ガクアジサイ

額紫陽花 ミズキ目/アジサイ科/アジサイ属 花期/5月下旬~6月上旬
学名(原種)/Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. form. normalis (E.H.Wilson) H.Hara

有毒自生種改良種保護

ガクアジサイ 横浜市南区・こども植物園 2017/07/01

#ガクアジサイ 横浜市南区・こども植物園 2017/07/01

海辺の草地や林縁などに生える、落葉低木。元来は野生のアジサイで、野生種ともいわれるテマリ咲きのいわゆるホンアジサイも含めて、様々な園芸品種を産んだ原種でもある。日本固有種。名は、花(のように見える装飾花)が(両性花の)周囲を額縁のように囲うがごとく花姿になることから。海辺に多いことからハマアジサイ(浜紫陽花)の別名があるとされるが、聞いたことはない。神奈川県内では、三浦半島や真鶴半島などに分布あり。江の島にも自生があるとか。アジサイの仲間は変異が多く、人の手が入れば似たような園芸品種も植栽されるため、どれが自生のガクアジサイでどれが園芸種のガクアジサイなのかは、識別困難。観音崎や真鶴のものに関して方々に「一体どの株が自生(原種)のガクアジサイなのか」と問い合わせてみても、「知らない」「わからない」「把握していない」等々の回答しか得られない。およそ海に面した岩崖(がんがい)の上のとても人の手が入れなそうな険しい場所にそれっぽいのが生えていたら野生のガクアジサイだろう、くらいの予想はできるが、見に行くことができない。※本頁では、園芸品種も含めてガク咲きするものをガクアジサイと称す。ただし、ガク咲きでもヤマアジサイ(山紫陽花)などの明らかな別種は別頁を設けた。テマリ咲きのアジサイはアジサイを参照。

ガクアジサイ 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/01

#ガクアジサイ 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/01

ガクアジサイ 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/01

#ガクアジサイ 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/01

ガクアジサイ 鎌倉市・江ノ電・極楽寺1号踏切 2010/06/28

#ガクアジサイ 鎌倉市・江ノ電・極楽寺1号踏切 2010/06/28

ガクアジサイ 川崎市麻生区・浄慶寺 2016/06/20

#ガクアジサイ 川崎市麻生区・浄慶寺 2016/06/20

ガクアジサイ 湯河原町・あじさいの郷 2017/07/03

#ガクアジサイ 湯河原町・あじさいの郷 2017/07/03

ガクアジサイ 真鶴半島 2016/06/17

#ガクアジサイ 真鶴半島 2016/06/17

ガクアジサイ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ガクアジサイ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

葉は、大きく、幅広で丸っこく、厚みを感じ、葉先はあまり尾状(びじょう)に長くは伸びず、表面はほぼ無毛で(海岸植物ならではの)光沢(照り)が感じられ、濃い緑色をしている。

ガクアジサイ(自生種)の葉 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

#ガクアジサイ(自生種)の葉 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

ガクアジサイのようにこんもり大きな樹形となり、ぱっと見はガクアジサイにしかみえないが、じつはヤマアジサイの仲間、というアマチャ(甘茶)に注意。葉をよく確認する。

ガクアジサイの花

ガクアジサイの花の構造

ガクアジサイの花の構造 川崎市麻生区・浄慶寺 2016/06/20

装飾花

一般には花びらと認識される部分。厳密には萼(が発達したもの)である。

中性花

装飾花の中心に現れる蕊群。ただし機能が退化しており、実はできない。

両性花

装飾花に囲まれた大量の粒々の部分。カタツムリの目のようににょきにょき伸びているものが雄蕊で、その付け根に密かに雌蕊がある。剪定せずに放っておけばいずれ小さな実ができる。

あかねさす ひるはこちたし あぢさゐの 花のよひらに あひみてしがな──(作者不明、平安時代・『古今和歌六帖(こきんわかろくじょう)』)
アジサイの花は四枚の装飾花が目を引くため「よひら」という雅名(がめい)で呼ばれることも。「四片(片は花びら意)」あるいは「四葩(葩は花)」と表す。

ガクアジサイ 鎌倉市・長谷寺 2009/06/16

#ガクアジサイ 鎌倉市・長谷寺 2009/06/16

ガクアジサイ 鎌倉市坂ノ下・御霊神社(権五郎神社) 2010/06/24

#ガクアジサイ 鎌倉市坂ノ下・御霊神社(権五郎神社) 2010/06/24

ガクアジサイ 横浜市南区・こども植物園 2017/07/01

#ガクアジサイ 横浜市南区・こども植物園 2017/07/01

ガクアジサイ 鎌倉市・光則寺 2018/06/03

#ガクアジサイ 鎌倉市・光則寺 2018/06/03

ガクアジサイ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/16

#ガクアジサイ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/16

昭和時代(-1989)はテマリ咲きアジサイが人気を独占し、ガクアジサイは半ば”つまらないアジサイ”のような低評価だった。ところが平成(1989-2019)以降はむしろガクアジサイの方が人気。新しい多彩な品種が出てくるようになったことが大きな原因だろう。近年は母の日(5月第2日曜日)にカーネーションではなくアジサイを贈る人も増えており、その直前のゴールデンウィーク(4月末~5月上旬)にアジサイは一大商戦を迎える。’ラグランジア’、’ダンスパーティー’、’ひな祭り’等々、人気の豪華な新品種は売り切れ必至なため、購入(花付きの鉢植えで予算は5,000円以上)はゴールデンウィークに突入する前がお薦め。

ガクアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ガクアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ガクアジサイ('ひな祭り') 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ガクアジサイ(’ひな祭り’) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ガクアジサイ('満艦飾') 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ガクアジサイ(’満艦飾’) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ガクアジサイも来年の花付きのことを考えれば、遅くとも7月中旬までには剪定作業を済ませなければいけない。が、切らずに放置しておけば、テマリ咲きのアジサイよりは見劣りするが、同様にアンティークカラー(古びた色)や秋色アジサイと呼ばれる大人びた渋い色味に変化する。

終わりかけのガクアジサイ 藤沢市遠藤・小出川「花とせせらぎの道」 2010/06/24

終わりかけの#ガクアジサイ 藤沢市遠藤・小出川「花とせせらぎの道」 2010/06/24

咲き終わっても剪定されずに放置されたガクアジサイ(秋色アジサイ) 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園外 2021/07/26

咲き終わっても剪定されずに放置された#ガクアジサイ(秋色アジサイ) 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園外 2021/07/26

咲き終わっても剪定されずに放置されたガクアジサイ(秋色アジサイ) 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園外 2021/07/26

咲き終わっても剪定されずに放置された#ガクアジサイ(秋色アジサイ) 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園外 2021/07/26

ガクアジサイの実

ガクアジサイの実の残骸 横浜市栄区・瀬上市民の森 2017/02/06

#ガクアジサイの実の残骸 横浜市栄区・瀬上市民の森 2017/02/06


東京都文京区・#小石川植物園(分類標本園に原種)、東京都調布市・#神代植物公園(あじさい園に原種か)

#浄智寺、#海蔵寺(底脱ノ井周辺など)、#源氏山公園(源頼朝像周囲)、#龍口寺(五重塔と)

観音崎公園(ごく僅かに早咲き、かながわの花の名所100選「観音崎公園(ガクアジサイ)」)、#観音崎公園パークセンター(オリジナル品種’汐音(しおん)’=静岡県掛川市・加茂荘花鳥園作出の新品種と命名権を買ったもの)、#高麗山公園(亀掘沢下流、自生でない)

湯河原町・#あじさいの郷

#真鶴岬(車道沿いに植栽が若干あるのみ、海辺の林縁に自生見当たらず、かながわの花の名所100選「真鶴岬(ガクアジサイ)」)

参考資料

『国立科学博物館叢書-⑪ 日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)

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