シマクサギ

島臭木 シソ目/シソ科/クサギ属 花期/7月末~9月中旬(~10月) 結実期/9月下旬~11月上旬
学名/Clerodendrum izuinsulae K.Inoue, M.Haseg. & Shiro Kobay.

自生種稀少保護

神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IB類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IB類」

開花中のシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

開花中のシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

伊豆諸島とその周辺域(伊豆半島、三浦半島、房総半島)のごく一部でのみ自生が確認されている、林縁に生える落葉小高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。伊豆諸島などではクサギの変種である(無毛の)アマクサギ(甘臭木)として認識されていたが、平成9年(1997)に新種であるとしてシマクサギの名が付けられた。基本的にはクサギに同じだが、花が咲くと違いに気づかされるだろう。悪臭は弱め。神奈川県内で発見されたのは平成12年(2000)になってから。城ヶ島を中心に、三浦半島突端の沿岸部の一部にのみ自生あり。全国的に見てもかなりの珍木と思われるが、その辺に生えているクサギと大差ないため一般の人にはまったく違いも価値も見出せない雑木でしかないだろう。歩道確保等の名目で容赦なくばっさり伐られる危険は付きまとう。

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

開花中のシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

開花中のシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

赤っぽさをほとんど感じないシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/13

赤っぽさをほとんど感じないシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/13

実が出来てうっすらとだけ赤みを帯びてきたシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/13

実が出来てうっすらとだけ赤みを帯びてきたシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/13

秋彼岸が終わってもまだ咲いているシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

秋彼岸が終わってもまだ咲いているシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

実がなったシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

実がなったシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

熟した実がなったシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

熟した実がなったシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

葉は対生。表面は、クサギと違って(といっても僅かな差異であるが)やや光沢あり。毛の有無や毛量は(クサギ・シマクサギ共に)個体差あるようなので、ここでは触れない。

シマクサギの葉 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギの葉 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギの花

花序はクサギ同様、一斉には満開しない。クモ(蜘蛛)の巣が張られてしまって汚らしく荒れがち。開花開始はクサギより一週間くらい遅れる。花はクサギより若干小さめ。花弁(花冠裂片)は強く反るものもある(クサギは反らない)。決定的な一点として、花冠から突き出る雄蕊がクサギより明らかに短い(クサギの雄蕊は異様に長く突き出る)。花冠筒部(-とうぶ)があまり赤みを帯びず、およそ白っぽい黄緑色ないしごくうっすらとだけ赤みを帯びる(クサギは強く赤みを帯びる)。萼も、蕾から開花を経て実が若いうちはほとんど赤みを帯びず、黄緑色(クサギは赤みを帯びがちだがシマクサギと同じ黄緑色のものもある)。

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2017/08/07

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2017/08/07

クサギにしては雄蕊が短すぎるシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2017/08/07

クサギにしては雄蕊が短すぎるシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2017/08/07

開花中のシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

開花中のシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/08/08

シマクサギ 三浦市諸磯 2023/08/08

シマクサギ 三浦市諸磯 2023/08/08

シマクサギ 三浦市諸磯 2023/08/08

シマクサギ 三浦市諸磯 2023/08/08

シマクサギのほとんど赤っぽさを感じない花 三浦市・城ヶ島 2023/09/13

シマクサギのほとんど赤っぽさを感じない花 三浦市・城ヶ島 2023/09/13

シマクサギのほとんど赤っぽさを感じない花 三浦市・城ヶ島 2023/09/13

シマクサギのほとんど赤っぽさを感じない花 三浦市・城ヶ島 2023/09/13

シマクサギの花の特徴 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの花の特徴 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

実が熟す初秋に入ってもまだだらだらと開花し続ける傾向あり。(一部のクサギも同様の性質あり。)

秋彼岸過ぎたのに新しい花序(白色矢印)を作ったシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

秋彼岸過ぎたのに新しい花序(白色矢印)を作ったシマクサギ 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの実

実は核果(かくか)。萼片が閉じた状態でしばらくあり。熟す間近にようやく萼片は星形に開き、その中にあった実が露出する。実ははじめ若い緑色で、エメラルドグリーンに変わり、暗い紺色(ほぼ黒色)に熟す。

萼がうっすらと赤みを帯びてきたシマクサギの若い実 三浦市・城ヶ島 2023/09/13

萼がうっすらと赤みを帯びてきたシマクサギの若い実 三浦市・城ヶ島 2023/09/13

シマクサギの実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

なお、実が熟せば熟すほど萼片はクサギのように赤みを帯びてくる。(花冠裂片は反ることあるのに)萼片はクサギのようには反らない。反らないどころか開きさえしないものもある。

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/09/29

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/10/26

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/10/26

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/10/26

シマクサギの熟した実 三浦市・城ヶ島 2023/10/26


三浦市・毘沙門海岸(江奈湾入口側)、三浦市・城ヶ島(安房崎~水っ垂れ、崖上の水仙ロード(城ヶ島ハイキングコース)沿いに点在=クサギもある、北原園駐車場)、城ケ島公園(ピクニック広場南側階段下り口に若木数本)

三浦市・諸磯(三浦海の学校東側、通路確保のために伐られがち)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

勝山輝男「アオテンツキ,ヒメアオガヤツリ,そしてシマクサギ採集記」 『FLORA KANAGAWA No.51』 神奈川県植物誌調査会発行(2021)

井上健・長谷川雅美・小林史郎「伊豆諸島のクサギ属(クマツヅラ科)の1新種」 『植物研究雑誌 72巻2号』 植物研究雑誌編集委員会編集 ツムラ発行(1997)

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