大船フラワーセンター(8月下旬の土日 -20:30 夜間開園あるも展示なし、キカラスウリも展示なし)、寒川町・JR相模線宮山駅(ホーム西向かいフェンスおよび線路に雄花、近くで見れない)、茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス下(茅ケ崎支援学校(旧茅ケ崎養護学校)東側、雄花)
通勤の道すがら、北向きの川沿い崖道で見かけます。
日当たりが悪く暗いので、夜分に開花したのが、しぼまずに残っています。
きれいな花です。
カラスウリクキフクレフシも何度か見ました。