金木犀 シソ目/モクセイ科/モクセイ属 花期/9月末~10月上旬
学名/Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino
#キンモクセイ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/10/05
中国原産といわれる常緑の小高木で、雌雄異株(しゆういしゅ)。白花を咲かせるギンモクセイ(銀木犀)の変種に位置付けられている。あるいは、九州南部に自生があるウスギモクセイ(薄黄木犀)から見出されたとも。花色がオレンジ色のキンモクセイ、薄い黄色のウスギモクセイ、白っぽい花を咲かせるギンモクセイ、これら三種の関係(どれが原種で、どれが何から突然変異等で発生した(園芸)品種なのか)は定かでない。キンモクセイはどの株も葉などの形態が単一で花期も揃うため、突然変異で生まれたこの世に二つとない奇跡の一本から挿し木で増やされたクローンなのかもしれない。名は、花が黄金色で、動物のサイ(犀)の肌のような樹皮をしているもの、の意。おそらく中国名の金桂(が何を指すものかもよくわからないが)に引っ張られてのキンなのだろうが、実際の花色はオレンジっぽい色なので本種を見てキンと名付けるはずはなく、キンモクセイはそもそもは花が黄色っぽいウスギモクセイを指していたのではないかと疑いたくなるのだがどうなのだろう。花がかわいらしいのと甘い香気が強いことが愛され、庭木や生垣として栽培されている。とはいえ、どこもかしこものレベルでたくさん植栽されていた昭和時代(-1989)に比べれば大幅に衰退した。昭和遺産といってもよい木の一つかもしれない。地球温暖化に伴い大型化しているといわれる台風の塩害にとかく弱いようで、湘南・鎌倉・三浦半島ではせっかく新たに植えても南側(海に面した側)半分は荒れて禿げて枯れて来年以降もなかなか元通りには再生しないという傾向が平成時代(1989-2019)に顕著であった。横にこんもり広がる樹形になるため、道路際や土地境界近くには植えないように。
#キンモクセイ 鎌倉市・浄妙寺 2024/10/17
#キンモクセイ 鎌倉市・円応寺 2024/10/17
#キンモクセイ 鎌倉市・東慶寺 2020/10/06
#キンモクセイ 鎌倉市・東慶寺 2020/10/06
#キンモクセイ 鎌倉市・東慶寺 2020/10/06
#キンモクセイ(例年より花数多い) 鎌倉市・東慶寺 2020/10/06
#キンモクセイ 鎌倉市・東慶寺 2020/10/06
#キンモクセイ 鎌倉市・東慶寺 2019/11/01
#キンモクセイ 鎌倉市・光則寺 2018/09/28
#キンモクセイ 鎌倉市・長谷寺 2018/09/28
#キンモクセイ 大磯町・高来神社 2024/10/17
#キンモクセイ 大磯町・高来神社 2024/10/17
#キンモクセイ(中央やや右側のこんもり丸い木) 松田町・最明寺史跡公園 2019/10/23
#キンモクセイ 松田町・最明寺史跡公園 2019/10/23
#キンモクセイ 東京都日野市・JR中央線日野駅 2019/10/20
#キンモクセイ 鎌倉市・円覚寺雲頂庵 2019/11/01
#キンモクセイ 鎌倉市・円覚寺雲頂庵 2019/11/01
葉は対生で、ふつう全縁(細かい鋸歯の名残りのようなものが感じられる葉がないわけではない)。チャノキ(茶の木)のように、支脈が裏側へ強く凹むのが大きな特徴。縁(ふち)は裏側へ反るので、葉裏の縁を手でなぞればゲッケイジュ(月桂樹)のような隆起が感じられる。常緑ゆえにぱりぱりに硬い。光にかざすと葉脈が白く透けて見える。
#キンモクセイの葉 茅ヶ崎市・萩園上ノ前公園 2020/10/05
#キンモクセイの葉裏 茅ヶ崎市・萩園上ノ前公園 2020/10/05
#キンモクセイの逆光で脈が透けて見える葉 茅ヶ崎市・萩園上ノ前公園 2020/10/05
#キンモクセイの(刈り込みが原因で出現したかもしれない)鋸歯縁の葉 鎌倉市・浄妙寺 2024/10/17
#キンモクセイの(刈り込みが原因で出現したかもしれない)鋸歯縁の葉 鎌倉市・浄妙寺 2024/10/17
神奈川県内では、横浜市西区の木(もくせい)、横浜市都筑区の木(モクセイ)、横浜市泉区の木、寒川町の木(もくせい)、座間市の木(モクセイ)、中井町の木(きんもくせい)、大井町の木(きんもくせい)に制定されている。呼称は異なれどいずれもキンモクセイのこと。かつて町内にたくさん植えられていたことを示すものである。
キンモクセイの花
柿色(オレンジ色)の小さな花を無数に付ける。名前に反して金色(植物の世界では黄色を金色と誇張して表現することが多い)ではない。肉厚な花弁(のように見える萼)は四枚(のように見えるが一つが四深裂したもの)。花はとにかく芳香が強く、満開時に風がそよげば向こう三軒両隣を超えて明確に甘ったるく香る。化学合成された香料に近いにおいであるため現代では香害(こうがい、スメハラ、スメルハラスメント)の原因としてご近所トラブルの原因にもなりかねないほどの、主張が強い香気である。キンモクセイの香りがトイレ用芳香剤に使われていたこともあって、ヤツデ(八つ手)と併せて負の連想をしてしまう人も。チョウ(蝶)やハエ(蠅)などの昆虫も寄って来ない。強風を伴わない雨後の早朝、散った花々が地面一面をオレンジ色に染める絨毯もまた美しい。咲き始めであってもさほど強くもない台風の雨一発でごっそり散って禿げるので注意。
#キンモクセイ 鎌倉市山ノ内 2020/10/06
#キンモクセイ 平塚市天沼 2018/10/06
雌雄異株だが、日本国内に存在するものはすべて雄株である。従って、花はすべて(雌蕊が退化した)雄花である。
#キンモクセイ 平塚市天沼 2018/10/06
#キンモクセイ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/10/05
ほとんど気付かれていないようだが、三週間くらい早咲きするものがある。そしてそれが通常の開花時期に二度咲きすることもある。
早咲きの#キンモクセイ 藤沢市・長久保公園 2021/09/15
耐陰性(日陰でも枯れにくい)はあるが、日当たり悪いと花数は大いに減ってしまうので注意。
キンモクセイの実
日本には雄株しかないので実はならない。時折SNS等に上がる「キンモクセイの実を見つけた」等の報告は、いずれも正しくはウスギモクセイないしギンモクセイの実である。もし本当に「キンモクセイの実を見つけた」のであれば、翌年の開花を待ってオレンジ色をした雌花(ないし両性花)の写真を添えてお知らせ頂きたい。事件である。
キンモクセイは中国原産で、日本へは雄株だけが伝わっており雌花は入ってきていない、という話がある。であるならば中国にはキンモクセイの雌株が存在しているはずなのだが、ありとあらゆる怪し気な中国製品がネット通販で売られているこの時代に”大珍木キンモクセイの雌株”がアマゾン(amazon)でポチれないのは奇妙な話でしかない。
横浜市金沢区・#太寧寺
#東慶寺(県道沿い大門両脇に西側キンモクセイと東側ギンモクセイ、名所だったが共に台風塩害で強く傷んだ⇒キンモクセイはだいぶ復活・ギンモクセイは樹勢弱り一部枝落とし花数僅少、令和6年(2024)強めの剪定で樹形崩れる・共に抜根滅失)
#旧華頂宮邸、#浄妙寺(本堂向って左手奥など、刈り込みで花付きやや不良)、#大佛茶廊(西側)、鎌倉市大町・#妙本寺(参道沿い、日陰多く成育いまひとつ花付き不良)、#円応寺(仏殿前、下枝なし、花付きやや不良)、#鎌倉市山ノ内(JR横須賀線北鎌倉駅北側~東慶寺界隈にかけて民家に多い)、#海蔵寺、#光則寺(本堂向かって左側)、#長谷寺(阿弥陀堂前)、#貞宗寺、#小田急本鵠沼駅周辺(平成13年(2001)環境省選定かおり風景100選「鵠沼、金木犀の住宅街」、滅失=平成(-2019)末期すでに民家の建て替えも進んでおりキンモクセイの生垣等はほぼ皆無でむしろ他地域よりも少ない有様)、#寒川町役場(中庭)、寒川町・#水道記念館、#高来神社(本殿前石段下の左右)、#徳富蘇峰記念館(ロータリーに大樹)