苔竜胆 リンドウ目/リンドウ科/リンドウ属 花期/4月中旬~5月 結実期/5月中旬~6月上旬
学名/Gentiana squarrosa Ledeb.
自生種稀少保護
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧II類」
コケリンドウ 三浦市 2023/05/10
山地や丘陵地の尾根および海岸の日当たりの良い芝地に生えるという小型な一年草(越年草)。リンドウの仲間で春咲きするものはハルリンドウ(春竜胆)・フデリンドウ(筆竜胆)・コケリンドウの三種があるが、フデリンドウとコケリンドウはかなりちっちゃくてちんちくりんである。まるで苔のように小さいのでこの名があるが、苔の仲間ではない。草丈は、たいへん立派に成長を遂げた巨株で高さ10cm、小さいものでは高さ2cmくらいしかない。一般的な綿棒が長さ7.8cmなので、それかそれを半分に折って立てた程度のサイズ感である。小さすぎて、歩いている人の目線からは(花が咲いていたとしても)そこにあるとは気づきえず、平気で踏みつけて行ってしまうに違いない。まさに苔を探すがごとく目ん玉かっぴらいて足元を凝視し続け探索してはじめて発見に至る極小の植物である。神奈川県内では丹沢を中心に分布があるがもとより自生地は限られているうえ、減少の一途という。三浦半島でも海水浴客などがやたらめったら入り込まないところの海岸風衝草地の際や釣り人が作った踏み跡に、群落は作らず点々と散在していることがある。多少は踏まれてもへこたれないみたい。
コケリンドウが生える海岸草地 三浦市 2023/05/10
海岸草地の際に生えたコケリンドウ(白色矢印) 三浦市 2023/05/10
海岸草地の際に生えたコケリンドウ 三浦市 2023/05/10 ※クリックで大きな写真(3024×2012)
海岸草地の中に生えたコケリンドウ 三浦市 2023/05/10
海岸草地の際に生えたコケリンドウ(比較の黄花はミヤコグサ) 三浦市 2023/05/10
コケリンドウの育ちの悪い小さな個体(白色矢印も) 三浦市 2023/05/10
コケリンドウとフデリンドウでは茎が分岐する位置が違うとかいうが、余計混乱するだけなので忘れた方がよい。
コケリンドウの大株の草姿 三浦市 2023/05/25
コケリンドウの花
茎の頂上に花を一個付ける。真上を向いて咲き、花色はやや薄い青。花径9mm。小さくて目立たないが、昼に直射日光が強く当たると花色が白飛びしてしまって尚更目立たない。
コケリンドウ 三浦市 2023/05/10
コケリンドウ 三浦市 2023/05/10
開花中のコケリンドウの萼片は先端が軽く反って開く。ハルリンドウとフデリンドウの萼片は開かない。
コケリンドウの萼 三浦市 2023/05/10
コケリンドウの実
コケリンドウの実 三浦市 2023/05/10
コケリンドウの実 三浦市 2023/05/10
梅雨(6月)の間に消滅するものと思われる。
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
横浜市金沢区・富岡西公園
#光則寺