西洋実桜 バラ目/バラ科/サクラ属 花期/4月上旬 結実期/5月下旬~6月上旬
学名/Cerasus avium (L.) Moench
食用外来種改良種稀少
#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’) 茅ヶ崎市浜之郷 2022/04/07
果樹として栽培される、ヨーロッパから西アジアにかけた一帯を原産とするらしい落葉高木。改良品種多種。別名カンカオウトウ(甘果桜桃)。スーパーマーケットなどで一般に流通している果物のサクランボ(桜ん坊)、英名チェリー(Cherry)、農業の分野ではオウトウ(桜桃)と呼ばれるが、本種の果実のことをいう。名高い高級品種’佐藤錦(さとうにしき)’や’紅秀峰(べにしゅうほう)’、アメリカ合衆国からアメリカンチェリーの名で輸入されている黒っぽい’ビング(Bing)’といったあたりも、すべてセイヨウミザクラ(の改良品種)である。日本国内では寒冷地での栽培が適しており、”おうとう”の収穫量は山形県が断トツの70%を占めていて独走状態。あとは北海道と東北地方、神奈川県の近場では山梨県が主な産地である(令和3年(2021)農林水産統計などに基づく)。従って、温暖な神奈川県南部は栽培不適で、”おうとう”の生産農家や果樹園があるとは聞いたことがない。関東近郊で”さくらんぼ狩り”を楽しもうと思ったら、山梨県や長野県、あるいは群馬県・栃木県あたりまで出かけなければならない。公園や植物園でも見かけない。といいながらも、意外にも’佐藤錦’の苗木はホームセンターで市販されているので、ごく希に民家の庭に一本植えられていたりすることも。生産性を考慮しなければ、湘南・鎌倉・三浦半島でもそれなりにちゃんと育つ(こともある)模様。
開花時期の#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’) 茅ヶ崎市浜之郷 2022/04/07
#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’)の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2022/05/15
#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’)の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2022/05/15
#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’)の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2022/05/15
#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’)の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2022/05/15
湘南・鎌倉・三浦半島で、しっかり大きく膨らんだサクランボらしい実がなるサクラの木は、基本的にはすべて中国原産のシナミザクラ(支那実桜)だと考えて差し支えない。花が咲く、実が赤く熟す時期が両者は全く異なっているので、見分けは容易。
セイヨウミザクラの花
ソメイヨシノ(染井吉野)が満開の頃に咲き始め、その一週間弱ののちに満開する。花色はふつう白。花弁先端に明確な切れ込みは入らない。小花柄(しょうかへい)や萼は無毛。萼片は鋸歯があり、強く反る特徴あり。開花と展葉が同時期なので、花時に葉を伴う。色的に紛らわしいオオシマザクラ(大島桜)は、花期がソメイヨシノとほぼ同時ないしやや早咲きで、花弁先端に切れ込みが入り、萼片は反らない。同じく花色が似るスモモ(李)はソメイヨシノよりやや早咲きなのでもう見頃過ぎ、雄蕊が花盤の縁(ふち)に沿ってリング状に付く特徴あり。ナシ(梨)の花はほぼ同時期ながら、萼片は反り返らず、樹皮が異なる。イヌリンゴ(犬林檎)やリンゴ(林檎)の花は本種よりもう少し遅咲きで、花弁外側が赤みを帯びやすく、葉柄(ようへい)・葉裏・小花柄・萼などに毛がたいへん多い。
#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’) 茅ヶ崎市浜之郷 2022/04/07
#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’)の反り返る萼片 茅ヶ崎市浜之郷 2022/04/07
#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’)の開花時の葉と大きな苞葉 茅ヶ崎市浜之郷 2022/04/07
シナミザクラの花は、ソメイヨシノの開花宣言が出る前に見頃を迎える早咲きで、花色はうっすらピンク色を帯び、豊かな蕊がよく目立つ。
セイヨウミザクラの実
サクランボ。神奈川県南部で赤く熟すのはゴールデンウィーク(4月末~5月初旬)が明けてだいぶたってから。なお確実に鳥の餌食になるので、鳥除けネットで囲う必要あり。カメムシ(亀虫)被害にも遭いやすいかも。
#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’)のサクランボ 2022/07/01
#セイヨウミザクラ(’佐藤錦’)のサクランボ 2022/07/01
シナミザクラの実が赤く熟すのはゴールデンウィークの前後である。なおそれ以外のサクラの仲間、例えばソメイヨシノ(染井吉野)などの実は、ぜんぜん大きくは膨らまないので小指の爪くらいの大きさにしかならず、硬く、味は酸っぱい、苦い、渋いなど散々なもの。甘みの欠片もない。センブリ(千振)茶代わりに罰ゲームで使えそうなレベルで不味い。