カミキリムシ

髪切虫 昆虫/コウチュウ目/カミキリムシ科 見頃/6月~8月

危険在来種駆除稀少保護

ゴマダラカミキリ 平塚市・花菜ガーデン 2020/06/29

#ゴマダラカミキリ 平塚市・花菜ガーデン 2020/06/29

カミキリムシ科の甲虫(こうちゅう)の総称。幼虫は白色のイモムシ(芋虫)で、木の幹の中にトンネルを掘って生活する。朽木ではなく生木を食い荒らしてしまうため、人にとっては”木を傷めてしまう害虫”という扱いになることが多い。特にバラ(薔薇)を栽培している人には悪魔のような害虫。やっと幹が太くなってきたと喜んでいたところを食い枯らされてしまう。幼虫はキツツキ(啄木鳥)の餌になる。蛹(さなぎ)を経て成虫に。成虫になると木に(まるで鉄砲で撃たれたような)丸い穴を開けて外へ出てくるため、通称テッポウムシ(鉄砲虫)。成虫は顎(あご)が発達しており、カミキリムシの名は”咬(か)み切り”から来ていると思われる。が、表記は髪の毛を切る虫と書く。(髪の毛をも切るほどに顎が強いの意ではなく)どうも髪の毛をかじって切ってしまう虫ということらしい。椿油でも塗っていた女性の長い髪の毛を夜な夜なかじっちゃっていたのだろうか、ちょっとよくわからない。じっとかしている姿で目撃されることが多いが、じつはかなり活動的ですばしっこい。そしてよく飛ぶ。捕獲すると顎(あご、牙に見えるもの)をひん剥いて「キーキー」と鳴き喚きながらじたばた大暴れすることがあるので注意が必要。長い触角の先端を摘(つま)んで持てば大丈夫だろうという考えは甘い。もし咬まれれでもしたら出血必至。生木をかじって穴を開けそこに産卵する虫なので顎は強力。脚の力も強い。

ラミーカミキリ

らみー髪切 コウチュウ目/カミキリムシ科 成虫期/5月~7月

外来種

ラミーカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/01

ラミーカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/01

中国など原産。体長(鼻先~尻先)20mmに満たない小型のカミキリムシ(髪切虫)。ラミー(Ramie)とは外国産のカラムシ(苧)の一種。日本ではラミーの代わりにカラムシの葉によくとまって食べている。

カラムシに止まるラミーカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/01

カラムシに止まるラミーカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/01

体色は淡いエメラルドグリーンと黒のツートンで、その模様はタキシードを着た人やパンダに喩(たと)えられることが多い。ちょっと気になる面白い虫だ。警戒心は強めで、人が近づくとすぐさま飛んで逃げてしまうことハエ(蠅)のごとし。

カラムシに止まるラミーカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/01

カラムシに止まるラミーカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/01

柄や色味は個体差あり。

カラムシに止まるラミーカミキリ 葉山町・南郷上ノ山公園 2017/06/16

カラムシに止まるラミーカミキリ 葉山町・南郷上ノ山公園 2017/06/16

ホシベニカミキリ

星紅髪切 昆虫/コウチュウ目/カミキリムシ科 見頃/6月~8月

危険在来種保護

ホシベニカミキリ 横須賀市・光の丘水辺公園 2016/06/04

ホシベニカミキリ 横須賀市・光の丘水辺公園 2016/06/04

やや小型のカミキリムシ(髪切虫)。体色は赤みの強めな朱色で、黒い点々模様が入る。黒斑は左右非対称である。社叢(しゃそう)や公園木に多いタブノキ(椨)を主に食害する。滅多に見かけることはないが、生息数が少ないのか、ふつうタブノキなんかをまじまじ観察する機会がないからだけなのかは不明。タブノキの樹皮が楕円形の”うなぎパイ”形に傷つけられていたらホシベニカミキリの産卵痕。自分の体の大きさよりも広範囲にかじって傷つけてしまう。

ホシベニカミキリ 横須賀市・光の丘水辺公園 2016/06/04

ホシベニカミキリ 横須賀市・光の丘水辺公園 2016/06/04

体色は見るからに毒々しいが無毒。顔はかわいらしい。

ゴマダラカミキリ

胡麻斑髪切 昆虫/コウチュウ目/カミキリムシ科 見頃/6月~8月

危険在来種保護

ゴマダラカミキリ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/04

ゴマダラカミキリ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/04

やや小さめな中型のカミキリムシ(髪切虫)。体は黒地に白色の点々模様が入る。触覚や脚は青色に染まる。他のカミキリムシ同様、よく歩き、よく飛び、捕まえればよく暴れる。湘南・鎌倉・三浦半島でも、市街地で目撃されることもあるもっとも身近な、一般の人にも馴染みがあるだろうカミキリムシ。といっても、昭和(-1989)の頃に比べれば数はだいぶ減ったように思えるけれども。子供には今なお人気があろうが、大人からすると庭木や果樹を食害してしまうとんでもない害虫である。人の接近を感知するとクワガタムシ(鍬形虫)のようにぽろっと落下して下草に紛れてしまうことが多い。

ゴマダラカミキリ 平塚市・花菜ガーデン 2020/06/29

ゴマダラカミキリ 平塚市・花菜ガーデン 2020/06/29

ゴマダラカミキリ 平塚市・花菜ガーデン 2020/06/29

ゴマダラカミキリ 平塚市・花菜ガーデン 2020/06/29

ゴマダラカミキリ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/08

ゴマダラカミキリ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/08

マルバグミを食べるゴマダラカミキリ 三浦市・諸磯 2023/07/07

マルバグミを食べるゴマダラカミキリ 三浦市・諸磯 2023/07/07

ゴマダラカミキリが四日間かじり続けたゼラニウムの茎にできた食痕 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/08

ゴマダラカミキリが四日間かじり続けた#ゼラニウムの茎にできた食痕 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/08

本種に姿が瓜二つな、中国・朝鮮半島を原産とするツヤハダゴマダラカミキリ(艶肌胡麻斑髪切)に注意。国際自然保護連合(IUCN)「世界の侵略的外来種ワースト100」に挙げられている害虫で、世界各国に侵入しては、果樹や街路樹を含む様々な有用樹木に被害を及ぼしている。前胸背板(ぜんきょうはいばん)に白っぽい斑紋がない(ただし、在来種にもない個体はある)、小楯板(しょうじゅんばん)が白くない、上翅(じょうし)基部にぶつぶつぶつぶつした小さな突起がない(この特徴が最もわかりやすい)、となったらツヤハダゴマダラカミキリ。日本国内では平成14年(2002)夏に神奈川県横浜市・馬車道の街路樹で発見された(のち撲滅)のが初確認。とくにアキニレ(秋楡)は好物らしい。発見したら(咬まれないように)サンプルを捕獲し、自治体(神奈川県ないし各市町村)に通報を。

キボシカミキリ

黄星髪切 昆虫/コウチュウ目/カミキリムシ科 見頃/6月~8月

危険外来種

キボシカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/22

キボシカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/22

中国原産という中型のカミキリムシ(髪切虫)。黒っぽい体に黄色の斑が入る。ヤマグワ(山桑)などを食害。神奈川県内にはヤマグワは多いので、キボシカミキリも目にする機会は比較的多いかもしれない。

オオブタクサにしがみついていたキボシカミキリ 寒川町宮山・相模川 2021/09/10

オオブタクサにしがみついていたキボシカミキリ 寒川町宮山・相模川 2021/09/10

キボシカミキリ 茅ヶ崎市・清水谷 2016/08/26

キボシカミキリ 茅ヶ崎市・清水谷 2016/08/26

キボシカミキリ 茅ヶ崎市・清水谷 2017/07/05

キボシカミキリ 茅ヶ崎市・清水谷 2017/07/05

キボシカミキリ 茅ヶ崎市・清水谷 2017/07/05

キボシカミキリ 茅ヶ崎市・清水谷 2017/07/05

似たような柄で体が大きいやつはシロスジカミキリ(白筋髪切)

センノカミキリ

栓の髪切 昆虫/コウチュウ目/カミキリムシ科 見頃/6月~9月

在来種

中型のカミキリムシ(髪切虫)。名は、センノキ(栓の木)とも呼ばれるハリギリ(針桐)を食べることから。センノキカミキリとも。正しくは、ウド(独活)タラノキ(楤木)などウコギ科を餌としているようである。姿は黒や褐色系(良くいえば金色)で地味。上翅(じょうし)中央の上下に横に黒すじが二本入る。

クビアカツヤカミキリ

首赤艶髪切 昆虫/コウチュウ目/カミキリムシ科 見頃/6月~8月

危険外来種駆除稀少

外来生物法「特定外来生物」
生態系被害防止外来種リスト「総合対策外来種」

中国大陸原産の中型のカミキリムシ(髪切虫)。クロジャコウカミキリ(黒麝香髪切)とも。

幼虫は、ウメ(梅)モモ(桃)ソメイヨシノ(染井吉野)など人気が高いサクラ科の生木を食い荒らしやがては枯らしてしまう被害を発生させるため、害虫として悪名高い。サクラ科の木の樹皮や根元にフラス(Frass)と呼ばれる”糞が混じった細かい木屑”が付着していたら本種の寄生している可能性。

成虫は体長30mm前後。全体的には艶々(つやつや)した光沢ある黒色で、胸部(一般的な感覚では首に思える部分)だけ赤いのが最大の特徴。捕まえると強い臭(にお)いを発する。

日本国内では平成24年(2012)愛知県で初確認され、生息域を少しずつ拡大。その後、関東地方では、平成25年(2013)埼玉県で発見されたのを皮切りに、群馬県(2015)、東京都(2015)、栃木県(2016)、茨城県(2019)でも発生が確認されており、神奈川県への侵入は時間の問題とみられる(令和2年(2020)7月現在)。被害拡大を防ぐためには寄生された樹木をすべて伐採し幼虫を抜本的に駆除する必要があるとされるが、発見場所がソメイヨシノの桜並木などであった場合は伐採がためらわれるため根絶が難しい。発生地には昆虫マニアが集まり大量に捕獲し持ち帰っているという。平成30年(2018)特定外来生物に指定。これにより、販売・譲渡・飼養(飼育)などが違法となった(罰則あり)。

クワカミキリ

桑髪切 昆虫/コウチュウ目/カミキリムシ科 見頃/6月~8月

危険在来種

ヤマグワの枝の皮を食べるクワカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/22

ヤマグワの枝の皮を食べるクワカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/22

まずまず大型のカミキリムシ(髪切虫)ミヤマカミキリ(深山髪切)にしてはちょっと小さいな、上翅(じょうし)の人でいう肩の部分に黒いぶつぶつ模様があるな、と感じたら本種。触角などにラミーカミキリ(ラミー髪切)色が入る。ヤマグワ(山桑)のみならず公園木や街路樹として重要なケヤキ(欅)の害虫となるため駆除される。

ヤマグワの枝の皮を食べるクワカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/22

ヤマグワの枝の皮を食べるクワカミキリ 鎌倉中央公園 2017/07/22

ウスバカミキリ

薄翅髪切 昆虫/コウチュウ目/カミキリムシ科 見頃/6月~8月

危険在来種

ウスバカミキリ 茅ヶ崎市浜之郷・小出川 2019/08/20 22:50

ウスバカミキリ 茅ヶ崎市浜之郷・小出川 2019/08/20 22:50

体長は5cm程度になり、まずまず大型のカミキリムシ(髪切虫)。夜行性で、カブトムシ(甲虫)を捕りに出かけると出くわすことがある。気性が荒いことで知られ、こそこそ逃げるどころか睨んでくる有様。咬まれないように注意。

ウスバカミキリ 茅ヶ崎市浜之郷・小出川 2019/08/20 22:50

ウスバカミキリ 茅ヶ崎市浜之郷・小出川 2019/08/20 22:50

ウスバカミキリ 茅ヶ崎市浜之郷・小出川 2019/08/20 22:59

ウスバカミキリ 茅ヶ崎市浜之郷・小出川 2019/08/20 22:59

ミヤマカミキリ

深山髪切 昆虫/コウチュウ目/カミキリムシ科 見頃/6月~8月

危険在来種

ミヤマカミキリ 茅ヶ崎市芹沢 2017/08/12

ミヤマカミキリ 茅ヶ崎市芹沢 2017/08/12

湘南・鎌倉・三浦半島でふつうに見られるカミキリムシ(髪切虫)としては最大級の種。成虫は夜行性でクヌギ(橡)などの樹液を舐めるため、カブトムシ(甲虫)獲りに出かけると遭遇することがある。名前に反して山地に限らず平地にも生息。

クヌギの樹液にたかるカブトムシとミヤマカミキリ 茅ヶ崎市芹沢 2017/08/12

クヌギの樹液にたかるカブトムシとミヤマカミキリ 茅ヶ崎市芹沢 2017/08/12

シロスジカミキリ

白筋髪切 昆虫/コウチュウ目/カミキリムシ科 見頃/5月~8月

危険在来種稀少保護

神奈川県レッドリスト2006「要注意種」

日本最大のカミキリムシ(髪切虫)。体は黒色で”黄色”い筋(すじ)模様が入る。この黄色い筋は死ぬと白色になるのだそうな。クヌギ(橡)などが生える雑木林に生息。湘南・鎌倉・三浦半島では昭和時代(-1989)までは昼間でも頻繁に見かけた普通種だったが、そういわれれば平成に入ってからは一匹たりともお目にかかれていない。

フォローする