フラサバソウ

フラサバ草 シソ目/オオバコ科/クワガタソウ属 花期/1月~4月
学名/Veronica hederifolia L.

外来種駆除

フラサバソウ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

フラサバソウ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

乾燥しない草地、林縁部や道端などに生えるヨーロッパ原産の一年草(越年草)。帰化雑草である。誰もが知っているオオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)の仲間で、花が遙かに小さく(感覚的にいえば四分の一の大きさ)、葉などに長い毛がよく目立つもの。ツタバイヌノフグリ(蔦葉犬の陰嚢)、ツタノハイヌノフグリとも。湘南・鎌倉・三浦半島では三浦半島の農地周辺で特に多く見かけるか。

生えている場所は、草地、畑の周囲、道端など、どこでも。明るい日陰でもよく茂る。春先はまだ他の雑草がほとんど出現していないため、小型なフラサバソウでも十分に茂ることができている。単独でも生えるが、コハコベ(小繁縷)のような様子になって群生もする。

フラサバソウの若葉 茅ヶ崎市東海岸南 2019/02/26

フラサバソウの若葉 茅ヶ崎市東海岸南 2019/02/26

葉ははじめ対生、茎上部では互生に変わる(イヌノフグリの仲間に共通した性質)。茎下方になるほど葉柄(ようへい)が伸び、葉身よりも長くなる。オオイヌノフグリに類似する形状ながら鋸歯は少なく、若葉のうちは片側一個、成長した葉では片側二個がふつう。子葉(双葉)が傷まずずっと残ってよく目立つのも大きな特徴。

フラサバソウの若葉 茅ヶ崎市東海岸南 2019/02/26

フラサバソウの若葉 茅ヶ崎市東海岸南 2019/02/26

フラサバソウ 三浦市・小松ヶ池周辺 2018/03/03

フラサバソウ 三浦市・小松ヶ池周辺 2018/03/03

日当たりがよくない場所のため葉の緑色が濃いフラサバソウ 三浦市・小松ヶ池周辺 2018/03/03

日当たりがよくない場所のため葉の緑色が濃いフラサバソウ 三浦市・小松ヶ池周辺 2018/03/03

フラサバという変な名前は、もちろん”しめ鯖(さば)”とは何の関係もなく、『日本植物目録』を著(あらわ)したフランスのアドリアン・ルネ・フランシェ(Adrien René Franchet)とポール・アメデ・ルドヴィック・サヴァチェ(Paul Amédée Ludovic Savatier)の両名に因む。フランシェとサヴァチェでフラサバ。どこぞのファッションブランド風に”フランシェ&サヴァティエ”とか”フランシェサバチェ”とした方が女子に喜ばれただろうに。サヴァチェは横須賀製鉄所の医官として勤務する傍ら、神奈川県内の植物を採取し標本を母国に送った人物。フランシェはそれを鑑定した植物学者。本種はその『日本植物目録』に掲載があったが、長らく実物が確認できない幻の草だったのだとか。つまりは、横須賀製鉄所のフランソワ・レオンス・ヴェルニー(Francois Leonce Verny)等が母国フランスから(意図せずに)持ち込んでしまったものといえるのではないか。※フラサバソウの発見と献名の経緯は『改訂新版 日本の野生植物 5』に掲載あり。

毛深いイヌノフグリの仲間は他にコゴメイヌノフグリ(小米犬の陰嚢)があるので注意。花色は白。

フラサバソウの花

人がてくてく歩きながら足元に目を向けるとなにやら青色っぽい小さな花が‥、と認識できるのはオオイヌノフグリまで。それより格段に小さいフラサバソウはしゃがみ込んでじっくり観察でもしない限りそこに花が咲いていることにさえ気づかないかもしれない。それくらい小さい花。花色は淡い紫と薄ピンク色の中間といったところ。青っぽいもの、ピンクっぽく感じられるもの、個体差がある模様。ピンクっぽい花色のものは、サイズ感もだいたい同じな在来種のイヌノフグリと紛らわしいが、フラサバソウの花弁(花冠の裂片)と花弁の間には明確な隙間ができることを捜索の第一の頼りとしたい。フラサバソウは、ぱっと見でよく毛が目立ち、葉に入る鋸歯の数が少ない(片側二個が多い)、という二点も考慮すれば見分けはしっかりできるだろう。イヌノフグリは絶滅が危惧されるほどの稀少種なので、身近なそこここで群生していたらフラサバソウを疑ってまず間違いない。イヌノフグリの仲間なので、日陰になったり曇ったりして薄暗くなると花は閉じる。

フラサバソウ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

フラサバソウ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

フラサバソウ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

フラサバソウ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

フラサバソウの特徴 三浦市・小松ヶ池周辺 2018/03/03

フラサバソウの特徴 三浦市・小松ヶ池周辺 2018/03/03

フラサバソウとオオイヌノフグリの大きさの比較 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

フラサバソウとオオイヌノフグリの大きさの比較 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/11

ほぼ白花に見える極薄青紫に青紫色の条(すじ)が入ったフラサバソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2019/04/07

ほぼ白花に見える極薄青紫に青紫色の条(すじ)が入ったフラサバソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2019/04/07

他に、タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)も似ているが、タチイヌノフグリは茎が直立して葉が細長く尖り気味に見える明確な違いがある。

フラサバソウの実

イヌノフグリと同様の玉二つ形の実ができるが、ぱんぱんに膨らみすぎるので玉二個の境が不明瞭に。なお大きな萼にしっかりと梱包されているので、ぱっと見は実があるのかどうか見えない。

フラサバソウの未熟な実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/03/09

#フラサバソウの未熟な実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/03/09


横須賀市・小松ヶ池公園周辺(西口階段途中、京急久里浜線沿道=跨線橋下東、カワヅザクラのついでに)、大船フラワーセンター、二宮町・せせらぎ公園

参考資料

『改訂新版 日本の野生植物 5』 大橋広好・門田裕一・邑田仁・米倉浩司・木原浩編 平凡社発行(2017)

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イヌノフグリ

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