姫藪蘭 クサスギカズラ目/クサスギカズラ科/ヤブラン属 花期/6月中旬~7月 結実期/11月下旬~2月
自生種
ヒメヤブラン 三浦市・諸磯 2023/06/21
丘陵地などの草地に生えるという多年草。名は、ヤブランの仲間だが小さくかわいらしいことから。大きさはヤブランというよりはジャノヒゲ(蛇の髭)に近く、手のひらサイズ。葉しかない時期はジャノヒゲやその変種ナガバジャノヒゲ(長葉蛇の髭)と非常に紛らわしい。湘南・鎌倉・三浦半島でもありふれた普通種らしいが、ヒメヤブランがその辺にたくさん生えていても花が咲いていないとジャノヒゲなのか何なのかよくわからないため、あまり注視する人はいないだろう。薄暗い林床にあればジャノヒゲ、日当たり良いあるいは明るい日陰にあって葉数が少ない貧相なジャノヒゲらしきものはヒメヤブラン、といったところか。内陸部や山地にも生えるが、海岸風衝草地にも多い。
海岸草地の釣り人の踏み跡沿いに生えたヒメヤブラン 三浦市・諸磯 2023/06/21
海岸草地に生えたヒメヤブラン 三浦市・諸磯 2023/06/21
海岸草地に生えたヒメヤブラン 三浦市・諸磯 2023/06/21
海岸草地に生えたヒメヤブラン 三浦市・諸磯 2023/06/21
#ヒメヤブラン 茅ヶ崎市東海岸南 2019/06/20
ヒメヤブラン 藤沢市鵠沼海岸 2018/07/17
匍匐茎(ほふくけい)を伸ばして、密にはならず群生する。
ヒメヤブラン(細く茶色い枯れ葉はマツのもの) 藤沢市鵠沼海岸 2018/09/24
#ヒメヤブランの群生 鎌倉市・一条恵観山荘 2019/12/05
葉の幅や長さは(ヤブランというよりは)ほぼジャノヒゲ。ジャノヒゲよりかは少し長いかなと感じるものの、ナガバジャノヒゲほどのものはないか。葉の幅は3mm弱~3.5mm、長さはまちまちであるがだいたいは30cm前後まで(特に長いものは40cmある)。葉裏には、ジャノヒゲ属(ジャノヒゲ、ナガバジャノヒゲ、オオバジャノヒゲ)と同様に緑と白のストライプ模様が確認できる。ただし、ジャノヒゲ属の葉の縁(ふち)にあるような細かいぎざぎざはない。
ヒメヤブランの葉 藤沢市鵠沼海岸 2018/11/27
ヒメヤブランの葉 藤沢市鵠沼海岸 2018/11/27
ヒメヤブランの葉裏に見える(まるでジャノヒゲのような)緑と白の縞々模様 藤沢市鵠沼海岸 2019/01/08
ヒメヤブランの葉 藤沢市鵠沼海岸 2018/11/27
ヤブラン・ジャノヒゲ類の違いのまとめ
ヒメヤブランの花
ヤブランほどがっちりした立派な花序が立ち上がらないのでぱっと見でヤブランでないことはわかるだろう。花茎(かけい)の高さは10cmちょっとくらいしかない。小花はやや上向きに平開するため、下向きにうつむいて咲くジャノヒゲやナガバジャノヒゲでないことも一目瞭然。それがヒメヤブラン。小花の数は少なめでややまばらな印象。花色はふつう(やや薄めな)紫色。白色のものもあるにはあるらしいが見かけない。
花序は葉の高さとほぼ同じくらい。では葉に隠れてしまって見えなくなるかといえば、葉の数がもしゃもしゃもしゃもしゃたくさん生えているわけではないので、隠れて見えないというほどでもなし。ジャノヒゲ類は葉がよく茂り花茎は低いため、花が葉に埋もれてしまっていることが多い。
ヒメヤブラン 藤沢市鵠沼海岸 2018/07/17
雄蕊はぱっと広がらず、花の中心部に集合している。雌蕊は曲がって上を向く。パオーンと鳴いているときのゾウ(象)の鼻のよう。
ヒメヤブラン 藤沢市鵠沼海岸 2018/07/17
ヒメヤブランの実
丸っこい実に見えるものは種子が露出したもの。大きさが均一でない。緑色から黒色に熟す。ジャノヒゲの仲間の種子はやや黒っぽく見える青色(紺色、コバルトブルー)なので違いは明瞭。
ヒメヤブランの未熟な実 藤沢市鵠沼海岸 2018/09/24
ヒメヤブランの実 藤沢市鵠沼海岸 2018/11/27
ヒメヤブランの実 藤沢市鵠沼海岸 2018/11/27
ヒメヤブランの実 藤沢市鵠沼海岸 2018/11/27
ヒメヤブランの大きさがまちまちな実 藤沢市鵠沼海岸 2018/11/27
ヤブランとヒメヤブランの、数日でしおれた実 2018/12/01
横須賀市・鷹取山、黒崎の鼻、三浦市・諸磯、#一条恵観山荘(県道204号金沢街道沿い)、#氷室椿庭園(多数)、神武寺周辺、平塚市・遠藤原
藤沢市鵠沼海岸四丁目・湘南海岸砂防林(国道134号線「竜宮橋入口」交差点~「松波」交差点)、茅ヶ崎市・松籟庵