赤升麻 ユキノシタ目/ユキノシタ科/チダケサシ属 花期/5月下旬~6月中旬
学名/Astilbe thunbergii (Siebold & Zucc.) Miq. var. thunbergii
薬用自生種保護
アカショウマ 大磯町・王城山 2023/05/18
丘陵地の林の中を通るハイキングコース沿いの、明るい草地ないし薄暗く直射日光が当たらず地面が保湿されている場所に生える、まあまあ大型な多年草。草丈は人の膝(ひざ、高さ50cm)程度ないしそれ以上。薬草(漢方薬、生薬)に用いられる。ぱっと見の姿はどこにも赤色の要素はないが、根茎(こんけい)が赤いのだという(安易に引っこ抜いても問題ないといえるほどの数はないため、確認はしていない)。薬草掘りが命名したのだろう。現在はダイエット用の健康食品に用いられている。紛らわしい近似種いろいろあって困ってしまうが、神奈川県内で最も一般的なのは本種とチダケサシ(乳茸刺)。湘南・鎌倉・三浦半島の野山で見かけうるのもまさにこの二種である。両者は葉の形状と花期が違うので混同すまい。ときにちらっと見かけることがある、希少の一歩手前。ふつう栽培はされない。日本固有種。
ハイキングコース沿いに生えたアカショウマ 横浜市栄区・栄プール~天園 2022/05/28
アカショウマ 横浜市栄区・栄プール~天園 2022/06/10
アカショウマ 大磯町・高麗山公園 2017/05/31
アカショウマ 大磯町・王城山 2023/05/18
アカショウマ 大磯町・高麗山公園 2017/05/31
葉は(ごちゃごちゃ生えているのでわかりにくいが)三回三出複葉。光沢なし。小葉の基部は楔形(くさびがた)といわれるが、浅い心形のものもある。
アカショウマの葉 大磯町・王城山 2023/05/18
アカショウマの葉 大磯町・王城山 2023/05/18
アカショウマの葉 横浜市栄区・栄プール~天園 2022/05/28
アカショウマの(ふつうより小葉が幅広な)葉 横浜市栄区・栄プール~天園 2022/05/28
アカショウマの葉 大磯町・高麗山公園 2017/05/31
念のため、別種ともアカショウマの変種ともいわれるトリアシショウマ(鳥足升麻)でないことは確認したい。なんだか花が豪華、小葉が幅広で鋸歯の切れ込みが深く葉身基部は心形になる傾向、といった違和感あらば詳細を検討する必要あり。県内の自生地は相模原市最北の相模湖周辺に限られている希少種ながら、古くは湘南・鎌倉・三浦半島でも記録がないわけでもない。
鎌倉の神社境内あたりには、山野草としてトリアシショウマやアワモリショウマ(泡盛升麻)が植栽されているかもしれない。得体がよくわからない(外国産のものを含む)園芸種はチダケサシ属に分類される植物の総称としてアスチルベと呼ばれ、公園や民家の庭などでも栽培されることがある。
アカショウマの花
茎は直立するが細く、自重に耐えられないのかしなって傾き花は横を向きがち。花序の大きさは生育具合によって様々。花色は薄暗い林床にあってひときわ目を惹く清楚な白。
アカショウマ 大磯町・高麗山公園 2017/05/31
アカショウマ 大磯町・高麗山公園 2017/05/31
アカショウマ 大磯町・高麗山公園 2017/05/31
アカショウマ 横浜市栄区・栄プール~天園 2022/06/10
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
横浜市栄区・栄プール~天園
天園ハイキングコース
高麗山公園、大磯町・王城山(おうじょうやま)
厚木市・#荻野運動公園野草園(多い、トリアシショウマもある?)
参考資料
『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)