ムラサキミミカキグサ

紫耳掻草 シソ目/タヌキモ科/タヌキモ属 花期/8月~9月 結実期/10月~11月上旬
学名/Utricularia uliginosa Vahl

稀少

環境省レッドリスト「準絶滅危惧(NT)」
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IA類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IA類」

ムラサキミミカキグサ 箱根湿生花園 2023/08/03

#ムラサキミミカキグサ 箱根湿生花園 2023/08/03

湿地に生える小型な多年草。花が黄色くいかにもタヌキモ(狸藻)の仲間といった感じのミミカキグサに似て、花が(やや青みがかった淡い)紫色のもの。ミミカキグサという名前は、細長く直立した花茎(かけい)の先で実を付けている姿が耳かきに喩(たと)えられたもの。花茎は高さ10cm内外にしかならない、だいぶちっちゃな植物である。ぱっと見ではそうは見えないが、食虫植物の一種。といっても、地下茎に捕虫嚢(ほちゅうのう)という袋を作ってそこで微細な生物を捕らえて食べる(溶かして栄養にする)というものなので、いくら凝視したとて捕虫の様子を観察できるものではない。現在、神奈川県内では仙石原湿原にのみ自生あり、湘南・鎌倉・三浦半島で見かける機会は皆無。戦前(1930年頃)は藤沢市の片瀬や鵠沼(くげぬま)地域の池や湿地にも生えていたという。『神奈川県植物誌2018』などは多年草ではなく一年草としており、正確なところは不明。日本国内では北は北海道まで分布があるようながら、ミミカキグサの仲間は本当は東南アジアなど温暖な地域を好む模様。暖地では多年草、寒冷な生息地では冬を越せずに一年草となる、か。箱根湿生花園の松江大輔学芸員によれば、園内で観察して見た限りでは一斉に大きく生え出てくる様子から(箱根では)おそらく多年草だろうとしている。

ムラサキミミカキグサ生える低草湿地 箱根湿生花園 2023/08/03

#ムラサキミミカキグサ生える低草湿地 箱根湿生花園 2023/08/03

ムラサキミミカキグサ 箱根湿生花園 2023/08/03

#ムラサキミミカキグサ 箱根湿生花園 2023/08/03

ムラサキミミカキグサ 箱根湿生花園 2023/08/03

#ムラサキミミカキグサ 箱根湿生花園 2023/08/03

ムラサキミミカキグサ 箱根湿生花園 2023/08/03

#ムラサキミミカキグサ 箱根湿生花園 2023/08/03

ムラサキミミカキグサ 箱根湿生花園 2023/08/03

#ムラサキミミカキグサ 箱根湿生花園 2023/08/03

ムラサキミミカキグサの未熟な実 箱根湿生花園 2023/10/30

#ムラサキミミカキグサの未熟な実 箱根湿生花園 2023/10/30


#箱根湿生花園(仙石原湿原植生復元区に思いのほか多い、モウセンゴケも「⑥高層湿原の植物」区にあるが令和5年(2023)現在観察できる状況でなし、共に夏の企画展「世界の食虫植物展」に出展なし)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『改訂新版 日本の野生植物 5』 大橋広好・門田裕一・邑田仁・米倉浩司・木原浩編 平凡社発行(2017)

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