野竹 セリ目/セリ科/シシウド属 花期/9月下旬~10月中旬 結実期/11月中旬~12月
学名/Angelica decursiva (Miq.) Franch. & Sav.
薬用自生種稀少保護
ノダケの花序(左/雌性期、右/雄性期) 葉山町/逗子市・森戸川源流 2017/10/08
日当たりのあまりよろしくない林床などに生える、背高で大型の多年草。名は、野に生えて、茎がタケのように見えることがあるから、という意味であるが、タケにそっくりと感じることはまずないのではないか。生えている場所や形態からして、ハナウド(花独活)や、特にシシウド(猪独活)と紛らわしい。神奈川県内広く分布があるようで、『神奈川県植物誌2018』には”県内では沖積地を除く樹林内や林縁に普通”と記載されているが、湘南・鎌倉・三浦半島で見かける機会はさほどない。普通種といえるほどそこいらでちらほら見かけるものでなく、むしろやや希少な方。自生地であっても数株が点在するのみ。
#ノダケの実生(発芽から開花まで三年を要した) 茅ヶ崎市浜之郷 2019/05/07
ノダケの若株 秦野市・立野緑地 2022/09/14
ノダケの若株 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
ノダケ 横浜市栄区/鎌倉市・天園ハイキングコース 2022/06/10
ノダケ 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケ 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
草丈は近似種同様1.5mくらいに伸びて大型化するが、がっしりとしたシシウドなどに比べればひょろっとやや細身な印象。
ノダケ 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケ 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケ 葉山町/逗子市・森戸川源流 2017/10/08
ノダケ 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
シシウドとは、(花が咲いていなかったら)葉で見分ける。シシウドの小葉には柄(え)があり、ノダケの小葉にはことごとく翼(よく)が発達することもあって柄がないのがふつう。葉裏の毛は、シシウドは脈状に細かな毛が密生しているのに対し、ノダケは無毛、といわれるのだが、ノダケにも有毛のものがあるので判別に使おうとすると(両者を見慣れていない人は特に)むしろ混乱に陥る可能性。傾向としては、シシウドは(茎も含めて)多毛、ノダケは無毛、ではある。
ノダケの葉 横浜市栄区/鎌倉市・天園ハイキングコース 2022/06/10
ノダケの葉 藤沢市・新林公園 2021/08/27
ノダケの葉 横浜市緑区・四季の森公園 2023/06/20
ノダケの茎上部の葉 葉山町/逗子市・森戸川源流 2017/10/08
ノダケの茎中部の葉 葉山町/逗子市・森戸川源流 2017/10/08
茎が立ち上がっていないノダケの大きな葉 藤沢市・新林公園 2022/07/20
ノダケの茎 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10
セリ科の植物なので、キアゲハ(黄揚羽)の幼虫が付くことがある。無毒。
ノダケに付いたキアゲハの幼虫 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケの花
セリ科ならではの複散形花序。この手の花は白っぽい花を咲かせるのがふつうながら、ノダケの花色は意表を突いて紫系統の色。色味には個体差があり、明るい赤紫だったり、渋い暗紫色だったり。シシウドなどに比べると花序は大きくは開かず、大きな図体の割にこじんまりした印象。雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)で、花弁と雄蕊が落ちたあとに二裂する雌蕊がにょきっと伸び出て雌性期(しせいき)に変わる。
折り畳まれた白色の花柱が幾何学模様を織りなすノダケの蕾 相模原市緑区・相模原北公園 2021/10/20
折り畳まれた白色の花柱が幾何学模様を織りなすノダケの(開花しかけている)蕾 二宮町・吾妻山公園 2022/09/26
ノダケ 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケ 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケ 葉山町・逗子市・森戸川源流 2017/10/08
ノダケ 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケの雄性期 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケの雄性期 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケの雌性期 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケの雌性期 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
ノダケの仰ぎ見た花序(左/雌性期、右/雄性期) 葉山町/逗子市・森戸川源流 2017/10/08
花が白色の品種をシロバナノダケ(白花野竹)と呼び分けることがある。
ノダケ(シロバナノダケ) 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30
中間的な、花盤白、花弁紫、というものも。
ノダケ 二宮町・吾妻山公園 2022/09/26
ノダケの実
ヒマワリのタネのような姿の実ができる。
ノダケの実 葉山町・逗子市・森戸川源流 2018/11/23
横浜市緑区・四季の森公園(多いがシシウドと混生する地点もありたいへん紛らわしい)、横浜市栄区・横浜自然観察の森(ミズキの道14)
森戸川源流、横浜市栄区/鎌倉市・市境広場~天園
鎌倉広町緑地、新林公園、高麗山公園、二宮町・吾妻山公園(シバザクラ園以西に点在)
秦野市・立野緑地(多いが園路に近いためかことごとく刈られる)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
はじめまして、私は山菜がとても好きで春先は体調より山菜採りが優先してしまいます。今年以前から気になっていた、明日葉?かシシウド?か分からないけれど最近スマホで検索何度もしています。 のだけの存在を初めて知りました。明日葉、シシウドにしても食べれるならと茹でて食べてもみました。今のところ異常なしですが、やはり正体が知りたくて教えていただく方法がないか探しています。教えていただければ幸いです。