バクチノキ(ビランジュ)

博打の木 バラ目/バラ科/バクチノキ属 花期/9月中旬~下旬 結実期/3月~4月
学名/Laurocerasus zippeliana (Miq.) Browicz

稀少

バクチノキ(ビランジュ) 小田原市早川・海蔵寺 2017/09/09

#バクチノキ(ビランジュ) 小田原市早川・海蔵寺 2017/09/09

常緑の高木。成長すると樹皮が剥がれ落ちることを、博打に負けて身包み剥がされる様子に見立てた名。別名ハダカノキ(裸の木)、ビランジュ(毘蘭樹)。ビランジュという名は肌が焼けただれることを意味する糜爛(びらん)に由来するだろう。温暖な九州などに自生。神奈川県内ではなぜか小田原市を中心とした西部に集中して多いが、生えているのは真言密教系寺院境内などでありおそらくいずれも植栽(の名残りないしその逸出)と思われる。千葉県鴨川にある群生地(県指定天然記念物「鴨川のバクチノキ群生地」)も大山不動が植えたものではないのか。もしかしたら仏経典に登場する伊蘭樹(いらんじゅ)の代用としたか。伊蘭樹はインドにもあった大型の多年草(木質化もするらしい)で悪臭を放つ毒草トウゴマ(唐胡麻)のことという。これが香木の栴檀樹(せんだんじゅ、センダンではなくビャクダン(白檀)のこと)と対比され、伊蘭樹は悪しき煩悩に、栴檀は仏性(ぶっしょう)に喩(たと)えられた。さすれば因んで、ビランジュを寺境内の門外に、センダンを門内に植える、とかいう発想はあってもよさそうな気がする。神奈川県内では小田原市に多い。湘南・鎌倉・三浦半島でも寺境内などにないでもないが少ない。静岡県熱海市の林内には自生のものがあるとかどうとか。

バクチノキ(ビランジュ) 小田原市・早川観音 2016/10/04

#バクチノキ(ビランジュ) 小田原市・早川観音 2016/10/04

バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」) 小田原市早川 2024/03/02

#バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」) 小田原市早川 2024/03/02

バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」)への入口 小田原市早川 2024/03/02

#バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」)への入口 小田原市早川 2024/03/02

バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」、中央) 小田原市早川 2024/03/02

#バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」、中央) 小田原市早川 2024/03/02

バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」) 小田原市早川 2023/12/22

#バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」) 小田原市早川 2023/12/22

バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」) 小田原市早川 2023/12/22

#バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」) 小田原市早川 2023/12/22

バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」)の幹(樹皮) 小田原市早川 2023/12/22

#バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」)の幹(樹皮) 小田原市早川 2023/12/22

バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」) 小田原市早川 2023/12/22

#バクチノキ(国指定天然記念物「早川のビランジュ」) 小田原市早川 2023/12/22

バクチノキ(ビランジュ)の葉 小田原市・早川観音 2016/10/04

#バクチノキ(ビランジュ)の葉 小田原市・早川観音 2016/10/04

葉は硬そうに見えるが意外と薄くて柔らかい。樹皮も葉もサクラっぽさは感じられない。

バクチノキ(ビランジュ)の葉 小田原市・早川観音 2016/10/04

#バクチノキ(ビランジュ)の葉 小田原市・早川観音 2016/10/04

バクチノキ(ビランジュ)の冬の葉 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

#バクチノキ(ビランジュ)の冬の葉 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

バクチノキ(ビランジュ)の冬の葉裏 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

#バクチノキ(ビランジュ)の冬の葉裏 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

バクチノキ(ビランジュ)のただれた樹皮 横浜市金沢区・金沢自然公園 2017/03/18

#バクチノキ(ビランジュ)のただれた樹皮 横浜市金沢区・金沢自然公園 2017/03/18

バクチノキ(ビランジュ)のただれた樹皮 小田原市・早川観音 2016/10/04

#バクチノキ(ビランジュ)のただれた樹皮 小田原市・早川観音 2016/10/04

バクチノキ(ビランジュ)のただれた樹皮 小田原市・早川観音 2016/10/04

#バクチノキ(ビランジュ)のただれた樹皮 小田原市・早川観音 2016/10/04

セイヨウバクチノキ(西洋博打の木)なる外来の近縁種が公園などで生垣等に利用されることがあるらしい。花以外は本種にはぜんぜん似ていないが。同属のリンボク(橉木)も似たような花序であるが、葉がもう少し細身で先端が細長く伸び、樹皮はただれたようには剥がれない。ビから始まる風変わりな名前の樹木にビャクシン(柏槇)があるが混同せぬよう。

バクチノキの花

樹皮にばっかり目がいくが、サクラの仲間というのがじつに面白い。秋咲きのウワミズザクラ(上溝桜)とでもいったところか。花期はキンモクセイ(金木犀)の前。

バクチノキ(ビランジュ) 小田原市早川・海蔵寺 2017/09/09

#バクチノキ(ビランジュ) 小田原市早川・海蔵寺 2017/09/09

バクチノキ(ビランジュ) 小田原市早川・海蔵寺 2017/09/09

#バクチノキ(ビランジュ) 小田原市早川・海蔵寺 2017/09/09

バクチノキ(ビランジュ) 小田原市早川・海蔵寺 2017/09/14

#バクチノキ(ビランジュ) 小田原市早川・海蔵寺 2017/09/14

バクチノキ(ビランジュ) 小田原市早川・海蔵寺 2017/09/14

#バクチノキ(ビランジュ) 小田原市早川・海蔵寺 2017/09/14

バクチノキの実

周辺一帯に無数の実生が湧き出ている様子は見ていないが、発芽能力はある。

バクチノキ(ビランジュ)の未熟な実 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

#バクチノキ(ビランジュ)の未熟な実 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

バクチノキ(ビランジュ)の未熟な実 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

#バクチノキ(ビランジュ)の未熟な実 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

バクチノキ(ビランジュ)の未熟な実 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

#バクチノキ(ビランジュ)の未熟な実 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

バクチノキ(ビランジュ)の未熟な実 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

#バクチノキ(ビランジュ)の未熟な実 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15


東京都文京区・#小石川植物園(正門入って直進し左側(E14)の薄暗い林内に高木2本、幹(樹皮)以外観察のしようなし)、東京都調布市・#神代植物公園(リンボクも=花期ほぼ同じ)、横浜市金沢区・#金沢自然公園(なんだろ坂、結実する)

#円覚寺(方丈前庭に若木)、#遊行寺(大井町金子・最明寺よりも北にある)

#鎌倉広町緑地

厚木市・#神奈川県自然環境保全センター、大井町金子・#最明寺(参道石段のぼって山門前右手に1本、新たに生育北限とされているのはこれか)、南足柄市三竹・#御嶽神社、#飯泉観音(観音堂に向かって右手奥に1本、さほど大きくはないが樹形良好)、#小田原フラワーガーデン、小田原市早川・#早川小学校(正門入ってすぐ正面に1本)、小田原市早川字飛乱地(国指定天然記念物「早川のビランジュ」、かながわの名木100選「早川のビランジュ」、幹周5.2mで日本一大きなビランジュ、周辺に別途数本あり)、小田原市早川・#一夜城道(案内板「石垣山に参陣した武将たち 宇喜田秀家」後ろ、伐採滅失)、小田原市早川・#海蔵寺(観察最適)、小田原市早川・#早川観音、静岡県熱海市(市指定天然記念物「伊豆山のバクチノキ」)

参考資料

『日本一の巨木図鑑』 宮誠而著 文一総合出版発行(2013)

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

セイヨウバクチノキ

ウワミズザクラ

イヌザクラ

『バクチノキ(ビランジュ)』へのコメント

  1. 長野晃 投稿日:2019/12/11(水) 15:52:43 ID:52c128f2b 返信

    コクサギ型葉序になることはあります。 但し、「そういう個体もある」という程度ですしょう。
    写真も有りますが添付出来ないのが残念です。

    • mirusiru.jp 投稿日:2019/12/13(金) 20:28:53 ID:f861b8930 返信

      コクサギ型葉序になるというバクチノキは神奈川県内にあるものでしょうか?
      バクチノキがある場所に立ち寄った際には継続して観察してみようと思います。

      スパム防止の観点から画像の添付はできないようになっています。
      オンラインストレージやSNSを活用していただければ助かります。

    • mirusiru.jp 投稿日:2019/12/16(月) 20:39:20 ID:e77b59fd2 返信

      鎌倉・円覚寺(えんがくじ)に立ち寄る機会があったのでバクチノキの若木を見上げて来ました。
      確かにコクサギ型葉序かと思しき枝は何本かありましたが、よくよく見れば葉が生えていただろう痕跡らしきものが確認できたので、いずれも一部の葉が欠落したためコクサギ型葉序のように見えているだけのもの、という判断に至りました。
      若い個体ではコクサギ型葉序になる可能性があるのかなとも考えていたのですが。
      観察は継続しますが、ちょっと懐疑的な方に傾いています。

  2. 長野晃 投稿日:2019/11/09(土) 13:22:34 ID:ad09e5a17 返信

    何故、図鑑にもサイトにもコクサギ型葉序であることの記載がないのでしょうね?

    • mirusiru.jp 投稿日:2019/11/09(土) 16:26:22 ID:88de38a51 返信

      バクチノキはコクサギ型葉序になることがあるのですか?
      図鑑や他サイトのお考えは存じませんけれども、当サイトでは”バクチノキがコクサギ型葉序であるとの認識がないから”です。
      手元にある(多くはない)写真を見直してみましたが、コクサギ型葉序であるという証拠は写っていませんでした。
      バクチノキの葉をざっとグーグル画像検索しましたが、コクサギ型葉序である写真は見つけられませんでした。
      『神奈川県植物誌2018』には「単葉が互生」という記述があります。

    • mirusiru.jp 投稿日:2019/12/04(水) 19:47:08 ID:e290f84b3 返信

      本日、小田原市・早川観音のバクチノキを見上げて来ましたが、いずれも葉は互生でコクサギ型葉序であるものは見つけることができませんでした。
      繰り返しになりますが、
      バクチノキはコクサギ型葉序になることがあるのですか?