オオイヌノフグリ

大犬の陰嚢 シソ目/オオバコ科/クワガタソウ属 花期/(11月下旬~、)1月~4月 結実期/5月
学名/Veronica persica Poir.

外来種駆除

オオイヌノフグリ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

オオイヌノフグリ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

ヨーロッパ原産の一年草(越年草)。道端、公園、畑周辺、いたる所に雑草として帰化しており、誰でも知ってる”春を代表する野草”のような体(てい)ではびこっている。名は日本在来種イヌノフグリの大きいものの意。田んぼに生えるものは年明け早々からひっそりと花を咲かせていることがあるも、基本的には春(3月~4月)の花。横文字大好きな女性向けには(学名から)ヴェロニカ・ペルシカと呼んでやれば、にわかにお洒落フラワーに。

オオイヌノフグリ 鎌倉市・夫婦池公園 2017/02/25

オオイヌノフグリ 鎌倉市・夫婦池公園 2017/02/25

葉が人目に付くようになるのは11月中旬あたりから。暖秋暖冬の平成30年(2018)-同31年(2019)シーズンは1月下旬になるまで目立たない存在だった。オオイヌノフグリは寒い冬の方がお好みらしい。葉の表面にはぶつぶつ(のように見える毛穴)が目立つ。網状脈(もうじょうみゃく)と呼ばれる細かい葉脈が明瞭にあったらホトケノザ(仏の座)ヒメオドリコソウ(姫踊子草)の葉だろう。

オオイヌノフグリの発芽(5株) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/10/11

#オオイヌノフグリの発芽(5株) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/10/11

コゴメイヌノフグリ、オオイヌノフグリ、イヌノフグリの発芽 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/07

#コゴメイヌノフグリ、#オオイヌノフグリ、#イヌノフグリの発芽 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/07

生えて間もないオオイヌノフグリ 茅ヶ崎市萩園 2019/12/26

生えて間もないオオイヌノフグリ 茅ヶ崎市萩園 2019/12/26

直立せずに匍匐する。成長するとたちまち子葉(しよう、双葉)は朽ちてなくなる。子葉が傷まずいつまでも目立つ存在としてしっかり残っていたらばフラサバソウ(フラサバ草)の疑い。フラサバソウはオオイヌノフグリよりは直立し、(特に葉柄(ようへい)で)毛が多め。

オオイヌノフグリの匍匐する姿 茅ヶ崎市萩園 2019/12/26

オオイヌノフグリの匍匐する姿 茅ヶ崎市萩園 2019/12/26

オオイヌノフグリの葉 茅ヶ崎市萩園 2018/11/21

オオイヌノフグリの葉 茅ヶ崎市萩園 2018/11/21

オオイヌノフグリの葉と茎の特徴 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/01/29

オオイヌノフグリの葉と茎の特徴 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/01/29

通常の人間目線では気にも留まらないが、葉をめくって確認すると茎など全草に粗(あら)い毛が多いことがわかる。

オオイヌノフグリの毛が多い茎や葉 茅ヶ崎市萩園 2018/11/21

オオイヌノフグリの毛が多い茎や葉 茅ヶ崎市萩園 2018/11/21

春を過ぎて茎が長く成長したオオイヌノフグリ 茅ヶ崎市浜之郷 2019/05/11

春を過ぎて茎が長く成長したオオイヌノフグリ 茅ヶ崎市浜之郷 2019/05/11

オオイヌノフグリはイヌノフグリを絶滅目前に追いやっている犯人とされている。

オオイヌノフグリの花

花色はときに紫っぽいもの、やや淡い赤紫やピンクっぽいもあるが、ふつうは青系。

オオイヌノフグリ 鎌倉市・海蔵寺 2019/02/01

#オオイヌノフグリ 鎌倉市・海蔵寺 2019/02/01

オオイヌノフグリ 鎌倉市・海蔵寺 2019/02/01

#オオイヌノフグリ 鎌倉市・海蔵寺 2019/02/01

オオイヌノフグリ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/01/29

オオイヌノフグリ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/01/29

オオイヌノフグリ 藤沢市・川名清水谷戸 2016/02/08

オオイヌノフグリ 藤沢市・川名清水谷戸 2016/02/08

イヌノフグリ、外来種で帰化種のタチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)やフラサバソウとの見分けが難しいとよくいわれるが花さえ咲いていればそのようなことはなく、一般の人が目にして記憶しているものは決まってオオイヌノフグリ。他の三種は各段に花が小さいので、注意力がよほど優れているかしゃがみ込んでよくよく観察しない限りはとても人目に留まるものでない。

オオイヌノフグリ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

オオイヌノフグリ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

ごく希に、オオイヌノフグリの白花らしきものに遭遇することがある。花全体の色素が抜けて純白になったのではなく、青ないし青紫色の条(すじ)は残っている。またよく見れば花全体がうっすら青ないし青紫色を帯びていたりいなかったりする。つまり、地色の青が薄くなって白っぽく変化したものである。このシロバナオオイヌノフグリの花には奇妙な指摘がいくつかある。まず目撃例が農地(畑)周辺に偏っていること。つい先日まで白花なんかまったくなかった場所に突如出現すること。通常の青花に比べてやや小さめな花が多いこと。花弁(のように見える花冠の裂片)の間に隙間ができ、まるでフラサバソウの花のような姿になるものが現れること。同一の株に、通常に近いほぼ青花と白花が同居することがあること。突然変異と考えるには、その一帯でまとまって複数の個体が同時に変異しており不自然。などである。このようにオオイヌノフグリの花が白くなった原因は、除草剤が撒かれたためだろうと推察される。数日後に同所を改めて確認してみれば、周辺の他の雑草も含めて不自然に枯死したものが現れているに相違ない。ナガミヒナゲシ(長実雛芥子)あたりの花も形状や色に異変が出ているはずである。

オオイヌノフグリ(左側の青花群)と脱色オオイヌノフグリ(右側の白花群) 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

オオイヌノフグリ(左側の青花群)と脱色オオイヌノフグリ(右側の白花群) 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

脱色オオイヌノフグリの群生 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

脱色オオイヌノフグリの群生 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

アリの巣に生えた脱色オオイヌノフグリ、白いほど花が小さい傾向 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

アリの巣に生えた脱色オオイヌノフグリ、白いほど花が小さい傾向 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

脱色オオイヌノフグリ 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

脱色オオイヌノフグリ 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

脱色オオイヌノフグリ 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

脱色オオイヌノフグリ 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

花冠の隙間が空いた脱色オオイヌノフグリ 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

花冠の隙間が空いた脱色オオイヌノフグリ 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

オオイヌノフグリの同一個体に咲いた、ほぼ正常に近い青花とほぼ白花 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

オオイヌノフグリの同一個体に咲いた、ほぼ正常に近い青花とほぼ白花 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

脱色オオイヌノフグリ、オオイヌノフグリ、紫花オオイヌノフグリの比較 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

脱色オオイヌノフグリ、オオイヌノフグリ、紫花オオイヌノフグリの比較(別個体) 茅ヶ崎市西久保 2019/04/17

夏に入っても咲いているものがある。

まだ咲いているオオイヌノフグリ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/26

まだ咲いているオオイヌノフグリ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/26

今年はまだ咲いているものをちらほら見かける異常化した?オオイヌノフグリ 二宮町・二宮果樹公園 2021/06/18

今年はまだ咲いているものをちらほら見かける異常化した?オオイヌノフグリ 二宮町・二宮果樹公園 2021/06/18

梅雨にも咲いているオオイヌノフグリ 中井町雑色 2022/06/21

梅雨にも咲いているオオイヌノフグリ 中井町雑色 2022/06/21

梅雨明け後の気温30℃超でも半日陰で咲いていたオオイヌノフグリ 鎌倉市・永福寺跡遊歩道 2021/07/19

梅雨明け後の気温30℃超でも半日陰で咲いていたオオイヌノフグリ 鎌倉市・永福寺跡遊歩道 2021/07/19

オオイヌノフグリの実

イヌノフグリとはイヌの陰嚢(いんのう)のこと。実の形状が名前の由来。オオイヌノフウグリの実もおおよそ同様の姿をしている。

オオイヌノフグリの実 茅ヶ崎市浜之郷 2018/05/12

オオイヌノフグリの実 茅ヶ崎市浜之郷 2018/05/12

春先には背丈が5cmとか10cmくらいのものだったはずも、いつのまにやら茎が50cmくらいに伸びているものがあって驚かされる。他の雑草にまみれて地面を這っているので(花が咲いている時期から)茎が長いことに気づかない。

標準的と思われるオオイヌノフグリの長く伸びた茎 寒川町田端 2020/04/11

標準的と思われるオオイヌノフグリの長く伸びた茎 寒川町田端 2020/04/11

花期終わりの徒長したオオイヌノフグリ 茅ヶ崎市浜之郷 2018/05/12

花期終わりの徒長したオオイヌノフグリ 茅ヶ崎市浜之郷 2018/05/12

左右一対の袋の中には小さな種子がおよそ十から二十個入っている。

オオイヌノフグリの完熟した実 茅ヶ崎市浜之郷 2018/05/25

オオイヌノフグリの完熟した実 茅ヶ崎市浜之郷 2018/05/25

オオイヌノフグリの完熟した実と種子 茅ヶ崎市浜之郷 2018/05/25

オオイヌノフグリの完熟した実と種子 茅ヶ崎市浜之郷 2018/05/25

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

イヌノフグリ

タチイヌノフグリ

フラサバソウ

コゴメイヌノフグリ

クワガタソウ

『オオイヌノフグリ』へのコメント

  1. ソノベ トオル 投稿日:2022/07/14(木) 13:47:08 ID:18e15bd76 返信

    イヌノフグリを育てています。
    ホームの上部の写真(入れ替わる部分)にオオイヌノフグリがありますが、
    花弁が一つ足りないように見えます。
    あえて選んだのか、よくある事なのか気になりコメントしました。
    このような異形はイヌノフグリ、フラサバソウ、オオイヌノフグリ、タチイヌノフグリで見つかります。 珍しいと喜んで良いのか、心配が必要なのか悩みます。

    綺麗な花の綺麗な写真は見ごたえがあり、イヌノフグリのページもよく読ませていただいてます。

    • mirusiru.jp 投稿日:2022/07/15(金) 12:19:27 ID:7ec3cafa6 返信

      …本当だ!
      まさかと思われるかもしれませんが、言われて初めて気がつきました。ホーム上部の写真(差し替える手が回らず、夏になった今でも1月・2月の花が表示されているもの)は、千回以上は私自身の視界に入っているはずなのですが、今の今までまったく気づいておりませんでした。花弁が一つ足りない?え?なに?と画像を凝視してびっくり、…本当だ。笑 私の目は節穴なのですが、ここまでとは驚きました。怖い怖い…。

      >あえて選んだのか、よくある事なのか気になりコメントしました。

      あえて選んだわけでも、よくある事でもない、という結論でした。お恥ずかしい限りです。撮影時にまったく気づかなかった⇒何の疑いもなく編集・掲載⇒何の疑いもなくそのまま今に至ったようです。ご指摘いただけてよかったです。盲点にすぽっとはまったまんま永久に気づかないままだった疑いが濃厚です。ありがとうございました。

      花弁の枚数についてですが、私自身は”たいして気にしていない”のが正直なところです。オオイヌノフグリに関しては花弁数は変化が少なく、ちょっとやそっと探したところでご指摘の三枚花には出くわさないはずなので、珍しいのではないかという気がしております。が、やすやすと花弁数が変異する植物もざらにあります。”珍しいと喜んで良いのか、心配が必要なのか”は、植物の種類によるのではないでしょうか。そこここに花弁の枚数が異なるオオイヌノフグリの花がたくさん咲いている、となれば異常事態ですよね。種子を採取し、子も同じ性質を持つのか、とかちょっと調べたくなるほどに。県立博物館の学芸員さんに”妙なもん見つけたで”とタレコミしてちょっと深く探りたくもなるかもしれません。ごく希に見つかる、という程度でしたら”まあそういうこともあるだろう”くらいの話で私は受け流してしまっています。

      なぜ花弁の枚数が変異するのか、という高度な疑問は他の方のお話を考になさってください。メカニズムは、私はぜんぜん存じません。
      例)日本植物生理学会 みんなのひろば 「桜の花弁の数について」
      https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=0675
      例)日本植物生理学会 みんなのひろば 「クチナシの花弁の数」
      https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=3787

      また何がお気づきでしたらお気軽にご指摘ください。現物をよく観察されている方の目が一番信用できます。『神奈川県植物誌2018』でさえ”アレ?おかしくないか?”と感じる記載がちょこちょこ見つかるような有様ですから、このサイトが掲載している内容なんて知れたレベルです。宜しくお願いします。

  2. 里山ライフ 投稿日:2020/04/08(水) 21:29:54 ID:9174e64aa 返信

    帰化植物で「いたるところで雑草化」していますが、
    群落化した存在では、可憐ながらも鮮烈な「青い花」が満ち満ちて、圧倒されるほどの美しさを見せてくれます。
    わが家にも(野鳥を介して)自然発生しますが、
    直射日光が当たり続けるような「ひなた」の環境に、自生し、繁茂しています。
    あまりに美しく、壮観なので、自由勝手にさせていますが(草丈が数㌢ほどで、たちまち倒伏し匍匐して生長するので)さほど目障りな存在にならず、(ガーデニング用途では)ありがたい野草です

    当地(那須烏山市)では、
    真冬日になるような1月でも中旬頃には「他の花卉に先駆けて開花」し始めます。
    殺風景な冬の庭に「彩り」をもたらしてくれる貴重な存在です。
    厳冬中であっても日差しに恵まれれば開花します。
    一日花ですが、たくさんの蕾をつけ、順次に開花し続け、5月下旬頃まで花が絶えずに楽しめます。
    繁殖力が旺盛で生命力も強いので、一切の手入れは無用です(踏圧には「儚い」ようなので、開花期には立ち入らないようにしています)。
    日照が低下し多湿になる梅雨時に「枯れ始め、地上部は消滅」していきますが、秋には発芽し、寒気とともに生長し、再び繁茂するので、年間を通じて手間いらずです。
    ガーデニングでの好適な種との思いですが、在来種にとっては脅威の存在のようです。