猪独活 セリ目/セリ科/シシウド属 花期/7月~8月上旬 結実期/8月~9月
学名/Angelica pubescens Maxim. var. pubescens
薬用自生種稀少
シシウド 湯河原町・椿ライン 2017/08/01
山地や丘陵地に生える多年草。海辺で見かけるハマウド(浜独活)の山地型といったような感じの植物。背丈は2m程度まで巨大化するものが多々ある。名前は、苦みが強いのでウドとは違ってふつう食用にならず、イノシシ(猪)にでも食べさせておけという意味だという。人の役に立たない野性味ある大型なごつい野草にはシシがしばしば冠される。なお食用のウドはウコギ科なので、姿が何となく似ているというだけでまったくの別種である。根は漢方薬の独活(どっかつ)になる。神奈川県内では主に丹沢方面や箱根に分布。芦ノ湖(標高720m余り)くらいの高地で車道沿いに数多く生えている。湘南・鎌倉・三浦半島では丘陵地に自生があるようながら、少ない。どでかい上に認知度も低く花も観賞に足るものではないため、保護の対象になりづらく容赦なく刈られてしまう。株はあれども、花はなかなか見かける機会がない、観察に意外とハードルが高い植物である。湘南・鎌倉・三浦半島では、ハマウドの他に、アシタバ(明日葉)、ハナウド(花独活)、ノダケ(野竹)、といった近似種があり、見分けはなかなか困難である。特にノダケに要注意。
シシウドの若い株 藤沢市・新林公園 2019/04/18
初夏のシシウド 横浜市緑区・四季の森公園 2021/05/04
林縁の明るい草地に生えたシシウド 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10
林縁の明るい草地に生えたシシウド 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01
山の斜面に生えたシシウド(と思しきもの) 鎌倉市・永福寺跡 2021/07/19
シシウドの咲き始め 藤沢市・新林公園 2022/07/11
シシウド 湯河原町・椿ライン 2017/08/01
葉は、アシタバほどぺらっぺらではないものの薄め。微妙な違いだがノダケより薄い。小葉は(ノダケより)幅広め。鋸歯は先端が白く見え、ノダケに似る。ノダケと違って、小葉の柄(え)に翼(よく)があまり発達しない。翼がいちいち発達して小葉に柄がない傾向が強かったらノダケである疑い。
シシウドの初夏の葉 横浜市緑区・四季の森公園 2021/05/04
シシウドの初夏の葉 横浜市緑区・四季の森公園 2021/05/04
シシウドの葉 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10
シシウドの葉 藤沢市・新林公園 2022/07/11
シシウドの葉 湯河原町・椿ライン 2017/08/01
シシウドの葉の鋸歯 藤沢市・新林公園 2022/07/11
シシウドの葉裏 藤沢市・新林公園 2022/07/11
葉裏は、脈状に(肉眼でぎりぎり視認できる)細かな毛がたくさん生えている。葉先の方までしっかり毛が生えていたらシシウド。ノダケの葉裏は、軸近くの太い脈状には毛が生えるも、それ以外は無毛である。模様的に毛が生えているのかいないのか判断しづらいことがあるので、(10倍)ルーペで覗いた方が確か。
シシウドの初夏の葉裏に生える毛 横浜市緑区・四季の森公園 2021/05/04
シシウドの葉裏に生える毛 藤沢市・新林公園 2022/07/11
シシウドの葉裏 湯河原町・椿ライン 2017/08/01
ハマウドと違って、茎に明確なストライプ模様は入らない。よおく見れば細かな白色の毛がたくさん生えている。花柄の付け根は膨らむ。
シシウドの茎 藤沢市・新林公園 2022/07/11
シシウドの茎 湯河原町・椿ライン 2017/08/01
シシウドの茎(赤みを帯びたもの) 湯河原町・椿ライン 2017/07/28
茎を切断すると白色の乳液がにじみ出てくる。
シシウドの茎の断面 湯河原町・椿ライン 2017/07/28
なお山地へ行くと、イワニンジン(岩人参)、シラネセンキュウ(白根川芎)、アマニュウ(甘にゅう)、などといった近似種もある。
シシウドの花
開花は夏本番を迎える直前。茎頂上部の花序が先に開花し、続いて脇の花序が開いてゆく。見頃は7月中旬遅めから下旬の早めといったあたりか。満開時は打ち上げ花火を見るかのように美しい。なお数年かけて大きく成長した株でないと花は咲かない。
シシウドの咲き始め 藤沢市・新林公園 2022/07/11
シシウド 藤沢市・新林公園 2022/07/11
シシウド 藤沢市・新林公園 2022/07/11
シシウド 藤沢市・新林公園 2022/07/11
シシウド 湯河原町・椿ライン 2017/07/28
シシウド 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10
シシウド 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10
シシウド 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10
シシウド 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10
シシウド 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10
シシウド 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10
雄蕊は早々と脱落してしまうようだ。
シシウド 湯河原町・椿ライン 2017/07/28
茎上方(花序周辺の茎)に袋状の大きな鞘(さや)が目立ってあればアシタバだろう。9月になると花をよく目にするようになる。
シシウドの実
シシウドの若い実 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01
シシウドの熟した実 横浜市緑区・四季の森公園 2020/11/01
シシウドの熟した実 横浜市緑区・四季の森公園 2020/11/01
東京都文京区・#小石川植物園(8月中旬、薬園保存園、シシウドと称してアシタバが生えていた?)、東京都八王子市・長池公園、横浜市金沢区・横浜つながりの森、横浜市栄区・横浜自然観察の森(長倉口外)、横浜市緑区・四季の森公園(7月下旬、ノダケもあって花が咲いていないものはややこしい)
藤沢市・新林公園(冒険広場上の散策路入口に多い、片瀬山北公園口北東のベンチ付近に少々)、高麗山公園(ヤブラン平 ※マダニが大量に生息している疑いあり危険)
大楠山、鎌倉市・永福寺跡(遊歩道)、湘南平車道(「湘南平富士見」バス停~高麗山公園子供の森の道路沿い北側)
湯河原町・県道75号椿ライン(「箱根レーダー局前」バス停周辺など、7月下旬~8月上旬)、箱根湿生花園(7月末~8月中旬)