クズ

葛　マメ目／マメ科／クズ属　花期／8月中旬～9月　結実期／10月～1月　黄葉／11月中旬～12月中旬
学名／Pueraria lobata (Willd.) Ohwi

食用薬用駆除

国際自然保護連合（IUCN）「世界の侵略的外来種ワースト100」

クズの花　逗子市・池子の森自然公園　2019/09/14

どこにでも生える大型な蔓性の多年草で、雌雄同株（しゆうどうしゅ）。但し古い茎は木質化するので、そうなると樹木である。草地に生えれば他の植物を覆い尽くして荒れ地を作り出す。市街地周辺でも他の樹木や柵・塀・電柱など、ありとあらゆるものに絡まって覆って旺盛に繁る。下手な外来種以上の侵略性は問題大。多年草なので、刈払ったところで駆除できず、また来年しっかり生えてくる。秋の七草。ゴボウ（牛蒡）のお化けのようなごっつい根っこから取れる澱粉（でんぷん）が葛粉（くずこ）で、葛切りや葛餅（くずもち）の原料になる。スーパーマーケットで安価で売られている商品には葛粉が（ものによっては一切）使用されていないので注意。代用品と本葛で作られたものは完全に異質なものである。本葛は希少ゆえに、”白いダイヤモンド”の異名が付けられるほど高価。そこいらに大量に生えている雑草の根っこなんかのどこが希少なのかと思うけれども、まず年季の入った古株を探し出さなければいけない、根といっても五十年物のクズの根などは木質化していて人の胴体くらいに太いため、土中に埋まっているツバキ（椿）の幹を丸々掘り出すようなもので、とっても重労働、それを採取した山から運び出さなければいけないのでまた重労働、掘るのは地上部が枯れた厳寒な冬の間なので寒くてたいへん。灰汁（あく）が強いので冷水に晒したり加工する工程も時間がかかってたいへん。等々、いろいろ訳ありなのである。訳がありすぎて、奈良県吉野地方の特産品「吉野葛（吉野本葛）」でさえ昨今は原料の大半は九州産または中国産に代わっているという（毎日新聞 令和3年（2021）6月21日夕刊）。鎌倉では銭洗弁財天宇賀福神社に近い甘味処「くずきり みのわ」で本葛を使った「くずきり」（消費税10％込み950円⇒令和6年（2014）11月現在税込み1,100円）が味わえるのでお試しいただきたい。本物の葛切りは出来立てを食べてこそ。”賞味期限は10分”である。漢方薬の葛根湯（かっこんとう）も文字通りクズの根が由来。地方によってはカンネカズラ（寒根葛）とも。

クズに覆い尽くされた荒れ地　平塚市・馬入水辺の楽校　2018/08/11

林縁を覆ったクズ　横浜市栄区・上郷・森の家　2023/09/11

田んぼ周辺に生えた開花中のクズ（地を這う濃い緑色ほぼ全部）　寒川町田端　2021/09/13

田んぼ周辺に茂った開花中のクズ　寒川町田端　2021/09/13

藪を覆った開花中のクズ　逗子市・池子の森自然公園　2019/09/14

藪を覆った開花中のクズ　逗子市・池子の森自然公園　2019/09/14

林縁を覆った開花中のクズ　小田原市久野　2024/09/14

開花中のクズ　小田原市早川　2024/09/17

草地を覆ったクズ　平塚市・湘南平　2023/10/14

黄葉し始めた#クズ　横浜市栄区・横浜自然観察の森　2020/11/30

うっすら黄葉したクズ　平塚市／大磯町・湘南平　2024/11/21

冬枯れて熟した実が残ったクズ　平塚市土屋　2025/01/05

葉は先端が尖る幅広な小葉三枚。小さいうちはマメ科らしさを感じる葉だが、小葉一枚が広げた掌よりも巨大化する。その頃には葉の縁（ふち）辺りを中心に虫食い痕が目立って汚らしいものになっているだろう。

クズの若葉　横浜市栄区・横浜自然観察の森　2023/08/06

クズの若葉　茅ヶ崎市浜之郷・小出川　2018/07/13

クズの葉　横浜市緑区・四季の森公園　2024/08/19

クズの葉　茅ヶ崎市浜之郷・小出川　2018/07/18

クズの切れ込みが入る葉　小田原市曽比・酒匂川　2024/06/10

クズの切れ込みが入る葉　小田原市栢山・酒匂川　2024/06/10

クズの大きな葉　平塚市・馬入水辺の楽校　2018/07/26

クズの葉によくいるコフキゾウムシ　茅ヶ崎市西久保・小出川　2018/07/18

クズの葉を食べるマメコガネ　茅ヶ崎市西久保・小出川　2018/07/18

クズの虫にかじられた葉　茅ヶ崎市西久保・小出川　2018/07/18

幼葉は、ヒメクズ（姫葛）の異名を持つノアズキ（野小豆）の葉に似ていないでもない。が、クズの葉は全体的に毛が多くてけばけば、葉裏の脈が強く浮き出ている、小葉の基部に托葉がある、ので、違いは明白。蔓植物ではないがマルバヌスビトハギ（丸葉盗人萩）の葉も形状が似ている。

クズの幼葉　茅ヶ崎市萩園　2022/08/22

クズの幼葉裏　茅ヶ崎市萩園　2022/08/22

クズの幼葉　茅ヶ崎市萩園　2022/08/22

クズの葉の托葉（白色矢印）　茅ヶ崎市萩園　2022/08/22

クズの葉の托葉　茅ヶ崎市萩園　2022/08/22

クズの茎の先端　横浜市栄区・横浜自然観察の森　2023/05/27

クズの茎の先端　横浜市栄区・横浜自然観察の森　2023/05/27

棚仕立てで栽培されている#クズ　東京都小平市・東京都薬用植物園　2025/07/31

#クズの木質化した幹　東京都小平市・東京都薬用植物園　2025/07/31

#クズの木質化した幹　東京都小平市・東京都薬用植物園　2025/07/31

クズの花が咲き終わると、荒れ地はじきにカナムグラ（鉄葎）とアレチウリ（荒れ地瓜）の天下に移行する。

クズの花

花序は一気に満開はせず徐々に咲き進んでゆく。小花は大型なマメ科のものなので、きれいに咲き揃うものならばヤマフジ（山藤）のようで人気も出たろうに。アメリカホドイモ（アメリカ塊芋）の花が少し似る。

クズの花　逗子市・池子の森自然公園　2019/09/14

クズの花　逗子市・池子の森自然公園　2019/09/14

クズの花　逗子市・池子の森自然公園　2019/09/14

クズの花　小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園　2018/08/26

クズの花　横浜市戸塚区・舞岡町小川アメニティ　2017/08/27

クズの花から抽出したイソフラボンに痩身効果があるとする摩訶不思議なお茶・青汁・サプリメント等が販売されている。
平成29年（2017）11月7日、消費者庁は、「1日1杯飲むだけ！体重やお腹の脂肪を減らす！」などと謳（うた）っていたクズの花由来イソフラボン商品の販売会社16社に対し景品表示法違反（優良誤認）で再発防止などを求める、機能性表示食品に関するものとしては初の措置命令を出した。

クズの実

マメ科らしい形状。

クズの若い実　葉山町上山口　2017/10/05

クズの若い実　葉山町上山口　2017/10/05

クズの若い実　葉山町上山口　2017/10/05

クズの熟した実　平塚市土屋　2025/01/05

クズの熟した実　平塚市土屋　2025/01/05

種子もマメ科らしいマメ。熟してぺたんこになった莢（さや）の中に、意表を突くほどに小さいマメが入っている。

クズの熟した実と種子　横浜市栄区上郷町　2020/01/29

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