藪蔓小豆 マメ目/マメ科/ササゲ属 花期/8月中旬~9月 結実期/9月中旬~11月中旬
学名/Vigna angularis (Willd.) Ohwi & H.Ohashi var. nipponensis (Ohwi) Ohwi & H.Ohashi
自生種稀少保護
ヤブツルアズキ 藤沢市大庭・小糸川土手 2018/09/12
蔓性の一年草。豆が餡子(あんこ)の原料になる栽培品種アズキ(小豆)の日本在来の原種とされる。日当たりが良くやや湿った場所がお好みなのか、河川の土手や田んぼ周辺で比較的多く目にする。湘南・鎌倉・三浦半島ではあまり見かける機会はないが、おもしろいことに生えている場所では結構まとまって大量にある。よく茂る蔓植物のため、草地で夏前後に実施される無選別な刈払いの被害に遭いやすく、探し出すのは結構困難だろう。花の形がノアズキ(野小豆)とそっくりなことで有名ながら、実ができていれば形状の違いが明確なので判別は簡単。ヤブツルアズキの実は細長い線形(インゲンマメ形)で、ノアズキは明らかに幅広(キヌサヤ形)である。じつは葉のサイズ感も形状も全く違う。なお個人ブログ等でノアズキと称して紹介されているものは、湘南・鎌倉・三浦半島に限っていえばごく一部を除いてほぼすべてがヤブツルアズキのようなので注意が必要。畑で栽培されているものはアズキ。
ヤブツルアズキ 茅ヶ崎市・清水谷 2016/09/09
ヤブツルアズキの群生 茅ヶ崎市・清水谷 2019/09/06
ヤブツルアズキ 藤沢市大庭・小糸川土手 2018/09/12
草地に広がるヤブツルアズキ 茅ヶ崎市・清水谷 2017/09/19
葉は互生で、(三出複葉とは言わず)羽状の三小葉。小葉は浅く切れ込みが入って三裂しかけるものが多々出現する。初夏の頃はまだ葉がタンキリマメ(痰切豆)やトキリマメ(吐切豆)のように小さいが、葉の形状と浅い三裂という特徴がしっかり出ているので見分けはできよう。葉柄(ようへい)や茎、萼にけばけばした開出毛が多い。
#ヤブツルアズキの(だいぶ発芽が遅れた)双葉 茅ヶ崎市浜之郷 2022/07/07
ヤブツルアズキの若い株のまだ小さめな葉(照りは降雨の影響) 中井町藤沢 2022/06/21
ヤブツルアズキの葉 茅ヶ崎市・清水谷 2017/09/19
ヤブツルアズキの大きく成長した典型的な葉 茅ヶ崎市・清水谷 2016/09/09
ヤブツルアズキも生えていたが行政により丸禿げにされてしまった土手 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/11/25
ヤブツルアズキの花
花はマメ科の黄色いもの。ノササゲ(野大角豆)、タンキリマメ(痰切豆)、トキリマメ(吐切豆)とは違って幅広で、花弁がくしゃくしゃっとしていて構造が判然としない感じ。
ヤブツルアズキ 茅ヶ崎市・清水谷 2016/09/09
ヤブツルアズキ 茅ヶ崎市西久保・小出川土手 2018/09/08
形状はマメ科ならではの蝶形花(ちょうけいか)で、ゾウ(象)の耳形をした旗弁(きべん)が一枚(左右一枚ずつではなく繋がった一枚)、前ならえしている翼弁が左右一枚ずつ、ガッツポーズをしている右腕のように見える竜骨弁ないし舟弁(しゅうべん)と呼ばれるものが一枚、で構成。竜骨弁が右側(向かって左側)の翼弁を持ち上げてしまっているため、左右非対称で奇妙な形状に。なお蕊は竜骨弁に覆われている。
ヤブツルアズキ 茅ヶ崎市・清水谷 2016/09/09
蜜を出すのか、(花のみならず若い実にも)小さなアリ(蟻)が集まっている。
ヤブツルアズキ 茅ヶ崎市・清水谷 2016/09/09
ヤブツルアズキの実
マメ科の実は豆果(とうか)という。インゲンマメ(隠元豆)のように細長い。
ヤブツルアズキの若い実 茅ヶ崎市・清水谷 2017/09/29
ヤブツルアズキの若い実 茅ヶ崎市・清水谷 2017/09/29
ヤブツルアズキの熟した実 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/10/09
ヤブツルアズキ(上)と栽培品種#アズキ(下)の実と種子の比較
横浜市栄区・瀬上市民の森
藤沢市大庭(引地川親水公園大庭遊水地南側の小糸川土手)、清水谷(9月上旬)、茅ヶ崎市西久保・小出川(左岸土手=湘南タゲリ米の里西側、土手通路確保のための夏の刈払りで存在が大量に露見するが更なる刈払いでヤブツルアズキまで丸刈られてしまう、右岸土手にも少々)、茅ヶ崎市・湘南タゲリ米の里(妙運寺第二墓地の南方)
寒川町田端(西久保橋北側の田んぼにある東京電力送電線鉄塔「湘南茅ヶ崎線No.2」柵内)
海老名市大谷・貫抜川放水路沿い(えびなの森の楽校南西の左岸、植えてあるヒガンバナが咲く前に全草刈られる)、中井町藤沢(不耕作田)、#箱根湿生花園(④ヌマガヤ草原区)
貴重な植物なら柵を作って保全活動などはされないのでしょうか…今よくある、クラウドファンディングなどして