甘茶 ミズキ目/アジサイ科/アジサイ属 花期/5月下旬~6月中旬
学名/Hydrangea serrata (Thunb.) Ser. var. thunbergii (Siebold) H.Ohba
有毒食用薬用改良種
#アマチャ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/03
落葉低木。日本に自生があるヤマアジサイ(山紫陽花)の変種とされるもの。葉を乾燥・発酵させて煎じて飲むと甘みが感じられるものをいう。日本固有種。狭義ではコアマチャ(小甘茶)ないしヒメアマチャ(姫甘茶)と呼ばれるものを指すようだが、他にも、オオアマチャ(大甘茶)やらアマギアマチャ(天城甘茶)やら、シロアマチャ(白甘茶)だのアオアマチャ(青甘茶)だのと呼ばれているものなどもあり。外観の特徴としては、ヤマアジサイとまったく見分けがつかないもの、ぱっと見はガクアジサイ(額紫陽花)のようだがなんだか葉が薄めで光沢がないように感じられるような気がしないでもないもの、の二系統あり。いずれにせよ、アマチャであると樹名板が付されていない限りはそれとはわかるまい。また樹名板に誤り(造園業者が付しており誤認は多い)があってもそうとはわかるまい。正確な見分けは、専門の卓越した研究者でなければ無理である。アジサイの仲間は変異が大きく、栽培環境・栽培方法によって姿かたちや色も違ってくる。※本頁は、アマチャとの樹名板あるものをそれと鵜呑みにして広義のアマチャとして掲載、樹名板ないアマチャは自ずとヤマアジサイの頁に、ガクアジサイに近いものはやはりそれとは気づかずガクアジサイの頁に掲載する。神奈川県内にはアマギアマチャを除いて自生はないが、鎌倉などの寺境内や(公園・植物園の)アジサイ園に植えられていることがある。
#アマチャ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/03
#アマチャ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/03
#アマチャ? 鎌倉市・浄智寺・甘露ノ井 2022/06/02
#アマチャ? 鎌倉市・浄智寺・甘露ノ井 2022/06/02
生えている葉を揉んでから噛んでみると甘みを感じるのがアマチャだ、といわれることもあるが、確かに甘いこともあれば、ただただ青苦いばかりのものもあり、生の葉では区別できない。葉は揉んで乾燥させ、煎じてはじめて甘茶として飲用になる。
#シロアマチャの葉 鎌倉市・光則寺 2022/06/02
#アマチャと#ホンアジサイの葉の比較 茅ヶ崎市浜之郷 2022/05/30
#アマチャ?の葉 鎌倉市・浄智寺・甘露ノ井 2022/06/02
寺では、毎年4月8日に仏教開祖である釈迦(しゃか)の生誕を祝う法要(ほうよう)が執り行われている。行事名は、花まつり、降誕会(ごうたんえ)、仏生会(ぶっしょうえ)、灌仏会(かんぶつえ)、などと様々であるが、ぜんぶ同じ行事。
降誕会 鎌倉市・円覚寺 2010/04/08
境内には花御堂(はなみどう)が設けられて、中には「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と唱えたという釈迦の(金属製の小さな)誕生仏が安置され、法要参加者は天から甘露(かんろ)が降り注いだという故事になぞらえて像に甘茶をかける、という儀式が執り行われている。
花祭り 鎌倉市大町・妙本寺 2010/04/08
花まつり 鎌倉市・極楽寺 2009/04/08
法要後には参加者にも甘茶が振舞われるだろう。ほんのり甘く、清涼感のあるおいしいお茶である。もちろん寺で自家栽培したアマチャの葉が使われているわけではなく、漢方薬店で購入した市販の乾燥茶葉(100gで2,000円以上もする)を煮出したものである。甘草(かんぞう)で甘みを足しているかもしれない。4月8日に近所の寺を訪れてみれば、ポットややかんに入った甘茶を「ご自由にどうぞ」と振舞っているところもあるかもしれない。頂いてみたら”砂糖入りの麦茶”だったなんていうこともないでもないが。
花まつりにおける甘茶の接待 鎌倉市・報国寺 2009/04/08
#アマチャの茶葉と甘茶 鎌倉市・円覚寺 2010/04/08
なお、甘茶はときに嘔吐事件を起こしているので、幼稚園児などは(濃いものは飲まない、何杯も飲まない、などの)注意が必要。厚生省によれば、平成22年(2010)南足柄市・大雄山最乗寺で行われた花まつりで甘茶を飲んだ小学一年生99人のうち45人が嘔吐する事例が確認されている。
花まつりの日の#アマチャの姿 鎌倉市・極楽寺 2009/04/08
アマチャヅル(甘茶蔓)はアジサイの仲間でも何でもないまったくの別種。
アマチャの花
ヤマアジサイないしガクアジサイと同様。見頃はおよそヤマアジサイに準じ、5月末~6月初旬。一般的なアジサイ(手毬咲きアジサイおよびガクアジサイ)が見頃を迎える時期にはアマチャはもう咲き終わりかけなので注意が必要。
#シロアマチャの咲き始め 鎌倉市・光則寺 2022/06/02
#シロアマチャ 鎌倉市・光則寺 2022/06/02
#アオアマチャ 鎌倉市・光則寺 2022/06/02
#アマチャ 鎌倉市・極楽寺 2012/06/14
#オオアマチャ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/06/02
#アマチャ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/03
#アマチャ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/03
#アマチャ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/03
#アマチャ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/08
#アマチャ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/03
#アマチャの咲き終わり 茅ヶ崎市浜之郷 2022/06/16
#アマチャ? 鎌倉市・浄智寺・甘露ノ井 2022/06/02
横浜市南区・#こども植物園、横浜市都筑区南山田・#大善寺(境内の甘茶苑で自家栽培自家生産、7月中旬の土曜日 甘茶摘み)
#大巧寺、#浄智寺(甘露ノ井、ガクアジサイにしては葉がやや薄めで光沢が弱い(縁毛はない)ので(井戸の名称からしても)アマチャではないか)、#光則寺(鉢植え)、#長谷寺、#極楽寺(本堂向って左手前 ※境内撮影禁止)、#大船フラワーセンター(令和4年(2022)シャクヤク園南西端(タマナワザクラ原木裏手)にヤマアジサイ園を新設)
相模原市緑区・#相模原北公園(アマギアマチャなども)、相模原市南区・#相模原麻溝公園(樹林広場にシロバナアマチャ)
参考資料
『国立科学博物館叢書-⑪ 日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)
『日本のアジサイ図鑑』 川原田邦彦・三上常夫・若林芳樹著 柏書房発行(2010)