シロツメクサ

白詰草 マメ目/マメ科/シャジクソウ属 花期/4月中旬~9月
学名/Trifolium repens L.

外来種駆除

シロツメクサ 秦野市北矢名 2017/04/06

シロツメクサ 秦野市北矢名 2017/04/06

ヨーロッパ原産の多年草。最早外来種という認識がされないほどに完全に日本に定着しているド定番の身近な雑草。河川の土手や公園の広場など、行政が造成工事を行った痩せた土地によく群生する。(マメ科の植物におよそ共通して)空気中の窒素を栄養分に変えることができ(窒素固定)、土中の養分をあまり必要とせずに生育できるという特殊能力があるため、緑肥(りょくひ、生えている・植えている生きた草もろとも耕してしまうことでそれを肥料にしてしまおうとするもの)として利用されることがあるせいか、田んぼ周辺にも多い。名は、白花を咲かせる、江戸時代にガラス製品を輸入した際に緩衝材として詰められていたもの、の意。花が天然のエアークッション(通称プチプチ)として利用されていたことに因む。

シロツメクサの群生 横須賀美術館 2022/06/13

シロツメクサの群生 横須賀美術館 2022/06/13

シロツメクサの群生 厚木市・荻野運動公園 2016/05/10

シロツメクサの群生 厚木市・荻野運動公園 2016/05/10

シロツメクサ 寒川町一之宮・目久尻川沿い 2018/04/28

シロツメクサ 寒川町一之宮・目久尻川沿い 2018/04/28

英名クローバー(Clover)。葉は通常小葉三枚だが、ときに四枚葉のものができる。これが「四つ葉のクローバー」と呼ばれて、見つけた者に(持っている者に)幸運が訪れるラッキーアイテムになっている。成長段階で人に踏まれるなどして傷が付くと四枚葉になることがあるとかどうとか。渥美半島にある愛知県田原市では市職員で四つ葉のクローバー研究家の折戸裕美氏が発見し育種(いくしゅ)した四つ葉以上の葉が高確率で生え出る多葉株の苗を「しあわせクローバー」(登録商標)と称して売り出し、町おこしを行っている。そもそもは伊良湖岬(いらごみさき)にある恋路ヶ浜に生えていたものといい、同地を「幸せの四つ葉のクローバー発祥の地」と名付けて観光客誘致も図っている。

シロツメクサの葉(四つ葉のクローバー) 茅ヶ崎市・清水谷 2016/05/02

シロツメクサの葉(四つ葉のクローバー) 茅ヶ崎市・清水谷 2016/05/02

シロツメクサの葉(四つ葉のクローバー) 茅ヶ崎市・清水谷 2016/05/02

シロツメクサの葉(四つ葉のクローバー) 茅ヶ崎市・清水谷 2016/05/02

葉の枚数のギネス記録は、岩手県花巻市・小原繁男氏が多葉株を交配させて作り出した56枚葉のクローバー。

シロツメクサの葉(五つ葉のクローバー) 茅ヶ崎市・清水谷 2016/05/02

シロツメクサの葉(五つ葉のクローバー) 茅ヶ崎市・清水谷 2016/05/02

シロツメクサ(クローバー)の小葉の形状はほぼ真ん丸。ハート形をしているのはカタバミ(片喰)の葉であって、形状としては確かにハート形の方がかわいらしくは感じられるけれどもそれはクローバーではない。アイドルグループ「ももいろクローバーZ」がロゴに用いているのは桃色の四つ葉のカタバミの方。

シロツメクサ(クローバー)とカタバミの葉 東京都小平市・東京都薬用植物園 2017/05/09

シロツメクサ(クローバー)とカタバミの葉 東京都小平市・東京都薬用植物園 2017/05/09

近似種にムラサキツメクサ(紫詰草)がある。またシロツメクサとムラサキツメクサにはヤセウツボ(痩靫)が寄生することがある。

シロツメクサの花

最盛期は春の終わりから初夏。その後も咲き続けはするが、花数は大幅に減り、咲き終わった花殻(はながら)が大量に混じって全体的に見苦しく、なぜか花序も葉も一回り二回り小さくなってしまう。”真夏に咲いている小さなシロツメクサはじつは別品種でした”とかいう話でないのなら、シロツメクサは日本の夏は苦手なようだ。

シロツメクサ 秦野市北矢名 2017/04/06

シロツメクサ 秦野市北矢名 2017/04/06

葉先が丸っこくて、長く伸びた花茎(かけい)の先に花が付く。葉先が尖り気味で、花の直下に葉が付くようならムラサキツメクサの方。ムラサキツメクサにも白花が咲くことがある。咲き終わった小花がたらんと下垂したらシロツメクサである。

シロツメクサ 秦野市北矢名 2017/04/06

シロツメクサ 秦野市北矢名 2017/04/06

シロツメクサ 秦野市北矢名 2017/04/06

シロツメクサ 秦野市北矢名 2017/04/06

シロツメクサの矮小化した夏の花 茅ヶ崎市浜之郷 2018/08/05

シロツメクサの矮小化した夏の花 茅ヶ崎市浜之郷 2018/08/05

花が真っ白ではなくうっすらピンク色を帯びることがある。ふつうのシロツメクサが茂っていた地帯の花が一斉にうっすらピンクがかっていたりすることもあるので、(土壌などの環境による影響を否定するものではないけれども)おおよそ季節性の話なのではないかと思っている。『神奈川県植物誌2018』は”花が淡紅色のものはモモイロシロツメクサ”(桃色白詰草、学名/Trifolium repens L. form. roseum Peterm.)という品種だとしているが、花色が固定された株はそうなのかもしれないが、花色が変化しただろうことが感じられるものも多々ある。詳しくは知らない。植物の花色は変化が出やすいものなので、特に深入りするつもりもない。モモイロツメクサ(桃色詰草)とも。

シロツメクサの薄ピンク花(モモイロシロツメクサ?) 茅ヶ崎市萩園 2022/05/26

シロツメクサの薄ピンク花(モモイロシロツメクサ?) 茅ヶ崎市萩園 2022/05/26

シロツメクサの薄ピンク花(モモイロシロツメクサ?) 茅ヶ崎市萩園 2022/05/26

シロツメクサの薄ピンク花(モモイロシロツメクサ?) 茅ヶ崎市萩園 2022/05/26

シロツメクサの薄ピンク花(モモイロシロツメクサ?)の摘み花寄せ集め 茅ヶ崎市萩園 2022/05/26

シロツメクサの薄ピンク花(モモイロシロツメクサ?)の摘み花寄せ集め 茅ヶ崎市萩園 2022/05/26

なお薄ピンク花は紛らわしい別の外来種も二つあり。ツメクサダマシ(詰草騙、学名/Trifolium fragiferum L.)は、咲き終わった小花が下向きに垂れない特徴あり。これがモモイロツメクサと呼ばれることもある。タチオランダゲンゲ(立おらんだ紫雲英)は、名前の通りに茎が立ち上がるのが特徴。節々から発根しない。共に神奈川県内でも希に帰化したものが発見されている。

シロツメクサの実

小花は咲き終わると枯れて下を向き、実を作る。(ツメクサ類に共通する性質として)花弁は散らずに残る。

シロツメクサの咲き終わり 寒川町一之宮・目久尻川沿い 2018/04/28

シロツメクサの咲き終わり 寒川町一之宮・目久尻川沿い 2018/04/28

シロツメクサの咲き終わり 茅ヶ崎市萩園 2018/05/25

シロツメクサの咲き終わり 茅ヶ崎市萩園 2018/05/25

シロツメクサの咲き終わり 茅ヶ崎市萩園 2018/05/25

シロツメクサの咲き終わり 茅ヶ崎市萩園 2018/05/25


横須賀美術館、湘南海岸公園(ヤシと芝生広場)

清水谷

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

ムラサキツメクサ(アカツメクサ)

クリムソンクローバー

センニチコウ

キバナセンニチコウ

ゲンゲ(レンゲソウ)

カタバミ

デンジソウ