姫踊子草 シソ目/シソ科/オドリコソウ属 花期/12月~4月
学名(ヒメオドリコソウ)/Lamium purpureum L.
〃 (シロバナヒメオドリコソウ)/Lamium purpureum L. form. albiflorum Goiran
外来種駆除
ヒメオドリコソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/02/20
ヨーロッパ原産の一年草(越年草)。道端に、空き地に、畑周辺に、どこにでも大量に生えてくる帰化雑草で、よく群生する。春の花とされているが、初冬から開花が見られるため冬を代表する花である。近似種ホトケノザ(仏の座)と花期がほぼ同じで雰囲気も似ておりよく混同される。混生はあまりせず群落ごとに棲み分けようという気持ちは伝わってくるが、たまに交わる。
ヒメオドリコソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/02/20
ヒメオドリコソウの群生 茅ヶ崎市浜之郷 2018/03/23
ヒメオドリコソウはホトケノザと同属で、葉の表面に網状脈(もうじょうみゃく)と呼ばれる網の目状の細かい葉脈がしっかり入って見える点は同じ。ただし、ヒメオドリコソウの方が明らかに網状脈は細かい。冬から初春にかけて網状脈がある雑草の葉はおそらくこの両者のどちらかで、網状脈がなければオオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)やその仲間の葉か。ヒメオドリコソウの葉には細かい毛が密生しており、触るとふかふか(ホトケノザのざらざら程度の毛)。葉の縁(ふち)は僅かに裏側に反り気味なもの多い。鋸歯は小さめで毛にも隠れがちなためやや不明瞭に見えるかもしれない(鋸歯の数が少なくて粗く、深めに切れ込んでいればホトケノザ)。葉が大きくなるにつれ、より縦長な三角形になり、先端は尖り気味になる(ホトケノザは丸っこい形状の葉も目立つ)。茎上部の葉は、真上から見ると葉柄(ようへい)がないように見えないでもないが、真横から確認すればしっかり長い葉柄を備えているのがわかる(ホトケノザの茎上部の葉は無柄(むへい))。
若いヒメオドリコソウの葉 鎌倉市扇ガ谷・海蔵寺道 2019/02/01
開花前の若いホトケノザとヒメオドリコソウの葉の違い 茅ヶ崎市浜之郷 2019/12/25
ヒメオドリコソウとホトケノザの雑種起源と考えられているモミジバヒメオドリコソウ(紅葉葉姫踊子草)なるものあり。別名キレハヒメオドリコソウ(切葉姫踊子草)。全体的な雰囲気はヒメオドリコソウのようでありながら、何か変と感じたら本種の疑い。葉には大きめの切れ込みが入ったりして、両者の中間種的な様相を帯びる。神奈川県内には広まっていないようなので見かける機会はまずないか。
日本在来の近似種オドリコソウ(踊子草)は神奈川県内では北部や西部にはあるようだが、相模川以東の湘南・鎌倉・三浦半島ではほとんど見かけない。
ヒメオドリコソウの花
ホトケノザは紫、ヒメオドリコソウはかわいらしいピンク色。花筒(かとう)部はさほど長からず、従って花がぴーんと高く立ち上がっているようにはあまり見えないだろう。
ヒメオドリコソウ 大磯町・高麗山公園 2017/01/19
葉を折りたたむタイプのヒメオドリコソウ 茅ヶ崎市・湘南タゲリ米の里 2015/12/02
暖秋・暖冬だった平成30年(2018)-同31年(2019)は、ホトケノザは年末から咲いていたのだが、ヒメオドリコソウの開花は一月中旬まで遅れた。その翌年も同様にヒメオドリコソウだけ咲き遅れた。どうやらヒメオドリコソウの方が本格的な寒さを好む植物らしい。また初春、テントウムシ(天道虫)も這い出てくるようなぽかぽか陽気が続くとホトケノザよりも早く傷みやすい。
霜に覆われてもへっちゃらなヒメオドリコソウ 鎌倉市山崎・谷戸の池入口 2019/02/07
#シロバナヒメオドリコソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2019/01/25
シロバナヒメオドリコソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2018/03/23
#シロバナヒメオドリコソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/02/12
軽く運動すると汗ばむ陽気になってきたら、病気にかかったように葉に白斑が出てきて傷んで終わり。他の雑草が青々と茂ってくればそれに埋もれて腐って消える。
ヒメオドリコソウの花期終わり(青花はタチイヌノフグリ) 大磯運動公園 2016/04/16
一面が「ピンク色」に染まった休耕田があり、その壮観さに魅了されました。
車を止め、間近に寄ってみると「ヒメオドリコソウ」が繁茂した結果でした。
わが家の庭でも野鳥を介して出現し、たちまちに繁茂します。
> 軽く運動すると汗ばむ陽気になってきたら、病気にかかったように葉に白斑が出てきて傷んで終わり。他の雑草が青々と茂ってくればそれに埋もれて腐って消える。
抜群の繁殖力に加え、「種の存続」摂理(種子の散布、休眠と発芽力)も驚異的なので、翌早春には「たやすく復活」し大群落です。
田畑では緑肥(草肥)として有用ですが、一般家庭の庭では「厄介もの」かもしれません。