駿河蘭 クサスギカズラ目/ラン科/シュンラン属 花期/7月~10月中旬 見頃/9月中旬~下旬
外来種改良種稀少
環境省レッドリスト2019「絶滅危惧IA類(CR)」
スルガラン 横須賀市山中町 2019/09/17
園芸栽培される常緑の多年草。日本では九州に自生があるらしいが、愛好家の間で流通しているのは中国産のものらしい。名は、駿河国(静岡県)原産と誤認されたとか、駿河でよく栽培されていたからとかいうが、由来は不明。サガミラン(相模蘭)に似て非なるものとしてお隣の駿河の名が冠されたのかもしれない。中国福建省産ということでケンラン(建蘭)、あるいはオラン(雄蘭)とも。園芸品種はギョクチンラン(玉魫蘭)と呼ばれるらしい。ぱっと見は、花期にもシュンラン(春蘭)のような葉を伴っていて、花の形状やサイズ感はマヤラン(摩耶蘭)のようなもの、といったところ。鉢植えで栽培されているものであるはずながら、誰かが投棄したのか、横須賀市の丘陵地で野生化しているものに出遭った。神奈川県立生命の星・地球博物館の大西亘学芸員に写真数点を見て頂いたところ、スルガランだと思うとのご回答を頂戴した。大西さんによれば三浦半島で近年しばしばスルガラン発見の報告があるのだという。マヤランなどと交雑するなどの問題が生じなければ良いのだけれど。
スルガラン 横須賀市山中町 2019/09/17
遭遇した一群の葉は明確には確認できなかった。葉があるといえば少ないながら何本かあるような、周辺に生えていそうなヤブラン(藪蘭)やキチジョウソウ(吉祥草)ないしナガバジャノヒゲ(長葉蛇の髭)といった葉が混在しているだけだといわれればそうであるような。(スルガランではないかという強い疑いを持って葉の詳細を念入りに調べなかったのでこれらとの違いはまったくわからなかった。)
スルガラン 横須賀市山中町 2019/09/17
スルガランの花
ほぼマヤラン。にしては、花被片の緑色が濃過ぎてシュンランを思い起こさせる色合いをしている、側花弁の先端がマヤランのようには開かない、側萼片がマヤランにしては強めに横に広がっている、唇弁にある赤紫斑がほくろ状に入るためマヤランらしからぬ、といった違和感が得られた。一本の花茎(かけい)に付く花の数は、よく成長した株ではマヤランよりも多くなる模様。花には甘い香りがあるという(が、確認しなかった。鼻を近づけて嗅がずとも香ってくるものはなかった。)
スルガラン 横須賀市山中町 2019/09/17
スルガラン 横須賀市山中町 2019/09/17
スルガラン 横須賀市山中町 2019/09/17
スルガラン 横須賀市山中町 2019/09/17
花や葉は変異が大きい。
参考資料
『日本のラン ハンドブック ①低地・低山編』 遊川和久解説 中山博史・鷹野正次・松岡裕史・山下弘写真 文一総合出版発行(2015)
駿河蘭についての解説は間違えています。駿河蘭は建蘭とか雄蘭とも言いますが建蘭、雄蘭には色々なタイプの班入り品種があり日本愛蘭連合会と言う恵蘭の趣味者の団体で数種の品種名で登録されています。この建蘭駿河蘭は中国福建省から数百年前の江戸時代に中国から駿河地方に入った蘭で日本に自生はしておりません。環境省の絶滅危惧植物にスルガランが入れられていますがこの建蘭は中国原産の蘭ですから日本の絶滅危惧植物に設定されているのは間違えています。環境省の方がこの記述を見たら絶滅危惧植物から外してほしいです。