ヒロハクサフジ

広葉草藤 マメ目/マメ科/ソラマメ属 花期/4月下旬~7月、9月下旬~11月 結実期/6月下旬~12月
学名/Vicia japonica A.Gray

自生種

ヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

海岸の日当たり良い草地ないし林縁で、他の植物に半ば埋もれたところから生え出てくる蔓性の多年草。名は、葉が幅広で、クサフジ(高原に生えるもので、神奈川県内自生なし)の仲間、の意。葉がフジのように羽状複葉である。ヒロハノクサフジ(広葉の草藤)とはふつう言わない。県内では三浦半島に分布があり、海水浴客などがやたらめったらとは踏み込まない、自然がある程度豊かに残されている磯の付け根などに自生しており、三浦半島に限れば特に珍しいものではなし。『神奈川県植物誌2018』などには”砂浜に生える”とあるがそれはどうか。極力横に横に広がりたいらしく、上に上に樹木などを高いところまで登って行く性質は感じられない。地べたを這うか、人の膝(ひざ、高さ50cm)くらいまでのところで他の草木から葉や花が顔を覗かせているか、のどちらか。全草に細かな(細かすぎて肉眼ではちょっと確認しがたい)毛あり。この手の植物は似ているもの多く見分けが難しいが、三浦半島の海岸で見かけたなら本種と考えてまず差し支えない。ひ弱さはまったく感じられないので、自生箇所が観光地や別荘地として開発されない限りは存在は脅かされないだろう。千葉県では絶滅したが。

林縁から磯に生え出てきたヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

林縁から磯に生え出てきたヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

林縁から磯に生え出てきたヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

林縁から磯に生え出てきたヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

海岸草地に生えたヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2032/06/21

海岸草地に生えたヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2032/06/21

ヒロハクサフジが生える海岸草地 三浦市・諸磯 2023/05/10

ヒロハクサフジが生える海岸草地 三浦市・諸磯 2023/05/10

ササ薮から生え出てきたヒロハクサフジ 三浦市・黒崎の鼻 2023/05/01

ササ薮から生え出てきたヒロハクサフジ 三浦市・黒崎の鼻 2023/05/01

海岸草地に生えたヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

海岸草地に生えたヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

トベラの上に出てきたヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

トベラの上に出てきたヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

園路にはみ出てきたヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

園路にはみ出てきたヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

地面に広がったヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

地面に広がったヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

海に面した岩崖に広がる草地に生えたヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

海に面した岩崖に広がる草地に生えたヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

磯の間の砂地に広がったヒロハクサフジ(奥はミヤコグサ) 三浦市・城ヶ島・安房崎 2023/07/07

磯の間の砂地に広がったヒロハクサフジ(奥はミヤコグサ) 三浦市・城ヶ島・安房崎 2023/07/07

満開のヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島・安房崎 2023/07/07

満開のヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島・安房崎 2023/07/07

葉は偶数羽状複葉。小葉は、基本的には小さめながら、大小差異あり、丸っこい小判形。軸の先端に巻きひげあり。巻きひげは、分岐しない、あるいは途中からニ三本に分岐し、他の植物に絡まり自身を固定する。近似種ノハラクサフジ(野原草藤)も、小葉はここまで丸っこくはないものの近い形状をしており紛らわしい。葉裏の毛の有無で見分けることになっているが、どうだろうか。明らかに違う花序の形状で見分ける方が確かではないか。

ヒロハクサフジの葉 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジの葉 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジの葉 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジの葉 三浦市・諸磯 2023/06/21

葉裏全面にまんべんなく細かな白い毛が生える。ノハラクサフジの葉裏は無毛、とされているが、若い葉の裏側には毛が多少残っているので、毛の有無で見分けるのはちょっと難しいのではないか。花序の形状で見分けた方が明快。小葉が異様に大きかったらオオバクサフジ(大葉草藤)の可能性。

ヒロハクサフジの葉裏 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの葉裏 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの葉裏 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの葉裏 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの葉裏全面にまんべんなく生える細かな毛 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの葉裏全面にまんべんなく生える細かな毛 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの巻きひげ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジの巻きひげ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジの巻きひげ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジの巻きひげ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジの托葉 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの托葉 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの托葉 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの托葉 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

農地周辺でもっさり茂って花序がやたら縦長になるものは、外来種ナヨクサフジ(弱草藤)の仲間だろう。

ヒロハクサフジの花

開花は初夏と秋。真夏は開花を休むのでその前後に咲く。花序は葉腋(ようえき)から出て、大きからず小さからずで、縦長にならない。小花はタツナミソウ(立浪草)の仲間のごとく一方を向く。花色は明るい赤紫色ないし地味な青紫色で、両方が混じる。咲き終わっても、萎(しお)れて白っぽく脱色しながらも脱落せず、実が膨らむまで残る。

満開のクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

満開のクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/05/25

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/05/25

ヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/05/25

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/05/25

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジ 三浦市・諸磯 2023/06/21

ヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジ 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジ 横須賀市・荒崎公園 2017/10/05

ヒロハクサフジ 横須賀市・荒崎公園 2017/10/05

ヒロハクサフジの萼 三浦市・黒崎の鼻 2023/05/01

ヒロハクサフジの萼 三浦市・黒崎の鼻 2023/05/01

ヒロハクサフジの萼 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの萼 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジ 三浦市・黒崎の鼻 2023/05/01

ヒロハクサフジ 三浦市・黒崎の鼻 2023/05/01

花序の形状だけを見れば、ヒロハクサフジとツルフジバカマ(蔓藤袴)はずんぐりしておりほぼ同形。クサフジとノハラクサフジの花序は縦に細長い。

ヒロハクサフジの実

ヒロハクサフジの未熟な実 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの未熟な実 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの未熟な実 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの未熟な実 三浦市・城ヶ島 2023/07/07

ヒロハクサフジの未熟な実 三浦市・諸磯 2023/10/26

ヒロハクサフジの未熟な実 三浦市・諸磯 2023/10/26

ヒロハクサフジの熟した実 三浦市・諸磯 2023/10/26

ヒロハクサフジの熟した実 三浦市・諸磯 2023/10/26


城ヶ島、荒崎、黒崎の鼻、諸磯

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

ハマエンドウ

クサフジ

ノハラクサフジ

ナヨクサフジ

ツルフジバカマ

オオバクサフジ

ナンテンハギ