鴨の嘴 イネ目/イネ科/カモノハシ属 花期/6月 結実期/7月
学名/Ischaemum aristatum L. var. crassipes (Steud.) Yonek.
自生種稀少保護
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IB類」
開花中のカモノハシ 三浦市 2023/06/21
主に海辺の草地や砂地(砂浜)に生える多年草。名は、一本に見える直立した穂はじつは二本が密着したもので、これが鳥のカモの嘴(くちばし)に見立てられたもの。そういう珍妙な植物があるよと知っていないと、よく見る感じのイネ科の雑草にしか感じられず無視して通り過ぎてしまうだろう。神奈川県内では三浦半島の沿岸部に分布があるも少ないらしい。半島西側のとある自生地では(砂浜ではなく)海岸草地と磯の境目を中心にそこかしこに大量に生えており、まさにどうということのない雑草。軟弱な印象もない。観音崎とか城ヶ島とかそういった雰囲気の海辺にいくらでも生えていそうなものなのだが、絶滅危惧種。湘南・鎌倉にはない。草丈は、人の膝(ひざ、高さ50cm)下から、ひょろっと1mくらいになるものまで様々。
海岸風衝草地に生えたカモノハシ 三浦市 2023/06/21
海岸草地と磯の境に生えたカモノハシ 三浦市 2023/06/21
開花中のカモノハシ 三浦市 2023/06/21
茎(イネ科の植物の茎は稈(かん)という)の節は無毛。
カモノハシの茎と茎生葉 三浦市 2023/06/21
カモノハシの葉 三浦市 2023/06/21
カモノハシ 三浦市 2023/06/21
カモノハシの古株 三浦市 2023/06/21
カモノハシの花
花が咲くといってもイネ科の植物なので蕊をちょろっと出すのみ。雌性先熟(しせいせんじゅく)。穂が毛で覆われていないこと。穂は自然な状態では前述の通り一本にしか見えないが、人為的に真っ二つに割ることができる。
カモノハシの毛で覆われていない穂 三浦市 2023/06/21
カモノハシの二つに割れる穂 三浦市 2023/06/21
カモノハシの雌性期 三浦市 2023/06/21
カモノハシの雌性期 三浦市 2023/06/21
カモノハシの雌性期 三浦市 2023/06/21
カモノハシの雌性期から雄性期への転換期 三浦市 2023/06/21
カモノハシの雄性期 三浦市 2023/06/21
近似種にケカモノハシ(毛鴨の嘴)なるものあり。穂が(特に雄性期(ゆうせいき)以降に目立って)毛で覆われている。
カモノハシの実
魚の骨格標本みたいな姿の実ができる。ケカモノハシの実はもっしゃもしゃの毛に覆われていて形状が把握できない。
カモノハシの熟した実 三浦市 2023/06/21
カモノハシの二つに割れる穂 三浦市 2023/06/21
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)