ニホンイノシシ

日本猪 哺乳類/鯨偶蹄目/イノシシ科/イノシシ属 出没期/通年 出産期/4月~6月(主に5月

危険在来種外来種駆除保護

鳥獣保護管理法「指定管理鳥獣」

ブヒブヒいいながら近づいてきたイノシシの若い個体 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園西側 2018/11/02

ブヒブヒいいながら近づいてきたイノシシの若い個体 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園西側 2018/11/02

単にイノシシとも。体長・体重ともに成人男性程度。ときに100kgを超える。昼夜を問わず活動するが、警戒心がたいへん強いため人里近くにこっそり現れるのはふつうは日が傾いてから。鼻をブヒブヒ鳴らしてにおいを探りながら鼻先で地面を掘り起こし、ミミズや植物の根などを食べているようである。キノコは好きではないようで、打ち捨てられている。春には竹林によく出没し、大好物のタケノコ(筍)を食い散らかす。人間と違って穂先の柔らかい部分ではなく、根元の硬いところがお好みのようだ。ヤマユリ(山百合)などの球根(ユリ根)も大好物。畑の農作物(のうさくぶつ)もよく食い荒らすため、有害鳥獣という扱いになる。田んぼに現れてはイネ(稲)も食らう。

林の中からひょっこり現れたイノシシの若い個体 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園西側 2018/11/02

林の中からひょっこり現れたイノシシの若い個体 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園西側 2018/11/02

こちらを気にしている割に逃げもしないイノシシの若い個体 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園西側 2018/11/02

こちらを気にしている割に逃げもしないイノシシの若い個体 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園西側 2018/11/02

走ってきた自動車に怯えて林に逃げ込むイノシシの若い個体 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園西側 2018/11/02

走ってきた自動車に怯えて林に逃げ込むイノシシの若い個体 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園西側 2018/11/02

神奈川県内では、主に丹沢や箱根などの山間部に生息。もちろん大昔は県内全域にいたに相違ないが、三浦半島などでは絶滅した。とされていた。平成4年(1992)に県がまとめた「神奈川県鳥獣生息分布調査報告書」にも県西部に分布すると記されている(県東部にはいない、ということ)。その後、野生鳥獣の減少を憂う声が高まり、イノシシも保護の対象に。

野良ネコのごとく周囲をうろつくイノシシの若い個体 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園西側 2018/11/02

野良ネコのごとく周囲をうろつくイノシシの若い個体 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園西側 2018/11/02

そのイノシシ、今度は増えてしまって問題になっている。平成17年(2005) 平塚市・高麗山周辺でイノシシによる農作物の被害が発生。平成25年(2013)なぜか葉山町上山口地区などでも同様に被害が生じ、イノシシの目撃報告がにわかに上げられるようになった。ここだけの話であるが、同時期に鎌倉市某所で飼育されていたイノシシ親子の消息が不明になったことともしかしたら関係があるかもしれない。あるいは相模川などを通行して自ら移動してきたものかもしれない。今のところ神奈川県内においては怪我などの人的な被害はほとんど出ていないが、イノシシに突進を食らえば骨折し、牙で突かれれば肉えぐれ、運が悪ければ太腿(ふともも)に牙がざっくり突き刺さって動脈が切断され出血多量で死に至り、咬(か)まれれば手の指を食い千切られたり、場合によっては病原菌を移される可能性も。相手は一年中山地や丘陵地の険しい斜面を駆けずり回っている現役アスリートなので、残念ながら運動不足でたるみ切っている現代人が太刀打ちできるものではない。遭遇してしまったらそっと後ずさりをして距離をとること。基本的には小心者なイノシシの方で逃げてくれるが、人に気づくのが遅れた場合は慌てて錯乱しこちらに向かって猪突猛進(ちょとつもうしん)してきてしまうことも考えられる。残念ながらイノシシはどんくさくて人間を察知するのがたいへん遅く(人間の方が先にイノシシに気づく有様)、賢い動物ではないので、ばったり遭遇してしまった場合(林ががさがさと大きな音を立て始めたと思ったらイノシシが急に飛び出してくる)、イノシシが何をしたいのか、何をしようとしているのか、まったく計り知れないので注意されたい。運悪く襲われた場合は全力で逃げ、捕まった場合はイノシシの目と鼻先を攻撃目標に据えて全力で戦うこと。命のやり取りなので、殺すつもりで戦うべし。

平成31年(2019)1月 山梨県山梨市の山中でイノシシ猟をしていた四名うち、イノシシを待ち構えていた男性(50代)が背後からイノシシに襲われ左足を負傷し死亡。(産経新聞、同年1月20日)
平成30年(2018)12月 兵庫県芦屋市で女性(80代)がいきなりイノシシに突進され、左手の薬指を3cm咬み千切られた。
同年1月 茨城県つくば市で男性(70代)がイノシシに20分間襲われ、右手の親指を咬み千切られた。

神奈川県内のイノシシ被害例


平成30年(2018)12月25日 小田原市国府津・酒匂・中里(およそJR国府津駅~鴨宮駅の一帯)に出没。女性(70代)が転倒し軽傷。蓮台寺の庫裏(くり、住職一家の住居)内に強引に侵入して物色、男性(60代)が軽傷。他にガラスが割られたという通報が数件あった模様。(神奈川新聞WEB版(カナロコ)同日)

平成28年(2016)9月14日 伊勢原市坪ノ内で農作業をしていた男性(67)がイノシシに咬まれて全治三週間の重傷。

イノシシは、シカ(鹿)などと共にヤマビル(日本山蛭)マダニ(真蜱)を拡散させていることも看過できない深刻な問題になっている。

イノシシの肉は風流にもボタン(牡丹)と呼ばれる。長らく日本では肉食が禁止されていたこともあり隠語で呼ばなければいけなかったとか、絵の構図として有名な「唐獅子牡丹」から(イノ)シシだからボタンだとか、ボタンの花のごとく美しく皿に飾り付けられるからだなどと理由は諸説ありよくわからない。ぼたん鍋といったら猪鍋(ししなべ)を指す。なおシカ肉はモミジ(紅葉)、ウマ(馬)の肉はサクラ(桜)という。なおブタ(豚)は人間によって家畜化されたイノシシの成れの果ての姿である。中間種はイノブタ(猪豚)という。

イノシシの土耕跡

丘陵地のハイキングコース沿いや草地などに何者かが地面を掘り起こしたような鍬(くわ)で耕したかのような奇妙な痕跡あらば、(人がタケノコやヤマノイモを盗掘した犯行現場を除いて)イノシシが餌を探して鼻先で土を掘り起こした跡。土耕跡(どこうあと)と呼ばれる。植物が生えやすい明るい林縁部や道路脇を徹底して掘り起こしてしまうため、稀少な植物が甚大な被害を受けている。テレビなどのニュースや報道を見る限り取り上げられているのはもっぱら畑に植えられた農作物の被害ばかりであるが、それは農家(政治家や役人に対して影響力を有しているJAなどの団体員)が対策や経済的損失の補てんを求めて騒ぎ立てているからであって、実際に発生している主たる被害は野良の野草たちである。平塚市および大磯町にまたがる高麗山(こまやま)はイノシシが発生して久しく行政による対策が何ら取られることなく放置された結果、”最早訪れる価値がほぼ完全に失われた”といわざるを得ないほど大いに荒廃し、めぼしい稀少な野草はことごとく数を減らした、あるいは姿を消してしまった。頭のおかしい人が鍬を担いで毎日毎日見境なくそこかしこをざっくざっくと耕して歩いている、というような惨状である。

イノシシ土耕跡 静岡県熱海市上多賀・頼朝一杯水苑地 2016/10/04

イノシシ土耕跡 静岡県熱海市上多賀・頼朝一杯水苑地 2016/10/04

イノシシ土耕跡 静岡県熱海市上多賀・頼朝一杯水苑地 2016/10/04

イノシシ土耕跡 静岡県熱海市上多賀・頼朝一杯水苑地 2016/10/04

イノシシ土耕跡 平塚市・高麗山公園ヤブラン平 2017/02/19

イノシシ土耕跡 平塚市・高麗山公園ヤブラン平 2017/02/19

イノシシ土耕跡 平塚市・高麗山公園ヤブラン平 2017/02/19

イノシシ土耕跡 平塚市・高麗山公園ヤブラン平 2017/02/19

イノシシ土耕跡 平塚市・高麗山公園 2018/03/31

イノシシ土耕跡 平塚市・高麗山公園 2018/03/31

イノシシ土耕跡 平塚市・高麗山公園 2018/03/31

イノシシ土耕跡 平塚市・高麗山公園 2018/03/31

イノシシ土耕跡は、ふかふかな土盛りとなる。さすれば、当然土砂は崩れる。落石も発生する。

イノシシ土耕跡で起こる小規模な土砂崩れ 平塚市・高麗山公園 2017/07/19

イノシシ土耕跡で起こる小規模な土砂崩れ 平塚市・高麗山公園 2017/07/19

鳥獣保護法(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律)で狩猟鳥獣(狩猟対象になるため規制をかけて”保護”している鳥獣)に指定されており、無闇やたらと捕獲することは禁じられている。そのせいもあって近年は生息数が増加傾向。
平成27年(2015)鳥獣保護法が改正されて鳥獣保護管理法に。イノシシとニホンジカ(日本鹿)は”管理”の名のもとに積極的に駆除する方向性で決定した。


平塚市・大磯町・二宮町・高麗丘陵(楊谷寺谷戸入口を入ってすぐ沼田場)

横須賀市・葉山町・逗子市・鎌倉市・三浦丘陵

松田町・最明寺史跡公園、小田原市・辻村植物公園、小田原市・早川石丁場群周辺~石垣山一夜城歴史公園

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『ニホンイノシシ』へのコメント

  1. 里山ライフ 投稿日:2023/04/14(金) 09:11:43 ID:e1259a159 返信

    2022/09/11(日)
    里に降りて自治会役員と立ち話中に、
    すぐ近くの丘を「イノシシ」が疾走していった(06:10)。

    当自治会内でのイノシシ被害が目立っているが、
    目の当たりにすると「熊のようにデカイ」いし、動きも速い!
    さながら「大型モーターバイク」並みの凄みがあり、普通車程度ではひとたまりもなさそうだ。
    イノシシは、
    映像や動物園などで見知った存在だったが、リアルな野生の獣は別格だった。

    スリランカに滞在中は、
    事あるごとに「コブラは襲っては来ないが、野生ゾウは危険。RV車でさえペシャンコにしてしまうから…、!」と警告され続けた。
    ゾウとの比較では格差があるが、野生のイノシシに恐怖心を抱いた。