イヌサフラン(コルチカム)

犬さふらん ユリ目/イヌサフラン科/イヌサフラン属 花期/9月下旬~10月上旬
学名/Colchicum autumnale L.

猛毒危険薬用外来種改良種

イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

#イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

かわいらしい花を観賞するために園芸栽培される、ヨーロッパや北アフリカを原産とする多年草。土中に球根がある。名は、ひと月遅れで開花するアヤメ科の薬草サフランに姿かたちが似てはいるものの特に用途がないものとして、植物の世界で”人の役に立たない”ことを意味するイヌが冠される。実際のところは薬用になるが。改良された園芸種や近似の別種を含めてイヌサフラン属を意味するコルチカム(Colchicum)と呼ばれることも。

イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

#イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

#イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

名前が紛らわしいサフランモドキ(さふらん擬)(ヒガンバナ科)は別種で、花茎(かけい)がひょろひょろっと長い。

イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

#イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

球根は、真夏に、ホームセンターの園芸コーナーで市販されていることがある(1球300円程度)。夏に植え付ければ、秋に花が咲き、春から初夏にかけて葉が伸展し、夏に地上部が枯れてまた球根だけの状態に戻って休眠する、の繰り返し。タマネギ(玉葱)のように見えないでもないが、後述の通り猛毒である。食べたら死ぬ。

コルチカム(品種不明)の奇妙な形をした大きな球根 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/09

#コルチカム(品種不明)の奇妙な形をした大きな球根 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/09

コルチカム(品種不明)の花芽の発芽 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/21

#コルチカム(品種不明)の花芽の発芽 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/21

イヌサフランの花

夏が終わって秋の初め、地面から直接ピンク色のかわいらしい花が咲く。じつはサフラン同様、球根を土に埋めることなく放ったらかしておいても花は咲く。球根をいくつかバスケットか何かに並べて入れておけば部屋を飾る置物にもなる。なお花期に葉はない。

イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

#イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

#イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

#イヌサフラン 大磯町・地福寺 2019/10/05

イヌサフラン 箱根町仙石原・長安寺 2017/09/25

#イヌサフラン 箱根町仙石原・長安寺 2017/09/25

イヌサフラン 箱根町仙石原・長安寺 2017/09/25

#イヌサフラン 箱根町仙石原・長安寺 2017/09/25

イヌサフラン 箱根町仙石原・長安寺 2017/09/25

#イヌサフラン 箱根町仙石原・長安寺 2017/09/25

イヌサフラン 厚木市・荻野運動公園 2016/10/02

#イヌサフラン 厚木市・荻野運動公園 2016/10/02

イヌサフランの新芽

春に発芽する。猛毒。有毒成分は、痛風の痛み(発作)を和らげる薬としても使われるコルヒチン(Colchicine)。

イヌサフランの新芽 箱根町仙石原・長安寺 2018/03/12

#イヌサフランの新芽 箱根町仙石原・長安寺 2018/03/12

イヌサフランの新芽 箱根町仙石原・長安寺 2018/03/12

#イヌサフランの新芽 箱根町仙石原・長安寺 2018/03/12

食用になるギョウジャニンニク(行者大蒜)と間違えて食べてしまう事故が絶えない。イヌサフランは猛毒で下痢や嘔吐を引き起こし、高確率で死に至るのでよくよく注意したい。この手のものを食べてしまうのはおよそ高齢者である。厚生労働省によれば平成25年(2013)から令和4年(2022)の十年間で食中毒事件を22件発生させており、患者数は29人。そのうち死者は(患者数の約45%にあたる)13人で、食中毒(自然毒)による死者数としては断トツに突き抜けての第一位である。二位はグロリオサの2人。あのスイセン(水仙)が患者数216人で死者1人という点を鑑みれば、イヌサフランの殺人成分がいかに並外れているがかわかるだろう。毎年300人を窒息死させている餅にはかなわないけれども。

イヌサフランの新芽 箱根町仙石原・長安寺 2018/03/12

#イヌサフランの新芽 箱根町仙石原・長安寺 2018/03/12

しっかり成長して茂った葉はギョウジャニンニクそっくりどころかまるでギョウジャニンニクそのもののような姿に。猛毒イヌサフランと承知の上で眺めてみても、「なんだかおいしそう」とついつい脳が勝手に考えてしまう不思議な葉。年は取れば取るほどイヌサフランを植えたことを忘れ、「何を植えたんだっけ?」となり、「ギョウジャニンニクを植えたんだっけ?」となり、「食べてみようか」となり、死に至る。

イヌサフランの葉 大磯町・地福寺 2020/03/26

#イヌサフランの葉(白花はハナニラ) 大磯町・地福寺 2020/03/26

イヌサフランの葉 大磯町・地福寺 2020/03/26

#イヌサフランの葉 大磯町・地福寺 2020/03/26

イヌサフランの葉 大磯町・地福寺 2020/03/26

#イヌサフランの葉 大磯町・地福寺 2020/03/26

食用になるギョウジャニンニクの若葉は千切るとニンニク臭(ニンニクたっぷり手作り餃子臭)がするが、イヌサフランにはニンニク臭なし。ただし、何だか食べることができそうな野菜臭がしないでもない。実際に食べてみるととっても苦いらしい(救急搬送された人の証言)。

イヌサフランが関係した重大な事故例


令和元年(2019)6月上旬、秋田県で女性(80代)が自宅敷地内に生えていたイヌサフランをウルイ(ギボウシの新芽)と誤って食べて死亡。(同年6月6日 毎日新聞)


平成31年(2019)4月中旬、群馬県で夫婦(70代)がイヌサフランを炒めて食べ、夫は呼吸困難となり意識不明の重体、のち死亡。妻は嘔吐や下痢の軽症。イヌサフランは、知人からギョウジャニンニクとして頂いたものだったが、県が調べたところ知人宅にはイヌサフランが混じって生えていた。(同年4月20日 朝日新聞、日本テレビ、4月22日 朝日新聞)


平成30年(2018)7月中旬、北海道で自宅の庭に生えていたイヌサフランの球根を食べた女性(80代)が死亡。(同年7月23日 十勝毎日新聞電子版)
イヌサフランの球根は外観がタマネギ(玉葱)に、切るとジャガイモ(馬鈴薯)に似ていることから誤食したとみられる。


平成30年(2018)4月下旬、北海道で自宅の庭に生えていたイヌサフランをギョウジャニンニクと誤って食べた老夫婦のうち夫(70代)が死亡。妻(60代)は食中毒の症状あるも命に別状なし。ジンギスカンの具材として使用したとのこと。庭には両方が植えてあったという。(同年4月25日 テレビ朝日)

毒草は故意に混入させることも可能である。警察の事情聴取で「間違えちゃったかしらぁ~‥?うそ~」などとすっとぼければ、殺人罪(刑法199条、死刑または無期もしくは5年以上の懲役)があら不思議、過失致死罪(刑法210条、50万円以下の罰金)で済む可能性も出てきてしまう。”庭で採れた野菜”や”頂いた山菜”などには警戒されたし。


#くりはま花の国(ハーブ園)、#大巧寺(9月下旬)、大磯町・#地福寺

#横須賀しょうぶ園、大船フラワーセンター(平成31年(2019)4月 なし)

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

サフラン

サフランモドキ

クロッカス

ギョウジャニンニク