仙洞草、先頭草 セリ目/セリ科/セントウソウ属 花期/3月下旬~4月中旬
学名/Chamaele decumbens (Thunb.) Makino var. decumbens
自生種
セントウソウ 秦野市・立野緑地 2017/04/06
やや湿った林縁部などに生えるやや小型な多年草。一属一種で、日本固有種。名前の由来は不明。”仙洞”なら仙人の住むところ(のような野山深く)。”銭湯”や”戦闘”している様子はない。背高な茎に花が咲くので”尖塔”、小花を多く付けるので”千頭”、考え出したら切りがないが根拠もない。案外、似たような姿の草のうち”先頭”を切って花を咲かせるものの意かもしれない。ヤブニンジン(藪人参)、オヤブジラミ(雄藪虱)、ツルカノコソウ(蔓鹿の子草)、ヤブジラミ(藪虱)、ミツバ(三つ葉)、ウマノミツバ(馬之三つ葉)、セリ(芹)など、紛らわしい花が多々あるため見分けが少々厄介であるが、セントウソウの開花時期はこれらのどれよりも早い。神奈川県内では北部や西部へ行くとセリのようにそこいらにちょこちょこ生えている雑草でしかないが、湘南・鎌倉・三浦半島ではまず見かけない。
低草地に#セントウソウ 鎌倉市・光則寺 2019/03/31
#セントウソウ 鎌倉市・光則寺 2019/03/31
セントウソウ 鎌倉広町緑地 2017/04/14
セントウソウ 秦野市・立野緑地 2020/03/26
葉は基本的に根生葉のみで、なんとなくセリっぽい印象を受けるだろう形状。そこから(ふつう葉を伴わない)茎をにょきっと立ち上げて花を付ける姿がオウレン(黄連)の仲間に似ているため、オウレンダマシ(黄連騙)の異名あり。花期、葉の形、子房(若い実)の形、の三点がセントウソウを見分けるポイントとなる。
セントウソウ 秦野市・立野緑地 2017/04/06
セントウソウの葉 秦野市・立野緑地 2020/03/26
セントウソウの花
ヤブジラミ系の小さな白い花を咲かせる。花柄(かへい)の一本が極端に短い。
#セントウソウ 鎌倉市・光則寺 2019/03/31
セントウソウ 秦野市・立野緑地 2020/03/26
#セントウソウ 鎌倉市・光則寺 2019/03/31
セントウソウ 秦野市・立野緑地 2017/04/06
セントウソウ 厚木市・神奈川県立自然環境保全センター 2018/03/25
花弁が内側にカールして、雄蕊がぴーんと長く突き出ていればヤブニンジンを疑いたい。
セントウソウの実
若い実では花柱が二本残る。
セントウソウの若い実 厚木市・神奈川県立自然環境保全センター 2018/03/25
子房の部分がけばけばしていたらオヤブジラミを疑いたい。
#光則寺(多い)
鎌倉広町緑地、夫婦池公園(のんびり草地)
厚木市・神奈川県自然環境保全センター自然観察園(田んぼ周辺)、秦野市・立野緑地
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
最近、拝見させていただいています。きれいな写真でよく分かり、撮影地も参考になります。セントウソウやツルカノコソウ、いいですね。これだけのものを見せられると、素人が出かけてもしょうがない気がします。しかし、自粛が解けたら行きます。