面高、沢瀉 オモダカ目/オモダカ科/オモダカ属 花期/7月~9月 結実期/10月~11月
学名/Sagittaria trifolia L.
自生種
オモダカの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2018/08/16
主に浅い止水に生える葉の形がおもしろい多年草で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)の雌雄異花。湿地にもあるがほとんどはコナギ(小菜葱)などと共に田んぼに生える、ありきたりな水田雑草。水稲農家からしたらイネ(稲)の生育を阻害する迷惑雑草でしかないという扱いを受けているだろう。湘南・鎌倉・三浦半島では田んぼあるところで普通種。ただし除草されやすい。川べりにも生える。湿生植物ないし抽水植物(ちゅうすい-、水底に根を張って水面より上に葉や花が突き出るもの)に分類される。
初期の頃はナガバオモダカ形の葉が出るオモダカ 中井町比奈窪 2022/06/21
やや小振りなオモダカ 茅ヶ崎市西久保・湘南タゲリ米の里 2021/07/25
オモダカ 茅ヶ崎市西久保・湘南タゲリ米の里 2019/08/02
田んぼに生えたオモダカ 開成町延沢 2024/08/25
雌花が咲いたオモダカ 寒川町田端 2018/09/16
稲刈り後の田んぼで、雌花はもう実になり雄花が咲いているオモダカ 茅ヶ崎市行谷 2018/09/22
葉は根生葉のみで、風変わりな逆Y字形(植物学では矢じり形と表現されることが多い)。オモダカという名は、葉が直立気味に開き、顔に見立てられた頂裂片が高い位置に、顎(あご)に見立てられているらしい側裂片が低い位置になることに因むらしい。頂裂片より、左右後方に突き出た側裂片の方が長い。側裂片の先端は鋭く尖る。
オモダカの葉 開成町延沢 2024/08/25
オモダカの葉の特徴 開成町延沢 2024/08/25
オモダカの葉の特徴 大井町金手 2016/09/06
なお、あまり人目に触れることはないだろう沈水葉(ちんすいよう、水中葉)は、線形ないし細い箆(へら)形をしている。初夏の生え始めの頃は特にコナギと紛らわしいが、葉脈の違いで見分けられる。
オモダカの沈水葉 茅ヶ崎市西久保・湘南タゲリ米の里 2018/07/30
オモダカに似た姿ながら、概観は巨大、葉がサトイモ(里芋)さえ連想させるほど幅広、といった違いあらば中国から入ってきたという園芸品種のクワイ(慈姑)。かつて栽培されていたものの逸出が川べりや水路で見られる。
参考)クワイの葉 茅ヶ崎市浜之郷・小出川 2018/07/13
オモダカの大きさでありながら、クワイのような幅広葉を持つものがいる。田んぼに、オモダカ同様に点々と生える性質からこれもオモダカ(の個体差の範疇)なのだろうと思われる。地域によって、細葉か幅広葉か分かれる傾向が感じられる。
幅広葉のオモダカ 茅ヶ崎市西久保 2021/09/13
幅広葉のオモダカ 寒川町田端 2021/09/13
幅広葉のオモダカ 平塚市真田 2021/09/24
葉柄(ようへい)には大きな稜(りょう、出っ張り)が少数あるため、手で触ると”葉柄の断面は四角形か、五角形か”という印象を受けるだろう。
オモダカの葉柄基部 開成町延沢 2024/08/25
オモダカの葉柄の断面 開成町延沢 2024/08/25
オモダカに姿がそっくりなアギナシ(顎無)なるものがある。アギナシの葉は頂裂片の方が長め、花は葉よりも高い位置で咲く、塊茎を作らない、などの違いで明確に判別できる。
オモダカの花
花茎(かけい)を一本伸ばしてその先に花を付ける総状花序(そうじょうかじょ)。花茎の下方の段に雌花が付き、先に咲き始める。雌性先熟(しせいせんじゅく)。続いて花茎上方の雄花が咲く。花弁は白色。一日花で、ふつう午前中のみ咲く。花茎はきれいに直立せず、やや斜め気味に立ち上がってくねくね曲がっていることが多い。花茎はあまり高くは立ち上がらず、花は葉よりも低い位置で葉に埋もれるような状態で咲く。
オモダカの花は葉に埋もれるように咲く 開成町延沢 2024/08/25
オモダカの蕾 開成町延沢 2024/08/25
オモダカの雌花 開成町延沢 2024/08/25
オモダカの雌花 開成町延沢 2024/08/25
オモダカの雌花(下)と雄花(上)の同時開花 藤沢市大庭 2018/09/12
オモダカの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2018/08/16
オモダカの雌花 寒川町田端 2018/09/16
オモダカの雄花 開成町延沢 2024/08/25
オモダカの雄花 開成町延沢 2024/08/25
オモダカの雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2018/08/16
オモダカの希に分岐することがある花茎 開成町延沢 2024/08/25
全体的な大きさはほぼ同じで、花が(蕊が緑色の)雌花しかなく、葉が箆(へら)のような形状をしていたら外来種のナガバオモダカ(長葉面高)だろう。
オモダカの実
雌花が咲き終わると、花茎上方ではまた雄花が咲き続けている段階で早々と実ができはじめる。ただし9月に入ると田んぼでは稲刈りの下準備として徹底した除草が行われるため、オモダカもだいたいは抜き取られてしまうだろう。
オモダカの若い実 藤沢市大庭 2018/09/12
オモダカの未熟な実 開成町延沢 2024/08/25
#オモダカの未熟な実 茅ヶ崎市浜之郷 2024/11/17
オモダカの塊茎
秋から初冬にかけて、地下茎を伸ばしてその先端に塊茎を作る。地上部は枯れても(親株と併せて)塊茎が越冬して、翌春に子株が生えてくる。食用にされるクワイよりは小さく、人の手指の関節一個分くらいしかないが、同様のもの。オモダカにそっくりな近似種アギナシはこの塊茎を作らないので、晩春から初冬にかけて掘り上げて(地下茎がもろくなっているので引っこ抜くと塊茎は脱落してしまう)調べてみれば違いは明らか。アギナシは株元に黒っぽい小球芽を複数個作るので違いは明らか。根っこ近くの葉柄基部に(虫の卵みたいなちょっと気色悪い)黒っぽいぶつぶつがあればアギナシ。
#オモダカの塊茎 茅ヶ崎市浜之郷 2024/11/30
#オモダカの塊茎 茅ヶ崎市浜之郷 2024/11/30
#オモダカの塊茎 茅ヶ崎市浜之郷 2024/11/30
掘り上げた#オモダカの塊茎 茅ヶ崎市浜之郷 2021/12/10
#オモダカの塊茎 茅ヶ崎市浜之郷 2021/12/10
#オモダカの葉柄の基部にはむかごはできない 茅ヶ崎市浜之郷 2024/11/30
芽と根は突起から出る。強い嫌光性(けんこうせい)があるようで、透明容器に入れて明るい場所に置いておいたら一向に発芽しなかった。
#オモダカの塊茎の発芽と発根 茅ヶ崎市浜之郷 2022/07/25
#オモダカの塊茎の発芽と発根 茅ヶ崎市浜之郷 2022/07/25
横浜市戸塚区・舞岡公園(耕作体験田んぼ、幅広葉)
藤沢市大庭・引地川右岸の田んぼ(多数、除草されない)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
オモダカの印象が変わりました、、。
地下茎を伸ばしてその先端に塊茎がある画像、小さなクワイ可愛い
来シーズンにオモダカの花を見かけたら 真っ先に
地下茎を伸ばしてその先端に塊茎がある画像を思い出します、きっと。
もしかしてオモダカの雌花(3枚目の画像)、雄花(8枚目の画像)の日付が
224年?
レーズンスティックはコスパ良し美味しいですね
ヤオコーの切り餅も早速に味見して美味しす
食べてる時が いちばん幸せ。