大根 アブラナ目/アブラナ科/アブラナ属 収穫期/11月中旬~3月 大根干し/12月~1月 花期/3月中旬~4月上旬
学名/Raphanus sativus L. var. longipinnatus L.H.Bailey
食用改良種
#アオクビダイコン 茅ヶ崎市萩園 2020/01/01
根菜としてふつうに食べられているあのダイコン。一般的にはアオクビダイコン(青首大根)と呼ばれる品種(の総称)である。三浦半島で訛ってデエコン(デーコン)。太く膨らんでいる部分は、細かいことをいえば、上部が胚軸(はいじく)、下部が根とされている。胚軸というのは根と茎を繋ぐ部分で、カブ(蕪)の場合はこの部分が丸く膨らんでゆく。アオクビダイコンであれば、地上に露出していれば緑色に変色する。その下方、膨らんでいる部分のおよそ八割程度を占めているのは根で、表面に支根(しこん)が出るえくぼのような小さな凹みができるのが特徴。
#アオクビダイコン 三浦市初声町下宮田 2017/02/15
アオクビダイコンはその名の通り首(地上に出て日が当たっている部分)が青く(薄い緑色)、下膨れすることなくほっそりした姿で(引っこ抜きやすい)、重さは1kg程度と買って帰るのに手頃で、甘みが強くて食べやすい。ダイコンは、首(=胚軸)の方が甘く(サラダ向け)、尻尾(=根)の方が辛味が強い(大根おろし向け)。9月タネ蒔き11月出荷の冬ダイコンと、10月タネ蒔き3月出荷の春ダイコンがある。
すべて#ダイコン畑 三浦市南下浦町(みなみしたうらまち)毘沙門 2013/01/06
#アオクビダイコンの若い葉 茅ヶ崎市浜之郷 2018/10/31
#アオクビダイコンの葉 三浦市初声町下宮田 2017/02/15
“春の七草”にいうスズシロ(清白)とはダイコンのことである。
ハマダイコン(浜大根)は、にわかには信じがたいが、栽培されていたダイコンが逸出し帰化したものとされている。ハナダイコン(花大根)というものもある。
#ソレイユの丘(12月上旬に収穫体験、15:00-16:00 三浦大根1本300円・青首大根1本100円)、#子安の里(2月、ショウゴインダイコン(聖護院大根)の一種ヤクシマル(薬師丸)1本100~150円)
ダイコンの大根干し
ダイコンを”たくあん”にするために干す、これを大根干しという。11月から収穫しているアオクビダイコンを三浦海岸で一週間ほど天日干しする光景が冬の風物詩。
#アオクビダイコンの大根干し 三浦市・三浦海岸 2013/01/09
#アオクビダイコンの大根干し 三浦市・三浦海岸 2023/01/20
#アオクビダイコンの大根干し 三浦市・三浦海岸 2023/01/20
#アオクビダイコンの大根干し 三浦市・三浦海岸 2023/01/20
#アオクビダイコンの大根干し 三浦市・三浦海岸 2023/01/20
#アオクビダイコンの大根干し 三浦市・三浦海岸 2023/01/20
#アオクビダイコンの大根干し 三浦市・三浦海岸 2023/01/20
その後五日間ほど米糠(こめぬか)に漬け込み、「天日干し 浅漬けたくあん『まいるど』」ブランドで販売する(須原農園1本400円、平成28年(2016)現在)。「とらばあちゃんの三浦たくあん」はスーパーマーケットave(エイヴイ)各店でも取り扱いあり(やや小さめ1本298円、同)。かながわ名産100選「みうらの浅づけタクワン」選定(”たくわん”は”たくあん”の訛り)。
賞味期限は特に定めていないので、減塩薄味の漬物としての常識の範囲内で。保存は糠を洗い落とさず漬けたまま冷暗所または冷蔵庫で、上に重し(冷蔵庫ならキャベツ・ダイコンなどで代用も)を乗せておくとよい。
ダイコンの花
アブラナの仲間なので、ナノハナ(菜の花)の色違いといった花を咲かせる。ダイコンは薹(とう)が立つ前に収穫するのが当たり前なので花を見る機会はなかなかないが、市民農園では(タネを取るために)放置されたものが稀に咲いている。
#ダイコンの花 鎌倉市関谷・関谷耕地 2017/03/11
#ダイコンの花 鎌倉市関谷・関谷耕地 2017/03/11
#ダイコンの花 茅ヶ崎市浜之郷 2018/03/23
#ダイコンの花 茅ヶ崎市萩園 2020/04/11
ミウラダイコン
三浦大根 アブラナ目/アブラナ科/アブラナ属 タネ蒔き/9月 収穫期/11月下旬~2月
食用改良種稀少
#ミウラダイコン 茅ヶ崎市 2019/01/30
神奈川県南部でダイコンといえば、三浦半島(横須賀市、三浦市、葉山町)で生産されているシロクビダイコン(白首大根)に分類される品種(の総称)ミウラダイコン(三浦大根、みうら大根)が有名。かながわブランド「三浦のだいこん」、かながわの名産100選「三浦のだいこん」(品種不問)選定。
#ミウラダイコン 三浦市初声町下宮田 2017/02/15
ミウラダイコンは、明治38年(1905)にそれまで生産されていたコウエンボウダイコン(高円坊大根、三浦市初声町(はっせまち)に高円坊(こうえんぼう)という地が存在する)にネリマダイコン(練馬大根)を掛け合わせたもので、大正14年(1925)にブランド化された。色は白いシロクビダイコンで、首よりも下の部分が膨れ(”中ぶくら”という、これが原因で収穫時に引っこ抜くのが大変)、重量は2kg~3kg程度でアオクビダイコンよりも二回りほど大きくなる。おろすと強烈な辛味が立つ(高齢者からは「これがダイコンの本当の味だ」と支持される反面、若者からは辛すぎると敬遠される)が、おでんやブリ大根など煮物にするとふっくらした食感で煮崩れしにくく甘みも増すため(辛さは消える)一般的なアオクビダイコンよりも格段においしい。
#ミウラダイコンの葉 三浦市初声町下宮田 2017/02/15
ミウラダイコンの葉はふつうのアオクビダイコンに比べて大きくて重く、徒歩や自転車で持ち帰るのに難。
やや小型な#ミウラダイコンと普通サイズの#アオクビダイコン 横須賀市・すかなごっそ 2012/12/07
そのミウラダイコンは昭和54年(1979)の台風で大きな被害を受けたことを契機に生産者から嫌われて一気に廃れ、にわかにアオクビダイコンが栽培されるようになった。現在三浦半島での生産量は、アオクビダイコン99%、ミウラダイコン1%といった比だろう。要するに、こだわる購買者や観光土産向けの変わりダネ食材といった立ち位置になっている。正月の縁起物料理である膾(なます、マリネ)ないし刺身のつま用としては安定した支持があるか。11月下旬~2月、すかなごっそなどの直売所で手に入る(1本300円以上)。
なお品種を問わず三浦半島で生産されているダイコンすべて「三浦大根」「三浦 大根」「三浦の大根」と呼ぶこともあるので注意が必要。
昭和(-1989)世代には懐かしい東京都練馬区特産のネリマダイコンは、やや中ぶくらのシロクビダイコン。”たくあん”向けに適した。長さが一般的なアオクビダイコンの二倍もあって引っこ抜くだけでもたいへん。連作障害の問題などもあり、現在は微細に生産されているのみで、ミウラダイコン以上に大いに廃れた。練馬区内のJAや農家の直売所で手に入る(11月末以降)。
[…] ・mirusiru.jp(ミウラダイコン) […]