ショウブ

菖蒲 ショウブ目/ショウブ科/ショウブ属 花期/4月末~5月
学名/Acorus calamus L.

有毒薬用自生種改良種稀少保護

ショウブ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/07

#ショウブ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/07

湿地や池畔の浅い水中などに生える、多年草。川にもあるらしい。群生する。葉に爽やかな芳香があり、5月5日の”端午の節句”に菖蒲湯(しょうぶゆ)と称して湯舟に投入されるあの長い葉っぱが本種である。「尚武(しょうぶ、武芸を貴ぶ)」や「勝負」に掛けられた、平たくいえば駄洒落、恭(うやうや)しく申せば言霊(ことだま)を仰いで縁起を担ぐ、といったところの風習。鎌倉の鶴岡八幡宮(つるがおか-)でも毎年同日に舞殿(まいでん)にて菖蒲祭(しょうぶさい)が斎行(さいこう)されており、御神前(ごしんぜん)にはショウブの葉が奉じられている。使用目的があることから、池や田んぼなどで栽培されることもある。鎌倉などの寺には池も多いことからちょこちょこ栽培されているだろうが、花が咲いていないことにはそれと気づけない。カオリショウブ(香り菖蒲)、ニオイショウブ(匂い菖蒲)、ハショウブ(葉菖蒲)などの名前が付けられ、園芸店などで売られていることがある。湘南・鎌倉・三浦半島にも自生はあるようながら、栽培品の逸出もあってよくわからない。見かけるのは希、というか、見つけられるのは希。旧(ふる)いクロンキスト体系ではサトイモ科に分類されていた。

ショウブ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/10

#ショウブ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/10

一般にショウブといって連想されるのはハナショウブ(花菖蒲)の方だろう。ハナショウブは俗に単にショウブと呼ばれることがある。ショウブ園で大規模に栽培されているあのきれいなひらひらした花はハナショウブ。水辺に生えて葉の形がよく似ているというだけで、ショウブとはまったくの別種である。ショウブのように水中に生えて葉が紛らわしいものとして、他にカキツバタ(燕子花)キショウブ(黄菖蒲)といったものもあり、花が咲いていないと正直どれが何なんだかはぜんぜんわからない。中肋(ちゅうろく、主脈)がまるで中に太い針金でも仕込んであるかのごとくくっきり膨らむのが特長ながら、キショウブも同様。葉を千切ると爽やかな芳香が感じられることがショウブである決め手となる(ハナショウブなどは青臭いだけ)が、誰ぞの栽培品や希少な自生ものを傷つける行為はやってはいけない。なおアヤメ(文目)も菖蒲と漢字表記することがあるので注意。単に菖蒲と表記されてしまうと、ショウブなのか、アヤメなのか、ハナショウブのことをいっているのか、さっぱりわからない(行間やら文脈から察する以外にない)。

ショウブ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/07

#ショウブ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/07

近似種にセキショウ(石菖)あり。ちょろちょろ水が湧き出る小川の源流域に好んで生え、全体的にセキショウより小型で葉も細い。花は細く長く、地面から直接生え出ているように見える。

ショウブの花

ハナショウブのような見栄えのする花は咲かず、葉の途中から肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれるイモムシ(芋虫)形の短く黄色い棒が飛び出てくるのみ。なお学術的には葉の途中から、ではなく、花茎(かけい)の頂上部に肉穂花序が付き、更にその上にまるで葉のような形状をした仏炎苞(ぶつえんほう、花に付属する葉)が伸びる、のだという。ミズバショウ(水芭蕉)のように幅広で白く染まるなどしてくれればわかりやすいが、ショウブの苞はただの葉にしか見えない。

ショウブ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/07

#ショウブ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/07

日本のショウブは結実しない。


東京都小平市・#東京都薬用植物園(染料香料植物区)、横浜市南区・#こども植物園(事務所向いの水生植物の池に鉢植え)、横浜市戸塚区・#俣野園(池西畔)

#極楽寺(非公開)

厚木市・#神奈川県自然環境保全センター自然観察園(Y地点の沼や池に多数、4月末~5月上旬)

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セキショウ

ハナショウブ

キショウブ

カキツバタ