狐の剃刀 クサスギカズラ目/ヒガンバナ科/ヒガンバナ属 花期/7月下旬~8月 結実期/10月中旬~11月上旬
学名/Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea
有毒自生種稀少保護
キツネノカミソリ 東京都日野市・東光寺緑地 2019/08/07
丘陵地の主に日当たりの良くない乾燥しない林内に生える多年草。半日陰の林縁部などにも。他の雑草にまみれてあったり、道端にぽつんと生えていたり、生育環境は様々。ヒガンバナ(彼岸花)の仲間であるが、花はユリ(百合)っぽいと感じるかも。珍妙な名前は、葉の形状が(かなり無理があるように思えるが)剃刀に喩(たと)えられたもの。なぜキツネなのかは不明。花が咲くときに葉が消えていることからキツネに化かされたようだという説も。じつはキツネが冬毛を落とすときこの葉に体を擦(こす)らせて換毛させているのだ、なんていう目撃情報が得られたらおもしろい。その後にキツネっぽい色味の花が咲くこととも合わせて、名前の由来がすっきり解決するのであるが。湘南・鎌倉・三浦半島では広い範囲に分布はあるも自生地は少ない。環境良ければ(密生はせず)まばらに群生する。
草地に生えたキツネノカミソリ 鎌倉広町緑地 2017/08/24
草地に生えたキツネノカミソリ 鎌倉広町緑地 2017/08/24
キツネノカミソリの群生 東京都日野市・東光寺緑地 2019/08/07
葉は春(3月)に出るとされているが、湘南・鎌倉・三浦半島では11月から葉を展開し始めるものも。この葉は初夏には枯れるらしい。花が咲く頃には葉は既にない。
キツネカミソリの葉芽 葉山町上山口 2017/11/12
#キツネノカミソリの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/02/07
近似種にムジナノカミソリ(狢の剃刀)、中国原産タヌキノカミソリ(狸の剃刀)なるものもある。
キツネノカミソリの花
ヒガンバナと同様に地面から一本の花茎(かけい)を伸ばし、その上部で放射状に四個程度の花を咲かせる。花色は黄赤色(きあかいろ)、一般的には朱色とかオレンジ色とかいわれる。草丈は人の膝(ひざ)下程度。
キツネノカミソリ 東京都日野市・東光寺緑地 2019/08/07
雄蕊が明らかに長く突き出ていたら変種オオキツネノカミソリ(大狐の剃刀)。湘南・鎌倉・三浦半島にはない。花色が淡めのピンクだったら園芸栽培される中国原産のナツズイセン(夏水仙)か。ただしヒガンバナ属を意味するリコリス(Lycoris)の名で呼ばれる似たような外来種は他にもあるので精査が必要。
キツネノカミソリの実
ヒガンバナとは違ってしっかり結実する。初秋、実は緑色ながら中に熟した黒色の種子をいくつか収めているだろう。
キツネノカミソリのほぼ熟した実 東京都日野市・東光寺緑地 2019/10/20
キツネノカミソリのほぼ熟した実と種子 東京都日野市・東光寺緑地 2019/10/20
横浜市戸塚区・#俣野別邸庭園(山野草の小径)
葉山町上山口、獅子舞、#光則寺(墓地入口)、鎌倉広町緑地、高麗山公園
近所の市民の森で、少ないながら開花します。
咲く場所を特定しているので、毎年、楽しみに分け入ります。
部分的には、縄張りをして守られているので、盗掘を防いでいるのでしょう。
心無い人がいるようです。