小菜葱、小水葱 ツユクサ目/ミズアオイ科/ミズアオイ属 花期/9月中旬~10月上旬
学名/Monochoria vaginalis (Burm.f.) C.Presl
自生種
コナギ 藤沢市大庭(おおば) 2018/10/02
田んぼに生える抽水植物(水底の土中に根を張って、葉を水面より上に突き出す植物)で、一年草。畦の上ではなく、浅く水が張られている中に生える。つまりイネ(稲)の根元あたりを覗き込むと居候しているコナギを見つけられる。水稲農家(すいとう-)にとってはイネに行き渡るべき田んぼの養分を吸い取ってしまう迷惑な水田雑草だろう。現代においても農薬控えめな田んぼには大量に生えており稀少性はこれっぽっちもない。ナギとはミズアオイ(水葵)の別名で、それより小さいものの意。
田んぼに生えたコナギ 開成町(-まち)延沢(のぶさわ) 2024/08/25
イネの間を埋め尽くしたコナギ 茅ヶ崎市西久保 2022/07/18
葉は、同じミズアオイ科の外来種ホテイアオイ(布袋葵)に似ているが、コナギは土中に根を張っており植物体全部が水面に浮遊していないこと、葉柄(ようへい)に浮袋を作らないことから違いは明白。生え始めのオモダカ(面高)やサジオモダカ(匙面高)の葉も紛らわしいが、葉脈の違いで見分けられる。
コナギの若い葉 茅ヶ崎市・湘南タゲリ米の里 2018/07/13
コナギの若い葉 茅ヶ崎市・湘南タゲリ米の里 2018/07/13
コナギの葉 茅ヶ崎市・湘南タゲリ米の里 2018/07/30
コナギの花
葉よりも低いところでこっそり花を咲かせる。葉柄(ようへい)を切り裂いてにょきっと顔を覗かせてくる感じ。花色は紫。真夏前に咲くこともあるが、ふつうは晩夏。九月になると日は短く、気温は下がり気味、しかもイネ刈りを前に田んぼからは水が抜かれてしまう。コナギとしては生命の危機を感じはじめるだろう。せっせと花を咲かせて実を結ぼうとする。ただしイネ刈り作業を前に迷惑雑草として引っこ抜かれてしまうこともしばしば。一日花らしいので観察は午前中がよい。朝早すぎるとまだ咲いていないが。ミズアオイもホテイアオイも一日花である。
コナギ 鎌倉中央公園 2018/07/08
コナギ 茅ヶ崎市・湘南タゲリ米の里 2018/09/24
コナギ 茅ヶ崎市浜之郷 2018/09/24
コナギ 藤沢市大庭 2018/10/02
コナギ 藤沢市大庭 2018/10/02
コナギ 藤沢市大庭 2018/10/02
葉よりも高い位置まで花序を突き出していたらミズアオイの可能性。ただしミズアオイは神奈川県内「絶滅」。万が一野良で見かけた場合は大発見。早急に全力を挙げて保護したい。
藤沢市大庭・引地川流域の田んぼ、湘南タゲリ米の里
鎌倉中央公園(湿地)