森青蛙 両生類/無尾目/アオガエル科/アオガエル属 産卵期/5月下旬~6月
在来種外来種稀少保護
神奈川県レッドリスト2006「要注意種」
モリアオガエル(雄) 山北町玄倉 2017/07/13
普段は森林の樹上で生活するとされるカエル。体格は似たようなシュレーゲルアオガエル(シュレーゲル青蛙)より大きく、トウキョウダルマガエル(東京達磨蛙)クラス。”緑色のカエル”としてはかなりでかい。神奈川県内で確認できるモリアオガエルの体色は緑一色ではなく赤褐色の斑が入ったものばかりという。モリアオガエルの白目は赤みを帯び、シュレーゲルアオガエルの白目は鮮やかな黄色をしているので、よく見れば区別はできるだろうと思う。
神奈川県内では、相模原市緑区佐野川(旧藤野町佐野川)地区、鎌倉市の光則寺などで生息が確認されている。ただし分布が点在しており連続性が感じられない、発見が新しいなどの理由から、県内のものはすべて人為的に持ち込まれたものではないかとの強い疑いも持たれている。要するに捨てられたペット(の子孫)。モリアオガエルの雌は巨体になるので持て余しやすく、繁殖期の雄は毎晩毎晩夜通し大きな声で鳴くためとてもじゃないが一般家庭の屋内で飼える代物ではないのだ。県内各所で新たな”発見”も相次いでおり、生息域を徐々に広げている。
モリアオガエルの卵
繁殖期になると止水周辺にまず雄が集まり、「コロロ、コロロ」と大きな声で鳴く。そこに雌がやってきて産卵、となるわけだが、その産卵場所がおもしろい。なんと、止水の真上にせり出した木の枝に産む。水中ではなく樹上に産卵するのだ。
モリアオガエルの卵塊 山北町玄倉 2017/07/13
モリアオガエルの卵塊 山北町玄倉 2017/07/13
モリアオガエルの卵塊は白色の泡で、この中に卵が点々と含まれている。
モリアオガエルの卵塊 山北町玄倉 2017/07/13
大きさは意外と大きく人の拳(こぶし)程度。泡の表面は乾燥してかさかさしており、これが保護膜のような役目を果たす。中の方は程よく湿り気を保ち、おそらく泡はふわっとしっとりしている状態。石鹸の泡のような軟弱なものではなく、綿あめに近いものをイメージしてよいかもしれない。
モリアオガエルの卵塊(乾燥して死滅し、やや収縮したもの) 山北町玄倉 2017/06/21
悲しいことに、日照りが続いてしまうと泡の内部までかっさかさに乾燥し、卵はすべて死滅してしまう。茶色く変色したものは乾燥してしまっている可能性。泡は雨に打たれるなどしていくうちに、じきにしぼんでしまう。
モリアオガエルの乾燥死した卵塊 山北町玄倉 2017/07/03
産卵は梅雨の時期に行われるため本来卵塊は適度に湿り気を保つことができ、泡の中で孵化(ふか)してオタマジャクシが誕生すると、降った雨水と一緒に流され、真下にある止水に落下する、という仕組み。なかなか高度なシステムが採用されていて驚きだ。無論、真下に止水がなければ‥、あったはずの止水が干上がっていたら‥、その結果はあらためて述べるまでもない。
モリアオガエルの卵塊の人工孵化方法
台所用ポリ袋に二三回霧吹きをして、卵塊を入れ、空気を充満させてポリ袋の口を縛り、冷暗所に放置。”なんだかすこし泡が小さくなったかな”と感じた頃にはオタマジャクシが孵(かえ)っているので、水にオタマジャクシを投入する。
モリアオガエルの幼生(オタマジャクシ)
モリアオガエルの成体
木の上で生活をしている(らしい)ので、野良モリアオガエルの成体に出くわす機会はほぼ皆無。産卵期に産卵場所へ出向いてよくよく捜して運が良ければ雄を見つけることができるかもしれない。なお周辺にはモリアオガエルを捕食せんと狙っているヤマカガシ(山楝蛇)などのヘビ(蛇)もいるので注意したい。
モリアオガエル(雄) 山北町玄倉 2017/07/13
モリアオガエル(雄) 山北町玄倉 2017/07/13
モリアオガエル(雄) 山北町玄倉 2017/07/13
モリアオガエル(雄) 山北町玄倉 2017/07/13
モリアオガエル(雄) 山北町玄倉 2017/07/13
モリアオガエル(雄) 山北町玄倉 2017/07/13
モリアオガエル(雄) 山北町玄倉 2017/07/13
以上はじつは観察のためにしばらく拉致していた個体であり、捕獲当初は以下のような明るい緑色をしていた。生息環境によって多少の色合い調節を行っているのだろう。
モリアオガエル(雄) 山北町玄倉 2017/07/03
脚力はかなり強く、地面ではよくぴょんぴょん飛び跳ねて逃げた。指先の吸盤が強力なため木登りは得意で、じつに身軽にすいすい登った。飼育下では水苔によく潜り、潜ったままよく鳴いた。鳴き声はうるさい。臭いは特になし。餌は生きてる小さな昆虫。
宇治市木幡在住の中島と申します10月9日2階のベランダに防火用に用意しているバケツの中に
緑色の小さな綺麗なカエルが入っいるのにビックリと不思議な現実が理解できません教えて下さい
我が家の周囲は住宅街で池や田んぼ湿地などはありませんベランダまでの高さは地上から4メートルあります。カエルはバケツから出すと庭の木にダイビングして姿を隠してしまいました。