鬼胡桃 クルミ目/クルミ科/クルミ属 花期/4月末~5月中旬 結実期/9月~10月
学名/Juglans mandshurica Maxim. var. sachalinensis (Komatsu) Kitam.
食用自生種
漂着したオニグルミの実 藤沢市・江の島 2018/06/03
河川敷などに生える落葉高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)の雌雄異花。市販されている食用の木の実(ナッツ)のクルミは外国産ペルシアグルミ系統の品種で、オニグルミは日本在来種のクルミである。外国産のものを洋クルミ、日本産のオニグルミを和クルミと呼ぶことも。クルミの木は、意外にも身近に生えている。湘南海岸に行くと波打ち際になぜかクルミが二三個落ちているという怪現象に遭遇することがあったと思うが、そのクルミこそがオニグルミ(の実がどんぶらこと川に流されて海までたどり着いたもの)である。”鬼”が付くのは実の殻が硬いからだろう。専用の和くるみ割り器を使うか金槌でひっぱたくかしない限りはとてもじゃないけれど人間の力では開けられない、鬼でもなければ食べられないような常軌を逸した硬さを誇っている。
オニグルミ 茅ヶ崎市萩園・小出川沿い 2018/05/05 ※のち伐採された
オニグルミの若葉 茅ヶ崎市萩園・小出川沿い 2018/04/23
葉は奇数羽状複葉。ぱっと見はヤマハゼ(山櫨)に似ているが、オニグルミの小葉には細かな鋸歯がある。腺毛(せんもう)がたくさん生えているため触ると指がべたべたに。
オニグルミの葉 茅ヶ崎市萩園・相模川沿い 2018/04/28
オニグルミの葉 茅ヶ崎市萩園・相模川沿い 2018/05/05
オニグルミの葉 大井町山田 2023/05/11
オニグルミの細かな鋸歯がある小葉 大井町山田 2023/05/11
オニグルミの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2018/05/05
オニグルミの葉痕(ようこん、葉が冬に枯れ落ちた跡)はアルパカの顔のようでも、ラクダのようでも、サル(猿)にも見えるか。
オニグルミの冬芽と葉痕 横須賀市・くりはま花の国 2018/03/11
#オニグルミの冬芽と葉痕 平塚市・花菜ガーデン 2021/01/19
#オニグルミの冬芽と葉痕 平塚市・花菜ガーデン 2021/01/19
近似種サワグルミ(沢胡桃)は神奈川県内では丹沢の山中に生える。公園等の水辺に植栽されているのは中国原産のシナサワグルミ(支那沢胡桃)。共にオニグルミような形状をした食用の実はできない。
オニグルミの花
前年枝から緑色の花序が垂れていたら雄花、新しい本年枝から上向きに立ち上がり気味で赤紫色の二裂した花柱があったら雌花。
開花時期のオニグルミ 茅ヶ崎市萩園・小出川沿い 2018/04/19
オニグルミの雄花 茅ヶ崎市萩園・小出川沿い 2018/04/19
オニグルミの雄花 茅ヶ崎市萩園・小出川沿い 2018/04/23
オニグルミの雄花 茅ヶ崎市萩園・小出川沿い 2018/04/23
オニグルミの雌花 茅ヶ崎市萩園・小出川沿い 2018/04/19
オニグルミの雌花 茅ヶ崎市萩園・相模川沿い 2018/04/30
オニグルミの実
実は緑色。およそ九月の下旬あたりからだろうか、木から落下し果肉の部分は黒く腐る。そうしたあとに残るのが種子、殻付きのクルミである。食用になるのは殻の中にある仁(にん、じん)の部分。
オニグルミの若い実 茅ヶ崎市萩園・小出川沿い 2018/05/05
オニグルミの膨らみかけの実 鎌倉市扇ガ谷・扇川 2018/05/18
オニグルミの未熟な実 平塚市・馬入水辺の楽校 2018/07/26
オニグルミの実 平塚市・馬入水辺の楽校 2016/09/29
オニグルミの実 平塚市・水辺の楽校 2016/10/18
自然界ではリス(栗鼠)など野生動物の餌になっている。クルミは油分が多いので越冬するためのエネルギー源としてはもってこい。カラス(烏)はコンクリートに落としたり自動車に轢(ひ)かせたりして殻を割っているようだ。
#オニグルミの実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2020/11/28
#オニグルミの実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2020/11/28
#オニグルミの実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2020/11/23
#オニグルミの実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2020/11/23
オニグルミの実 平塚市・馬入水辺の楽校 2016/10/12
オニグルミの叩き割った実 平塚市・馬入水辺の楽校 2016/10/12
オニグルミの実 平塚市・水辺の楽校 2016/10/19
オニグルミは殻が硬い上、殻の隙間が複雑な構造になっていることが多くて仁が取り出しづらく、洋クルミに比べて肝心の仁の部分が少なめ、とまぁ散々。一般受けはしないものなので、ギンナン(銀杏)と違ってせっせと持ち去る人はまずいない。オニグルミの方が味がよい、という人もいるようだけれど、それはどうか。少なくとも自分で拾って煎ったオニグルミより、すぐに食べられる完成された洋クルミの市販品の方が遙かにおいしく食べごたえもあるように思えたが──、好きな人にはたまらない一品なのだろう。
オニグルミの実 平塚市・馬入水辺の楽校 2016/10/19
くりはま花の国(ハーブ園入口)、鎌倉市扇ガ谷・扇川(JR横須賀線寿福寺踏切の南東)、茅ヶ崎市萩園・小出川土手(浜園橋北西、伐採された)、茅ヶ崎市萩園・相模川、平塚市・馬入水辺の楽校、平塚市・鈴川(東橋(あずまばし)北側に多い、歩道ないので轢死に注意)
わが家の庭に、オニグルミが生えていることを確認しました。
4月、見慣れない割り箸程度の正体不明の「幼木」を発見し、様子を観察していました。
それから、わずかにひと月ほどで腰の高さまで生長し、葉も展開してきて、オニグルミと「同定」できました。
クルミは大好物で常備食です。せっかくなので、どうしようかと思案しましたが「成長が早く、枝が乱雑で樹形が乱れ、根が深く張り、巨木になり、庭木には不適」が常識らしく、未練を残しながらも引き抜きました。
地中からは(童話「桃太郎」の如くに)二つに割れたクルミの実があり、逞しそうな直根が伸びていました。
その後も、雨後の筍のように、あちらこちらからオニグルミが発芽してきて驚かされました。
驚異的なので躊躇なく引き抜きましたが、その総数は七本に上ります。
以前「ネムノキ」の出現に気付かず、その根絶に(クズに似た極太の主根を抜いても、残存してしまった側根から翌春に再発芽し)手を焼きました。ヒヨドリの落し胤で、イボタノキも出現します。
わが家にはニホンリスが出没し、連日、早朝から日没頃まで、年中無休で行き来しています。
そのリスの仕業でしたが、これからも悩まされることが必至と覚悟させられました。