三葉木通、三葉通草 キンポウゲ目/アケビ科/アケビ属 花期/4月 結実期/10月 黄葉/11月下旬~12月
学名/Akebia trifoliata (Thunb.) Koidz. subsp. trifoliata
食用自生種
林縁部を覆ったミツバアケビ 横浜市戸塚区・舞岡公園 2020/11/14
林内に生える落葉藤本(とうほん)で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)の雌雄異花。アケビ(木通)の近似種。湘南・鎌倉・三浦半島では特に丘陵地に残る林内にふつうに生えており、アケビよりも多いくらいか。ハイキングコースを歩けば見つけることはできるだろう。ただし、目に留まるのは花も付かないような若い株が多い。人の手が入る場所では蔓植物なので嫌われ、刈払われてしまうこともしばしば。実もなるまでに大きく成長した株は人が踏み込めないような場所で他の高木に絡み付いて遙か高所まで登っているのだが、双眼鏡でも覗かない限り観察は不可能。
樹木をまあまあ高いところまで登ったミツバアケビ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30
林縁部を覆ったミツバアケビ 横浜市戸塚区・舞岡公園 2020/11/14
アケビの葉は全縁の小葉が五枚の掌状複葉、ミツバアケビは鋸歯ある小葉が三枚の三出複葉。
ミツバアケビの若い葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2019/04/06
ミツバアケビの葉 茅ヶ崎市・柳島海岸 2019/04/02
ミツバアケビの葉 茅ヶ崎市・柳島海岸 2019/04/02
ミツバアケビの葉 逗子市・名越切通 2020/11/06
ミツバアケビの形をした小葉がアケビのように五枚付いているものがごく希にあり、ゴヨウアケビ(五葉木通)という。両者の自然雑種という。
ゴヨウアケビの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2019/04/06
ミツバアケビの花
花は紫色が濃い。柄が短く、花数少なく、花弁(に見える萼)が大きい方が雌花。柄が長く、花数かなり多く、小さい方が雄花。アケビの仲間は自家不和合性(自家不稔性、自家不結実性)が強いため、実を付けるには他家受粉(たか-)が求められる。
ミツバアケビ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2019/04/06
ミツバアケビ 藤沢市・川名清水谷戸 2017/04/02
ミツバアケビの実
初夏に膨らんだ緑色の実が紫色を帯びて熟れるのは秋。実に縦に線が入ったと思ったらもう二三日でぱっくり割れる。”開け実(あけみ)”転じてアケビなのだとか。秋らしい姿に、スケッチ等のモチーフとして好まれる。割れてしまった果実は乾燥して風味が落ちてゆくので、食べることを目的とするのであればじつは縦割れする直前を見計らって収穫する方がよい。食用にはアケビより実が大きく肉厚なミツバアケビの方が適すとされ、ミツバアケビの方が味が良いという人も多い。
#ミツバアケビの未熟な実 鎌倉市・松岡表具店 2021/09/11
#ミツバアケビの未熟な実 鎌倉市・松岡表具店 2021/09/11
#ミツバアケビの未熟な実 鎌倉市・松岡表具店 2021/09/11
ミツバアケビの完熟して裂開した実 富士山須走口・ふじあざみライン 2017/10/01
食用の果肉となるのは、一般には”中の実”などと称される胎座(たいざ)の部分。バナナの果肉がぱさついたような姿であるが、水分を多く含んでおりかなりしっとりした柔らかい綿(わた)である。生のままタネごと口に含んでしゃぶり食べ、タネはぺっと吐き出す。冷やしてもよい。青臭さは感じられず、カキ(柿)のように甘い。実が割れてしばらくたつと綿にはハエ(蠅)などがたかってしまい、鳥に見つかれば綿だけそっくり食べられてしまうことも。
皮(果皮)も、ナス(茄子)に似たものとして肉詰めなどにし食べられる。フキノトウ(蕗の薹)など野生の山菜類に共通する苦味があるため食べる人を選ぶかも。
#ミツバアケビの実 鎌倉市台 2012/09/11
ミツバアケビの完熟して裂開した実 横須賀市湘南鷹取/逗子市沼間・鷹取山公園~京急田浦駅 2024/11/01
ミツバアケビの黄葉
ミツバアケビのぱっとしない黄葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/11/15
横浜市栄区・横浜自然観察の森(ヘイケボタルの湿地周辺、タンポポの道6~7など)
天園ハイキングコース
太田和つつじの丘、前田橋、長柄桜山古墳群(第1号墳~第2号墳)、鎌倉市大町・#松岡表具店(家屋解体で滅失)