ハマカキラン

浜柿蘭 クサスギカズラ目/ラン科/カキラン属 花期/6月上旬~中旬
学名/Epipactis helleborine (L.) Crantz

自生種稀少保護

環境省レッドリスト2019「絶滅危惧II類(VU)」
ハマカキラン=神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧II類」

エゾスズラン=神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧II類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IA類」

ハマカキラン 茅ヶ崎市 2018/06/04

ハマカキラン 茅ヶ崎市 2018/06/04

沿岸地域のクロマツ(黒松)林の日陰に生える多年草。クロマツと共生関係にあるらしい。名はカキランの海岸型の意だが、正しくは同属で丹沢などの山地に分布があるエゾスズラン(蝦夷鈴蘭)、別名アオスズラン(青鈴蘭)の海岸型変種。近年の研究ではエゾスズランと見た目に大差なくDNAでも区別できないとされ、”ハマカキランとエゾスズラン(アオスズラン)は(変種でもない)同じもの”という方向に学術的にはなっていく模様。『神奈川県植物誌2018』がそうであるように、ハマカキランという呼称は消えてエゾスズランとしてまとめられるように変わっていくだろう。※本サイトは、主たる掲載地域である湘南・鎌倉・三浦半島がハマカキラン自生地を含んでいるため、伝統的な呼称ハマカキランとして掲載する。

ハマカキランの蕾 藤沢市 2019/06/08

ハマカキランの蕾 藤沢市 2019/06/08

ぼっち系の植物で、他の雑草にまみれて生えているものを見かけない。また林床にぽつりぽつりと点在するのがふつうで、三本以上がまとまって一地点に生えているというのもまず見ない。他の雑草が茂ってきた、ササ(笹)が生えてきた、人がマツの枯れ葉を掃いて山積みにしちゃった、そのような場所からはハマカキランは姿を消す。神奈川県内では湘南地域の狭い地域にのみ自生が確認されており、鎌倉や三浦半島にはない。人為的に栽培されているものなし。

ハマカキラン 藤沢市 2019/06/08

ハマカキラン 藤沢市 2019/06/08

草丈は人の脛(すね)から膝(ひざ)下くらい。葉が丸っこいマルバカキラン(丸葉柿蘭)というのもあるとかないとか。

ハマカキラン 藤沢市 2019/06/08

ハマカキラン 藤沢市 2019/06/08

ハマカキランの葉 藤沢市 2019/06/08

ハマカキランの葉 藤沢市 2019/06/08

令和元年(2019)茎の上部や葉の一部が焦げ茶色に変色し枯れているものが目立った。近年の猛暑は五月のうちから最高気温が三十度前後に達する場合があり、(一時的に直射日光が当たった際などに)暑さに耐えられなかった可能性が伺える。

カラスに注意


梅雨時のマツ林はカラスの営巣地となっていることが多い。子育て時期のカラスは小集団を形成したいへん攻撃的で、マツ林周辺を人がうろついたり覗き込んでいたりすると突然(背後から)襲ってくることがあるので注意されたい。人の後頭部をめがけて両脚でがつんとドロップキックをお見舞いしてきたり、人を追い払おうと爪を立ててくる。ヤブカ(藪蚊)以上にしつっこく執拗に付きまとってくるので、カラスに背を向けることなく、その場を離れる意外に手はない。なんとも憎ったらしいが、カラスを捕獲したり損傷することは鳥獣保護管理法で禁止されており違法である。

ハマカキランの花

カキランのようなカキ(柿)色(オレンジ色)にはならず、見た目に地味である。

ハマカキランの蕾 藤沢市 2019/06/08

ハマカキランの蕾 藤沢市 2019/06/08

ハマカキランの蕾 藤沢市 2019/06/08

ハマカキランの蕾 藤沢市 2019/06/08

ハマカキラン 藤沢市 2019/06/08

ハマカキラン 藤沢市 2019/06/08

ハマカキラン 藤沢市 2019/06/08

ハマカキラン 藤沢市 2019/06/08

ハマカキラン 茅ヶ崎市 2018/06/04

ハマカキラン 茅ヶ崎市 2018/06/04

ハマカキラン 藤沢市 2018/06/04

ハマカキラン 藤沢市 2018/06/04

ハマカキラン 藤沢市 2019/06/08

ハマカキラン 藤沢市 2019/06/08

花粉の運び手は主にスズメバチ(雀蜂)とのこと。

ハマカキランの実

ハマカキランの若い実 茅ヶ崎市 2018/06/04

ハマカキランの若い実(絡まっている蔓はヘクソカズラ) 茅ヶ崎市 2018/06/04

参考資料

『日本のラン ハンドブック ①低地・低山編』 遊川和久解説 中山博史・鷹野正次・松岡裕史・山下弘写真 文一総合出版発行(2015)

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