シュレーゲルアオガエル

シュレーゲル青蛙 両生類/無尾目/アオガエル科/アオガエル属 産卵期/4月中旬~下旬

在来種保護

神奈川県レッドリスト2006「要注意種」

葉の上で寝ていたが人に気づいて警戒を始めたシュレーゲルアオガエル 茅ヶ崎市・清水谷 2016/08/31

葉の上で寝ていたが人に気づいて警戒を始めたシュレーゲルアオガエル 茅ヶ崎市・清水谷 2016/08/31

普段は森林の樹上で生活するとされるカエル。ドイツ人生物学者ヘルマン・シュレーゲルの名が冠されているがれっきとした日本在来種で、しかも固有種。決してペット用に導入された外来種などではない。横文字の名前が付けられてしまっているため一般人になかなか名前を認知してもらえず、関心も引かず、よって保護の機運も高まらず、良いことは何一つとてないという現状。今からでも構わないので日本固有種として誇れる名前に改名してもらいたいもの。

シュレーゲルアオガエル(1歳) 鎌倉市津村産 2017/07/19

シュレーゲルアオガエル(1歳) 鎌倉市津村産 2017/07/19

シュレーゲルアオガエル(1歳) 鎌倉市津村産 2017/07/19

シュレーゲルアオガエル(1歳) 鎌倉市津村産 2017/07/19

体色は緑。一般に見慣れているニホンアマガエル(日本雨蛙)は目の周りに黒いアイラインが入るが、シュレーゲルアオガエルに黒筋はなく顔も背も緑一色。産卵期を除けば(多少の濃淡の変化はあるものの)緑色のままで、黒っぽくなったり斑(ぶち)が入ったりすることもない。日本一美しい(気色悪くない)カエルといえるのではないか。
他のカエル同様メスはオスより大きく、アマガエル(のメスのでっぷり太った大きなやつ)に比べれば一回り半以上ボリュームがある。モリアオガエル(森青蛙)よりは小さい。
普段は池や水田周辺の草むらや樹上で生活しているとされるが、遭遇できる機会はほぼ皆無なため詳しい暮らしぶりはわからない。高いところにのぼるのが好き。手足の吸盤が強力で垂直面に張り付いたまま眠る、なんていう芸当も可能。肉食で、ハエ(蠅)やガ(蛾)、クモ(蜘蛛)にバッタ(飛蝗)といった小型昆虫類を好んで食べる。夜行性。

シュレーゲルアオガエル(1歳) 鎌倉市津村産 2017/07/26

シュレーゲルアオガエル(1歳) 鎌倉市津村産 2017/07/26

シュレーゲルアオガエル(2歳) 鎌倉市津村産 2018/05/02

シュレーゲルアオガエル(2歳) 鎌倉市津村産 2018/05/02

シュレーゲルアオガエル(2歳) 鎌倉市津村産 2018/05/02

シュレーゲルアオガエル(2歳) 鎌倉市津村産 2018/05/02

コオロギを一飲みしたシュレーゲルアオガエル(2歳) 鎌倉市津村産 2018/07/07

コオロギを一飲みしたシュレーゲルアオガエル(2歳) 鎌倉市津村産 2018/07/07

神奈川県内に広く、宅地化された地域を除いて分布。ある程度の規模で森林が残されていて、そこに(産卵期に)止水(田んぼ、池、沼)があり、水際がコンクリートで固められてしまっていないことが生息条件。産卵期に鳴き声は各所で聞くのでそれなりに数はいるようだが、止水の減少は種の存続を脅かす大きな懸念材料になっている。

シュレーゲルアオガエル 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/16

シュレーゲルアオガエル 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/16

ガマズミの葉で休むシュレーゲルアオガエル 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29

ガマズミの葉で休むシュレーゲルアオガエル 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29

シュレーゲルアオガエル 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29

シュレーゲルアオガエル 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29

シュレーゲルアオガエルの卵

オスは気が早く4月上旬から鳴き始めるが、産卵が始まるのはウワミズザクラ(上溝桜)が見頃を迎える4月中旬。オスが池や田んぼ周辺に集まって「キロロロロ、キロロロロ(ケロロロロ、ケロロロロ、あるいは、コロロロロ、コロロロロ)」と結構大きな声で鳴くようになる(最盛期になると夜のみならず日中も鳴く)。誰かが鳴き始めるとそれに対抗するかのように他のオスも鳴き始め、しばらくすると一斉に鳴き止める。その繰り返し。ヒメハルゼミ(姫春蝉)の合唱と同じシステム。(周辺地域住民からしたら)ちょっとうるさいのが難点だが、ゲロゲロ、ゲコゲコ、グワッグワッといったカエルっぽい声ではないためあまり人に不快感(気色悪いものへの警戒感)を与えない美声だ。

声は止水の水際周辺の地面から聞こえてくる。だがしかし、どこをどう探してもシュレーゲルアオガエルの姿は見つけられない。目の前すぐ30cm先の場所で鳴いているはずなのだが‥、明らかに声はするのだが‥、なぜか姿は見つけられない。それもそのはず、オスは土に穴を掘ってその中に潜んで鳴いているのだという(それにしては声が籠らず透き通って聞こえるが)。しかも、オスの体は緑色から茶色系に変色してさえいるという。その地面の上には春の草がたくさん芽吹いているので、それらも邪魔してどうにもこうにも見つけられっこないのだ。草むらをがさごそと荒らしてみても、カエルが水にちゃぽんと飛び込む音もしない。鳴き声が止むだけで、なおさら見つけられない。悔しい。田植え体験会などに参加して畦(あぜ)を掘り返してみない限りは、シュレーゲルアオガエルは見つけられないだろうと思う。※畦の管理は稲作の重要課題。勝手に掘って、荒したり崩したりしてはいけません。

産卵もその水際の穴の中に潜った状態で行う。卵の粒は黒ではなく乳白色(薄い黄色)で、白色のメレンゲのようなねっとりした泡に包まれている。卵も本来は土中にあるので、見つけられるものではない。
泡の中でいずれ孵化したオタマジャクシは降った雨にざざーっと流されて池や田んぼの水中へと落っこちる、というなんだかいちいち面倒くさい仕組みを採用。孵化は5月中旬から下旬にかけて。

シュレーゲルアオガエルのやや露出してしまっている卵塊 秦野市・田原ふるさと公園周辺 2017/05/27

シュレーゲルアオガエルのやや露出してしまっている卵塊 秦野市・田原ふるさと公園周辺 2017/05/27

シュレーゲルアオガエルの卵塊 秦野市・田原ふるさと公園周辺 2017/05/27

シュレーゲルアオガエルの卵塊 秦野市・田原ふるさと公園周辺 2017/05/27

水上に流出してしまったシュレーゲルアオガエルの卵塊(矢印先に卵が露出) 鎌倉市・広町緑地 2017/05/07

水上に流出してしまったシュレーゲルアオガエルの卵塊(矢印先に卵が露出) 鎌倉市・広町緑地 2017/05/07

シュレーゲルアオガエルの卵塊がデリケート過ぎる件


シュレーゲルアオガエルは卵を止水際(特に田んぼの畔(あぜ))の土中に産むが、田んぼ水面に浮遊してしまっている、あるいは用水路に流されてしまっている卵塊をしばしば見かける。おそらく同時期に始まる田植えに向けて、”田んぼに水を張る”という作業を行うことも無関係ではないだろう。田んぼの水が増減した際に流れ出てしまったものと思う。
この水面に流れ出てしまった卵塊は、泡が溶けやすく、そのためか非常に傷みやすく、ときに大部分が腐敗してしまい孵化できない。田んぼに浮かんだ卵はトラクターや田植え機に撹拌されても一巻の終わりだ。孵化したばかりのオタマジャクシは卵塊内の泡に留まることができずすぐに水中に落ち、弱って死んでゆくものも多い。”カエルの卵なんか水に入れてしばらく放っておけばそのうち勝手に全部オタマジャクシになっているだろう”という常識はシュレーゲルアオガエルにはまったく通用しない。おそろしくデリケートな卵である。

水路に流出した卵塊を掬(すく)い出して水に浮かべておいたら、ことごとく死なせてしまったことがある(下の写真)。とにかく腐る。どんどん腐る。神奈川県が誇る塩素たっぷりの新鮮な水道水を毎日入れ替えてやっても腐る。それならばと水から上げると、今度はすぐに乾燥して泡が凝固してしまう。シュレーゲルアオガエルの孵化の手助けは、かなり難易度が高い。

なお現代の田んぼは5月(所によってはゴールデンウィーク明けの5月中旬)の田植えが近づくまでは完全に水抜きされてしまっているところが多く、産卵場所にできないというそもそもの問題もあり。

シュレーゲルアオガエルの、卵塊が壊れて田んぼ内に溶け出てしまった卵 秦野市・田原ふるさと公園周辺 2017/05/27

シュレーゲルアオガエルの、卵塊が壊れて田んぼ内に溶け出てしまった卵 秦野市・田原ふるさと公園周辺 2017/05/27

シュレーゲルアオガエルのオタマジャクシ

孵化直後は卵同様に乳白色。オタマジャクシというよりは魚っぽい。じきに黒色に。

シュレーゲルアオガエルの孵化直後のオタマジャクシ 鎌倉市 2016/05/09

シュレーゲルアオガエルの孵化直後のオタマジャクシ 鎌倉市 2016/05/09

ヒキガエル(蟇蛙)のオタマジャクシほどではないがやや小型。目の周りに白色の縁取りがあるのが特徴。

シュレーゲルアオガエルのオタマジャクシ 鎌倉市 2017/05/12

シュレーゲルアオガエルのオタマジャクシ 鎌倉市 2017/05/12

孵化から40日程度たった梅雨の時期にカエルとなって上陸。オタマジャクシの頃は後ろ肢(あし)が生えた辺りまでは黒っぽい色だが、前肢が出る頃からうっすら黄色っぽく変色が始まる。木の上などでじっとしたまま数日待てば体は緑色に変わる。オタマジャクシ時代は大の人間嫌いだったが、上陸後は意外とおっとりした性格のようで人馴れする。野生個体はアマガエル(雨蛙)のようにぴょんぴょん飛び跳ねて逃げる。

オタマジャクシの手は突然生える


オタマジャクシの手(前肢)が生える瞬間を見たことあるだろうか。足(後肢)が生えた状態で泳いでいるオタマジャクシはたくさん見たことあるけれど、手ってなかなか生えてこない。まだかなまだかなと思っていると、既にカエルとなって上陸している姿がそこに‥。あれあれ、手は、いつ生えたのだ‥。

じつは、オタマジャクシの手は突然生える。ある瞬間をもって突然生えて、たちまち上陸を果たすのだ。
突然現れる手、もちろん一瞬で急成長を遂げるはずはなく、じつは密かに体内(脇腹の中)で徐々に成長していたものである。妙に脇腹が膨れてきた、ごつごつと角ばってきたと感じたら、体内で手が出来上がった証拠。その完成した手は、脇腹を覆っていた薄皮を突き破ってぽんと出現する。そのため、人の目には”なかったはずの手が突然生えた”ように見えるのだ。おそらく水中では、手があると水の抵抗が増して泳ぐのに邪魔だからだろう。じつに合理的だ。

灰田勝彦作詞による「お玉杓子は蛙の子」の一節に”やがて手が出る足が出る”とあるが、生える順番は手の方が後である。

上陸後1時間程度たったシュレーゲルアオガエル 全長(鼻先~尾先)42mm 2016/06/16

上陸後1時間程度たったシュレーゲルアオガエル 全長(鼻先~尾先)42mm 2016/06/16

オタマジャクシの尾は三日で消える


オタマジャクシ時代の長い尾は、上陸後早ければ一日ちょっとで、ふつう三日程度で消滅する。朝長かった尻尾が夜見たらもう半分しかない、という脅威のスピードでなくなってゆくからびっくりだ。

その間、目に見えてわかるところでは顔つきも変わる。目はより大きくくっきりと、口はおちょぼ口からがばっと広がるガマ口へ。体内では鰓(えら)呼吸から肺呼吸へと変態してゆく。

上陸後1時間程度たったシュレーゲルアオガエルのカエルらしからぬ顔 2016/06/16

上陸後1時間程度たったシュレーゲルアオガエルのカエルらしからぬ顔 2016/06/16

ウスイロササキリを捕食したシュレーゲルアオガエル 2016/10/08

ウスイロササキリを捕食したシュレーゲルアオガエルの赤ちゃん 2016/10/08

シュレーゲルアオガエルの冬眠

屋内飼育(暖房なし)では冬眠は12月上旬から。餌になる昆虫がまったく見つけられなくなる頃だ。ハエなどを”ドカ食い”させてでっぷりぷっくり満腹にしてやると、満を持して冬眠へ。

冬眠中のシュレーゲルアオガエル 2017/03/07
冬眠中のシュレーゲルアオガエル 2017/03/07
自然界では土中に潜って冬眠するはずだが、飼育ものなので湿らせた園芸用水苔の中で寝てもらった。屋内なので仮死状態とまではならず、ふつうにじっとか寝ている状態。稀に動いて寝床を変えている模様。春まで一切食べず、一切痩せず。

冬眠から目覚めたシュレーゲルアオガエル 2017/04/15

冬眠から目覚めたシュレーゲルアオガエル 2017/04/15

自然界では、冬眠から目覚めたシュレーゲルアオガエルを見かけることはふつうはない。間もなく産卵期に入ってオスが鳴き始めるため、そこで”ああ、もう目覚めていたのだな”と気づかされることに。


広町緑地(田んぼ周辺に多数、モリアオガエルも生息)

湘南国際村グリーンパーク間門沢調整池、鎌倉中央公園(田んぼ周辺に多数)、清水谷(池周辺に、合唱になるほどの数いない、平成28年(2016)5月15日頃 池の東北畔に1個、何者かが移入させたというモリアオガエルは駆除対象)、茅ヶ崎市行谷(宝蔵寺南方の田んぼ、西端の田んぼ)

箱根湿生花園(池周辺に多数、時期同じ)

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