立波草 シソ目/シソ科/タツナミソウ属 花期/4月中旬~5月中旬 結実期/5月中旬~6月上旬
学名/Scutellaria indica L. var. indica
自生種稀少保護
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
丘陵地の明るい低草地に生える多年草。立波とは、葛飾北斎の浮世絵『冨嶽三十六景』のうち「神奈川沖浪裏(-なみうら)」で富士山と共に描かれたような大波を表現した図案のこと。花が一方を向いて咲く姿が波の形に喩(たと)えられた。草丈は20cmを超えて、オカタツナミソウ(丘立波草)と同様にひょろっとおよそ30cm程度になる。オカタツナミソウは、(開花中の)花序があまり縦長にならない、花序の直下にまるで苞(ほう)のようにして大きな葉が十字対生で集まっている、という大きな特徴あり。タツナミソウは、花序は縦長、葉は茎にふつうにまんべんなく付くので花序の直下に特に目立つ苞のようなものはない、癖のない姿をしている。コバノタツナミ(小葉の立波)は矮性(わいせい)なので、草丈は茎を高く伸ばしてもせいぜいおよそ20cmまで。葉が小さく、鋸歯(きょし)は七対までしかなく、葉脈が強く凹むので葉がでこぼこに見える目立った特徴あり。学術的にはタツナミソウとコバノタツナミは変種の関係に位置付けられているのだが、両者はぜんぜん似ていないので注意が必要。葉がコバノタツナミっぽいと感じたそれはコバノタツナミである。湘南・鎌倉・三浦半島の野山で目にする機会があるタツナミソウの仲間は、オカタツナミソウとコバノタツナミの二種。タツナミソウも自生あるが希少で、まず遭遇することはあるまい。それ以上に希少な、小花が直立せずに前に倒れ気味に付くヤマナツナミソウ(山立波草)なるものもないでもないが、ない。なお「タツナミソウ」と呼ばれてよく園芸栽培されるのはコバノタツナミである。タツナミソウの仲間は総じて姿が似通っているので、全部ひっくるめてタツナミソウと呼ばれてしまうことも多い。
タツナミソウが生える草地 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
葉は対生。鋸歯は七対以上あること。葉脈は凹みはするが、コバノタツナミのように葉がでこぼこといえるほどのものではなし。
タツナミソウの葉 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウの葉 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウの葉 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウの葉 鎌倉中央公園 2023/04/28
茎などには、およそ直線的な(直角に生える)開出毛が多い。
タツナミソウの開出毛が多い茎 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウの開出毛が多い茎 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウの花
花序は縦長。小花はほぼ直立するように生え出る。
タツナミソウの蕾 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウ 鎌倉中央公園 2023/04/28
タツナミソウの実
コバノタツナミと同様。
タツナミソウの若い実 鎌倉中央公園 2023/04/28
横浜市戸塚区・舞岡公園
鎌倉中央公園
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
マンションのサツキの花壇の下で、人知れず、四月の終わりころに咲きます。
かわいいです。