月見草 フトモモ目/アカバナ科/マツヨイグサ属 花期/5月~11月上旬 結実期/6月中旬~12月
学名/Oenothera tetraptera Cav.
稀少
#ツキミソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/08/18 19:28
花観賞用に日当たりの良い場所で園芸栽培されることがある、北米南部からメキシコを原産とする一年草(越年草)。名は、花が夜間にのみ咲くことから。複数の花が同一方向を向いて咲いているので、明るい方(月が出ている方)を向いて咲こうとしていると思われる。知名度だけは高いものの実物を見かける機会がほぼまったくないせいか他種との混同が多いのだろう、昨今はシロバナツキミソウ(白花月見草)やシロバナヨルザキツキミソウ(白花夜咲月見草)などという流通名で認識されているようである。全体的には大型化せず草丈は人の膝(ひざ)程度。マツヨイグサ(待宵草)に雰囲気が似て茎は細めで、マツヨイグサ以上に頼りない印象。民家で栽培するのにちょうど良いサイズ感と思われるが、夜咲き品種が全般的に不人気なせいだろうが、ホームセンターの園芸コーナーで取り扱いはなく一般には流通しておらず、植物園や好事家(こうずか、マニア)が細々と栽培している程度。確かに、ふつうの住宅地では深夜の新聞配達員くらいしか花を見てくれる人はいないかもしれない。真夏の鉢植えで水やりは早朝一回(ないし日暮れにもう一回)。多少の乾燥と多少の過湿には耐えてくれるので、あまり神経質に難しく考える必要なし。栽培自体は簡単。
#ツキミソウの発芽 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/19
草丈の低い夏播き夏咲きの#ツキミソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/22 05:32
茎が細いので、少しひょろひょろっと伸びてきたところでどうしても(強風に当たって)傾き倒れ、荒れた姿になりがち。その状態で少しでも放置すると、茎先端だけ上を向くようにくいっと曲がってしまってもう直らないので、更に見栄え悪い。全体的にきれいな姿を楽しめるのは、草丈高くなっていない咲き始めのうちだけ。
#ツキミソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/08/18 19:38
葉は小さめでコマツヨイグサ(小待宵草)似。
#ツキミソウの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/08/19
#ツキミソウの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/06
#ツキミソウの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/06
結構強めな連作障害を起こすようである。雑草として帰化を試みながらも定着できなかったのはこのせいだろう。土は毎年(毎春)入れ替えるか、地植えであれば場所を毎年(毎春)移動させて栽培すること。有機肥料も含めてバランス良く追肥を施せば絶望的な状態にまではならないように感じられる。
連作障害が顕著に現れ始めた二年目の#ツキミソウ(左側、葉が紅葉して開花が止まった) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/03
特に真夏とその前後、スズメガ(雀蛾)というガの仲間の幼虫が付くので要注意。超絶気持ち悪い目玉模様(眼状紋と呼ばれる威嚇用のモンスターコスプレ)が特徴的で、尻にアンテナが立っている、女性の小指くらいにはなろうかという巨大イモムシ(芋虫)がそれ。一匹のみならず多数出現し、食欲旺盛で葉も芽も蕾も実もばくばく食らってしまう。一週間も目を離そうものなら葉はすべて禿げあがってしまうなんていうこともしばしばあるので、葉が食われていないかこまめに確認を。日中は株元や近所の日影に隠れていることもあり、幼虫本体は意外と見つけづらい。発見したらただちに(百均などで売っている)小型トング等で摘まみ取って駆除すべし。その際、ねばねばしたものを吐瀉(としゃ)することがあり、これまた気色悪い。毒はないとのこと。
#ツキミソウを食い荒らすコスズメの幼虫(2株に20匹以上付いていた) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/06
#ツキミソウを食い荒らすコスズメの幼虫 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/06
ツキミソウの花
日没後に開花し、朝咲き終わって萎(しぼ)む。一日花。太陽が沈んで暗くなったら短時間で一気に花弁を全開させるので、膨らんだ蕾の前に座って観察してみてもおもしろいかもしれない。花径は、生育悪い個体で5cm程度、ふつう6cm程度。なかなかボリューム豊かで見ごたえのあるきれいな花である。花色は白。月光に照らされて妖艶な純白で、見る者の心を一瞬にして鷲掴みにしてしまう力がある。芳香なし。
#ツキミソウの蕾と若い実 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/08/18
#ツキミソウのほころび始めた蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/20 17:17
#ツキミソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/08/18 19:31
#ツキミソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/08/18 19:37
#ツキミソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/08/18 19:39
#ツキミソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/19 21:36
#ツキミソウの雌蕊と雄蕊 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/19 21:35
花は咲き終わる早朝に変色するのかと思いきやそうではなく、日付が変わる深夜にはもううっすらとピンク色に染まり始めていた。朝日を浴びると花弁は萎(しお)れて咲き終わる。
深夜の#ツキミソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/20 00:44
#ツキミソウの早朝の赤らんだ花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/22 (05:07- 日の出)05:28
朝になって萎み始めた#ツキミソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/17 09:23
萎んだ#ツキミソウ(左下は前日に咲き終わった花殻) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/17 17:00
上に掲載した株は秋に入って日当たりの悪い辺鄙な場所に追放したが、それでも霜が降りる12月に入るまで細々と花を付け続け枯れることはなかった。かなり丈夫な、しぶとい植物である。
夜咲きする同属のマツヨイグサの仲間(マツヨイグサ、オオマツヨイグサ(大待宵草)、メマツヨイグサ(雌待宵草)、コマツヨイグサなど)も俗にツキミソウと呼ばれることがあるので注意したい。むしろ大衆にとってはこれらこそツキミソウという認識か。以上はいずれも花色は黄色。”ハトムギ、玄米、月見草♪”のCMでお馴染みの「爽健美茶」(日本コカ・コーラ)に含まれている成分は、公式サイト掲出のイラストから黄花のマツヨイグサの仲間の方と思われる。太宰治『富嶽百景』に象徴的に登場する月見草も黄花の方。戦後の童謡「月見草の花」に歌われた月見草も”ほのかに匂う”とあるので黄花の方。”王や長嶋はヒマワリ、俺はツキミソウ”の喩(たと)えが有名だった元プロ野球選手野村克也氏がいうツキミソウも、故郷京都府京丹後市の海辺に夜咲く黄色い花とのこと。ノムさんは「俺の花だよ月見草」というCDまで発売している。どうやら昔っから、本来の白花のツキミソウは(ノムさんが卑下する黄花のマツヨイバナの仲間よりもずっと)マイナーで日の当たらない存在だったようだ。
昼咲きの近似種ヒルザキツキミソウ(昼咲月見草)およびユウゲショウ(夕化粧)も帰化雑草として市街地周辺に多い。
ツキミソウの実
黄色花を咲かせるマツヨイグサの仲間は細い筒状の実を付けるが、ツキミソウはぷっくらと中膨れするかわいらしい形状になる。中に種子多数。
#ツキミソウの未熟な実 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/08/19
#ツキミソウの良く膨らんだ実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/06
#ツキミソウの実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/23
東京都文京区・#小石川植物園(分類標本園)
#大船フラワーセンター(鉢植えで少数、8月下旬の土日「夜間開園」(20:30閉園)の際に、夜間開園日に必ず開花するとは限らない(咲かずとも公式サイト等で事前告知されない)ので事前(当日夕方)に”今夜咲きそうな蕾があるか”電話で問い合わせることを薦める)
はじめまして。白花月見草の種を入手しまして3月に蒔く予定ですが、北関東では早すぎますか?