黒蘭 クサスギカズラ目/ラン科/クモキリソウ属 花期/6月中旬~7月初旬
学名/Liparis nervosa (Thunb.) Lindl.
自生種稀少保護
コクラン 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/06/28
丘陵地などのやや薄暗い林床に生える常緑の多年草。野生のランの一種。名は花が黒っぽく見えることに因む。神奈川県内では見かける機会はそう多くはないのだが、野生ランとしては最も希少性が低く、特に三浦半島の丘陵地を抜けるハイキングコース沿いなどでギンラン(銀蘭)あたりと同程度にちらほらと見かける機会があるだろう。葉の形状さえ覚えておけば不意にときどき目に留まる。野山を歩いて探して発見できるほどの数はない。
コクラン 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/06/28
コクラン 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/06/28
周囲に他の野草が生えてくる、落ち葉が(自身の葉が埋もれてしまうほどに)堆積する、といった場所は嫌いな”ぼっち系”。
三枚葉のコクラン 横須賀市・塚山公園 2023/09/29
実を付けたコクラン 逗子市・池子の森自然公園 2017/11/05
コクラン 茅ヶ崎市・清水谷 2022/12/17
コクラン 葉山町/逗子市・三浦アルプス 2018/12/21
石垣に生えたコクラン 横須賀市・衣笠山公園 2024/12/23
冬のコクラン 葉山町/逗子市・三浦アルプス 2025/01/15
冬のコクラン 葉山町/逗子市・三浦アルプス 2025/01/15
葉はエビネ(海老根)やサイハイラン(采配蘭)より明らかに短くて、丸っこいのが特徴。ふつう一対(二枚)生えている。ちょっとギョウジャニンニク(行者蒜)っぽい感じがしないでもないか。株元から伸びた一本の花茎(かけい、果茎)の残骸が、枯れた状態で翌年の花期まで朽ちずに残っていることが多い。
コクランの冬葉 大和市・深見歴史の森 2018/12/31
コクランの冬葉 葉山町/逗子市・三浦アルプス 2025/01/15
コクランの冬葉の裏 大和市・深見歴史の森 2018/12/31
コクラン 鎌倉中央公園 2023/04/28
梅雨入り(6月中旬)の頃、新しい葉が開くのと同時に花茎も伸びてくる。
コクランの古葉と新葉 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/06/24
コクランの新葉 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/06/24
コクランの花
花色は薄暗い日陰にあっては黒っぽく見えるが、よく見れば紫褐色と黄緑色のツートン。だいぶ地味。時期的に仕方ないことだが、クモ(蜘蛛)の巣が絡みついていたり虫にかじられてしまっていることも。
コクラン 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/06/28
コクラン 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/06/28
コクラン 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/06/28
花が淡い黄緑色、葉の縁(ふち)が強めに波打っている、などの違和感あらば、近似種クモキリソウ(蜘蛛切草)の可能性。神奈川県内では主に丹沢と箱根に分布するが、ごくごく希に三浦半島などにも生え出ることが皆無に近いがなくもない。冬は葉が枯れてなくなる夏緑性(かりょくせい)。
コクランの実
ありふれた感じのランの実。
コクランの実 逗子市・池子の森自然公園 2017/11/05
コクランの実の残骸 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/06/24
横須賀市・塚山公園、馬堀自然教育園、久里浜緑地、衣笠山公園、光の丘水辺公園(通常非公開の最奥の池畔、6月第1土曜日の「自然観察会」で早い・6月下旬~7月上旬「ハンゲショウ観察会」では遅い)、三浦アルプス、池子の森自然公園、鎌倉中央公園、茅ヶ崎市・清水谷
新林公園(滅失)、茅ケ崎里山公園(保全樹林内=立入禁止)
大和市・深見歴史の森、愛川町・八菅神社
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)