蔓藤袴 マメ目/マメ科/ソラマメ属 花期/8月中旬~11月
学名/Vicia amoena Fisch.ex Ser.
自生種稀少保護
ツルフジバカマ 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/08/31
川沿いの土手にある草地などに生える蔓性の多年草。近似種のクサフジ(草藤)がフジの仲間ではないように、本種もフジバカマ(藤袴)の仲間ではまったくない。牧野富太郎博士によれば赤紫系の花色がフジバカマに喩(たと)えられたとのことだが、色味がまったく異なるので類似性はこれっぽっちも感じられない。誰かがクサフジに対応させて風流気取って命名するもスベったか。『神奈川県植物誌2018』によれば県内で”普通”とのことだが、湘南・鎌倉・三浦半島ではだいぶ希少ではなかろうか。個人ブログ等に写真が掲載されることもない。どうしても自生地は夏本番前の機械による刈払いの被害に遭いやすい上、似たような類似種がいろいろあって見分けが難しいことも影響しているかもしれないが、そこかしこに雑草のようにして生えているような普通種ではないだろう。
#ツルフジバカマ生える湿原 箱根湿生花園 2023/09/02
河川土手に生えたツルフジバカマ 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/08/31
葉は偶数羽状複葉。軸の先端には巻きひげあり。
ツルフジバカマの葉 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/08/31
ツルフジバカマの葉 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/08/31
ツルフジバカマの葉 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/08/31
ツルフジバカマの葉 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/08/31
本種の最大の特徴は、葉の基部にある一対の托葉。大きめで、手裏剣のような形をしている。この托葉あればツルフジバカマである。
ツルフジバカマの托葉 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/09/08
ツルフジバカマの托葉 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/09/08
ツルフジバカマの托葉 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/09/08
ツルフジバカマの花
花序はヒロハクサフジ(広葉草藤)に似るが、ヒロハクサフジは海岸に生え、小葉が幅広で丸っこい。ナヨクサフジ(弱草藤)は花序がもっと縦に長い。ナンテンハギ(南天萩)は葉の形状が違う。花色は赤紫。
ツルフジバカマ 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/08/31
ツルフジバカマ 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/09/08
ツルフジバカマ 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/09/08
ツルフジバカマ 茅ヶ崎市西久保・小出川 2018/08/31
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『牧野 日本植物図鑑』 牧野富太郎著 北隆館発行(1940)
遠藤笹窪谷、茅ヶ崎市西久保・小出川(湘南タゲリ米の里の西側、よく刈払われる)
#箱根湿生花園(仙石原湿原植生復元区の北東、8月)