ムベ

郁子 キンポウゲ目/アケビ科/ムベ属 花期/4月 旬/10月中旬~下旬

食用自生種稀少保護

ムベの実 鎌倉市・大巧寺 2017/11/05

#ムベの実 鎌倉市・大巧寺 2017/11/05

常緑の藤本(とうほん)で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)の雌雄異花。アケビ(木通)の仲間であるが、アケビとは異なり冬でも葉を落とさない。別名トキワアケビ(常盤木通)。見かけた記憶はないが、神奈川県内にも自生のムベはあるらしい。本来は海岸林に生えるようなので、三浦半島などの丘陵地を歩いていれば遭遇する可能性はあるかもしれない。一般的に見かけるのはむしろ市街地で。民家のフェンスに絡ませて栽培されていたりする。

ムベ 茅ヶ崎市萩園 2019/04/19

#ムベ 茅ヶ崎市萩園 2019/04/19

ムベという名前は、天智天皇(626-672)が発した「むべなるかな(確かにもっともであるなあ)」という言葉に由来するとかいう話。この実を食べた天智天皇が、田舎の年寄りたちがみな元気なのはこの美味しい実のせいか、確かにもっともであるなあ、と感銘したとかしないとか。「むべなるかな」が「ムベなるかな(さすがムベだなあ)」と誤って理解されたことになる。以来、ムベは不老長寿のおめでたい果物となった、とかどうとか。

葉は若いうちは三枚、のち五枚、成長すると七枚に。中国から伝わった陰陽道では奇数が陽数とされるため、七五三の葉を付けるムベは縁起が良いとかいう人も。新しい葉は花と同時期に展開し生え変わる。

ムベの葉 藤沢市・長久保公園 2017/04/17

#ムベの葉 藤沢市・長久保公園 2017/04/17

ムベの葉 茅ヶ崎市萩園 2019/04/19

#ムベの葉 茅ヶ崎市萩園 2019/04/19

茅ヶ崎市から北上して行った県道45号産業道路に、海老名市社家(しゃけ)地区に「宜山(むべやま)」なる交差点がある。詳しい経緯はわからないが、周辺地域には平安時代の『古今和歌集』を代表する六名の歌人である六歌仙(僧正遍昭、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、小野小町、大伴黒主)に因んだ、「社家宇治山遺跡」、「社家業平」交差点といった地名が残っている。宜山も、文屋康秀(ふんやのやすひで)の「吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風を嵐といふらむ」という和歌から来ているらしい。従って、どうやらこの周辺地域がムベの一大産地だったというわけではないようである。

ムベの花

花は白っぽいクリーム色のタコウインナー形。アケビの花とは全く異なる姿である。たくさん咲いているやや小さめの花が雄花、数は少ないがやや大きめなのが雌花である。幅広で花弁のような姿の萼片が三枚に、細い糸状の花弁が三枚、かと思ったのだが、いずれも萼片(で、花弁はない)とのこと。

ムベの雌花と雄花 茅ヶ崎市萩園 2019/04/19

#ムベの雌花と雄花 茅ヶ崎市萩園 2019/04/19

ムベ 藤沢市・長久保公園 2017/04/17

#ムベ 藤沢市・長久保公園 2017/04/17

ムベ 藤沢市・長久保公園 2017/04/17

#ムベ 藤沢市・長久保公園 2017/04/17

ムベの雌花 藤沢市・長久保公園 2017/04/17

#ムベの雌花 藤沢市・長久保公園 2017/04/17

ときに赤紫色が強めに入るものがある。

ムベの雌花 茅ヶ崎市立図書館 2018/04/14

#ムベの雌花 茅ヶ崎市立図書館 2018/04/14

ムベの雄花 茅ヶ崎市立図書館 2018/04/14

#ムベの雄花 茅ヶ崎市立図書館 2018/04/14

ムベの実

アケビの仲間であるが、実は熟してきてもぱっくり割れない。食用にするには、実が半分近く紫色を帯びてきたところで収穫するとよい。全体が真紫になるまで待っていると皮がすぐに傷んできてしまい、見た目を損ねる。

ムベの未熟な実 藤沢市・長久保公園 2017/10/11

#ムベの未熟な実 藤沢市・長久保公園 2017/10/11

ムベの実 茅ヶ崎市東海岸北 2016/10/27

#ムベの実 茅ヶ崎市東海岸北 2016/10/27

ムベの実 茅ヶ崎市東海岸北 2016/10/27

#ムベの実 茅ヶ崎市東海岸北 2016/10/27

アケビのように割れて口を開けることをしないため虫や鳥に食べられてしまうおそれがなく衛生的。包丁で半分に切ると果汁がぽたぽたこぼれてしまうくらいジューシーで中はとっても瑞々(みずみず)しい。

半分に切って開けたムベの実 茅ヶ崎市東海岸北 2016/10/27

半分に切って開けた#ムベの実 茅ヶ崎市東海岸北 2016/10/27

ふつう食べるのはタネの周りの仮種皮、つまり綿(わた)と呼ばれる半透明のゼリー部のみ。黒色の食べられないタネが多いためタネごと綿を口に含んで、タネだけ吐き出すとよい。

可食部は多くはないので、食べるというよりは甘みを味わって楽しむもの。味はカキ(柿)にそっくり。苦み渋み臭みなど嫌な要素はないので、熟したカキが好物な人はムベもおいしく頂けるだろう。綿の食感はとろとろなブドウ(葡萄)のよう。繊維質が口に残るようなこともなく食べやすい。後味も悪くない。アケビなんかよりよっぽど美味で、一般受けはするだろう。ムベがよく庭などで栽培されている理由も頷ける。

半分に切ってマンゴー風に皮を反らせてみたムベの実 茅ヶ崎市東海岸北 2016/10/27

半分に切ってマンゴー風に皮を反らせてみた#ムベの実 茅ヶ崎市東海岸北 2016/10/27

外の皮はアケビのような強い苦みがなく食べやすいというが、中果皮(ちゅうかひ)の内側(つまり皮と綿の境目)が石のようにかちこちに硬化するためそれを取り除く必要があり、取り除いたとたん可食部がほとんどなくなってしまい、好んで食べる人はさほどいないのではないか。ムベはあくまでも綿の甘みを楽しむ果物と思う。

ムベなんて聞いたことない。ムベってなに?変な名前。アケビっぽいのになんで割れてないの?いろいろ思うところはあるかもしれないが、食べてみれば”意外とおいしい”と見直してもらえるものと思う。


#大巧寺(棚、若宮大路への通路沿いフェンス)、#茅ヶ崎市立図書館本館(棚)

#東慶寺(鐘楼付近の竹垣に)、#円覚寺龍隠庵、藤沢市・#長久保公園、

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