ヤマアジサイ

山紫陽花 ミズキ目/アジサイ科/アジサイ属 花期/5月中旬~6月上旬
学名/Hydrangea serrata (Thunb.) Ser. var. serrata

自生種改良種稀少保護

ヤマアジサイ('村娘') 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイ(’村娘’) 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

山地や丘陵地の沢の近くなどに生える、落葉低木。別名サワアジサイ(沢紫陽花)。日本在来種の、野生のアジサイ(広義)の仲間。朝鮮半島にも自生があり、日本固有種ではない。一般的に多くの人がアジサイと認識しているだろうものは、同様に野生のアジサイ(広義)であるガクアジサイ(額紫陽花)およびガクアジサイから自然発生していたともいわれるテマリ咲きのアジサイ(狭義、ホンアジサイとも)、これらを元に改良が重ねられてきた園芸品種のアジサイたちであろう。アジサイの仲間は知名度はやや下がるものの他にも幾種かあって、その筆頭に挙げられるべきがヤマアジサイである。ぱっと見の姿は、慎ましやかで素朴な雰囲気が漂うガクアジサイ、とでもいったところ。悪くいえば貧相なガクアジサイっぽいもの。ヤマアジサイは枝ぶりがこんもりでっかく茂るのではなく、森の中に細々と生えている姿のものが多い。葉もちょっと違う。花も質素。派手さはないため広い公園あたりにどかんどかんと並べて植えられることはしないが、ガクアジサイ以上にそもそも変異が大きく、趣の異なる園芸品種も多数生まれるため、和風庭園にちょこんと添えられていたり、愛好家が(品種の保全管理という意味合いも含めて)鉢植えにして収集および公開展示していたりする。神奈川県内では丹沢や箱根に分布があるが、湘南・鎌倉・三浦半島でも主に三浦丘陵の奥深くなどに自生があるらしい。学芸員やらアジサイ愛好会やらのレベルの余程の目利きでない限り栽培品種との見分けはできまい。また人の背丈を超えてくる大型な品種もあり、そうなるとガクアジサイとの見分けがかなり難しい。両者が交配された園芸品種も登場している。栽培は、(水枯れを防ぐ意味で)気持ち大きめの鉢を用い、用土は水はけの良いものを使い、水を好む植物なので水切れさせないように注意し、冬は日光によく当て、日差しが暑くなってきたら午前中だけ日光が差す半日陰に置く。真夏の真っ昼間の直射日光に当てると葉焼けを起こしやすいが、少々葉焼け気味くらいの場所の方が花付きは良くなるという話もある。暗い日陰に置きすぎると、ド貧相に仕上がったうえ花がろくに咲いてくれない事態にも。逆にいうと貧相な株はヤマアジサイだとすぐわかる。※本頁記載の品種名は基本的には現地樹名板を鵜呑みにしており、独自の精査は加えていない。

ヤマアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ(植栽ではなく売り物のポット苗群) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(植栽ではなく売り物のポット苗群) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('銀河の輝き') 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(’銀河の輝き’) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('土佐涼風') 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(’土佐涼風’) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('津江てまり') 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(’津江てまり’) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('津江てまり') 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(’津江てまり’) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('清澄沢') 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイ(’清澄沢’) 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

ヤマアジサイ('清澄沢') 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイ(’清澄沢’) 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

キヨスミサワ(清澄沢)の正式な品種名(と決められているものがあるのかどうかは知らないが)は、キヨスミサワアジサイ(清澄沢紫陽花)らしい。千葉県の清澄山(きよすみやま)で発見されたサワアジサイの意味だろう。さすれば略すとすればキヨスミとすべきか、光則寺はキヨスミと称している。一般には広くキヨスミサワとして広く認知されている。

境内に置かれた鉢植えのヤマアジサイ 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

境内に置かれた鉢植えの#ヤマアジサイ 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

境内に置かれた鉢植えのヤマアジサイ 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

境内に置かれた鉢植えの#ヤマアジサイ 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

境内に置かれた鉢植えのヤマアジサイ 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

境内に置かれた鉢植えの#ヤマアジサイ 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

ヤマアジサイ('城辺テマリ') 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイ(’城辺テマリ’) 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

ヤマアジサイ('大虹') 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイ(’大虹’) 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

ヤマアジサイの「箱根の小さなあじさい展」 箱根湿生花園 2023/06/10

#ヤマアジサイの「箱根の小さなあじさい展」 箱根湿生花園 2023/06/10

ヤマアジサイの「箱根の小さなあじさい展」 箱根湿生花園 2023/06/10

#ヤマアジサイの「箱根の小さなあじさい展」 箱根湿生花園 2023/06/10

葉は、ガクアジサイより小振りで、表面に光沢なし。柔らかそうな印象を受けるだろう。葉先はやや尾状(びじょう)に長く伸びる傾向あり。縁(ふち)の周辺にまばらに毛が生える。葉身が明らかに細身だったら変種のホソバコガク(細葉小額)、別名アマギアマチャ(天城甘茶)である可能性。神奈川県内では箱根以南、伊豆半島に近い方面にのみ自生あり。栽培されることがある。※本サイトでは、明らかにホソバコガク(アマギアマチャ)であるとして植栽されているもの等は別頁を設けるが、そうではないものはヤマアジサイとの峻別が困難であるため、基本的にはヤマアジサイ(の一種)として本頁にまとめて掲載する。

ヤマアジサイの葉 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイの葉 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

ヤマアジサイ('楊貴妃')の葉 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイ(’楊貴妃’)の葉 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

ヤマアジサイ('九重てまり')の葉 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(’九重てまり’)の葉 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('九重麗華')の葉 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(’九重麗華’)の葉 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('津江てまり')の葉 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(’津江てまり’)の葉 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/05/24

#ヤマアジサイの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/05/24

ヤマアジサイの葉の縁辺りにはちらほらと毛が生える 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/05/24

#ヤマアジサイの葉の縁辺りにはちらほらと毛が生える 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/05/24

ガクアジサイの葉は、もっと大きく、もっと幅広で丸っこく、表面はほぼ無毛で明らかな光沢(照り)が感じられ、緑色は濃い。

ヤマアジサイとガクアジサイの葉の雰囲気の違い 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイと#ガクアジサイの葉の雰囲気の違い 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

ヒメアジサイ


姫紫陽花 学名/Hydrangea serrata (Thunb.) Ser. var. yesoensis (Koidz.) H.Ohba form. cuspidata (Thunb.) Nakai

鎌倉で”アジサイ寺”と呼ばれる名所の一つ、明月院(めいげついん)の境内一面を彩ることで知られる、青花(アルカリ性土壌ではピンク色になる)を咲かせるアジサイ(広義)の仲間。古くから栽培はされてきたが、”日本植物学の父”と謳(うた)われる牧野富太郎博士(1862-1957)によって他のアジサイとの違いが認められ命名されたもの。名は、花序がやや小振りで女性的な優美さを湛(たた)えることから。

ヒメアジサイ 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

#ヒメアジサイ 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

ヒメアジサイの学名は、ヤマアジサイ(山紫陽花)の変種であるエゾアジサイ(蝦夷紫陽花)の一品種、という取り扱いになっているが、ホンアジサイ(本紫陽花)とエゾアジサイの交雑種と推定されている。エゾアジサイは(北海道にだけ分布があるというわけではなく)日本海側に生えるヤマアジサイの変種とかいう。大雑把にいえば、テマリ咲きしたガクアジサイの系統とヤマアジサイの系統の雑種、ということ。確かに、そう思わせる中間的な姿をしている。※本サイトでは、ヒメアジサイのぱっと見の姿がホンアジサイにより近く観光客の目からは同じ類のものと認識されるだろうことから、利用者の便宜を図って、ホンアジサイの頁にまとめて掲載する。

アマチャ


甘茶 学名/Hydrangea serrata (Thunb.) Ser. var. thunbergii (Siebold) H.Ohba

アマチャの咲き終わりかけ 相模原市緑区・相模原北公園 2020/06/16

#アマチャの咲き終わりかけ 相模原市緑区・相模原北公園 2020/06/16

葉を乾燥させると甘みが出る、ヤマアジサイ(山紫陽花)の変種。であるが、ぱっと見はむしろガクアジサイ(額紫陽花)に似ていて誤認しやすい。ガクアジサイっぽいが、葉に光沢が感じられない、となるとアマチャである可能性。なお(狭義の)アマチャ以外にも類似種が(広義の)アマチャと呼ばれ栽培される。そもそもアジサイの仲間は変異(個体差)が大きいことに加え、同じ株であっても時間の経過で花色も変化し、更にいろいろ種類があるというのでは、まともに見分けられるものでない。※当サイトでは、樹名板等からアマチャと判明しているものは別頁を設けるが、外観からは識別しがたいためそうでないものはヤマアジサイとして本頁に掲載する。

同様に小振りなアジサイの仲間に、コアジサイ(小紫陽花)というものもある。(花びらに見える)装飾花がない。葉も鋸歯が大きめで、ちょっとシソ(紫蘇)っぽい形状。茎などに毛が多い。

ヤマアジサイの花

多くはガクアジサイ同様にガク咲き。但し、花序は小さめで質素。東日本産のものは白花が多い。色とりどりな品種は西日本産ないし韓国産という。

ヤマアジサイ('楊貴妃') 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイ(’楊貴妃’) 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

ヤマアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('土佐天の川') 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(’土佐天の川’) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('爽風') 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(’爽風’) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('津江てまり') 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

#ヤマアジサイ(’津江てまり’) 鎌倉市・北鎌倉古民家ミュージアム 2021/05/25

ヤマアジサイ('揚羽蝶') 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイ(’揚羽蝶’) 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

ヤマアジサイ('藍姫') 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

#ヤマアジサイ(’藍姫’) 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

ヤマアジサイ('黒姫') 鎌倉市・大巧寺 2017/06/03

#ヤマアジサイ(’黒姫’) 鎌倉市・大巧寺 2017/06/03

人気品種の’紅(くれない)’は、咲き始めは白花ながら、日光が当たると赤く染まってゆくのだいう。

咲き始めでほぼ白いヤマアジサイ('紅') 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

咲き始めでほぼ白い#ヤマアジサイ(’紅’) 鎌倉市・光則寺 2021/05/24

やや赤らんできた#ヤマアジサイ('紅') 鎌倉市・光則寺 2022/06/02

やや赤らんできた#ヤマアジサイ(’紅’) 鎌倉市・光則寺 2022/06/02

随分と立派な株に成長して、よく赤く染まっているヤマアジサイ('紅') 横浜市南区・#こども植物園 2021/06/12

随分と立派な株に成長して、よく赤く染まっている#ヤマアジサイ(’紅’) 横浜市南区・#こども植物園 2021/06/12


横浜市金沢区・#瀬戸神社(あじさい神苑「祈りの花神苑」、東日本大震災(2011)犠牲者の御霊(みたま)に手を合わせるような姿に仕立てたものを「あじさいぼんぼり」と称して)、横浜市南区・#こども植物園(アジサイ園)

#光則寺(鉢植え多い、令和4年(2022)表年)、鎌倉市稲村ガ崎三丁目・#山あじさいの隠れ里 姥ガ谷植栽小苑(増渕整治邸、鉢植え)

#一条恵観山荘(500円)、#浄妙寺、#鎌倉宮(神苑=300円)、#北鎌倉古民家ミュージアムあじさいの小径(旧鎌倉古陶美術館、ヤマアジサイ他100種200株というが規模は小さい、500円)、#大船フラワーセンター(5月下旬に「日本の自生アジサイ展」、令和4年(2022)シャクヤク園奥(トイレ寄り)一角にヤマアジサイ園を開設)、藤沢市・#藤沢えびね・やまゆり園(300円)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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