ジンジソウ

人字草 ユキノシタ目/ユキノシタ科/ユキノシタ属 花期/10月
学名/Saxifraga cortusifolia Siebold & Zucc.

稀少

神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IB類」

ジンジソウ 箱根湿生花園・企画展 2023/10/30

#ジンジソウ 箱根湿生花園・企画展 2023/10/30

山地の湿りがちな岩場に生える多年草。名は、下向きの花弁二枚が細長く、”人”という漢字に見立てられたことから。同じ秋咲きの近似種ダイモンジソウ(大文字草)と対比させた名前だろう。日本固有種。神奈川県内では永らく分布が不明であったが、平成28年(2016)に西丹沢(山北町世附(よづく))で自生が確認された。湘南・鎌倉・三浦半島に自生なし。栽培されることもなく、植物園の”秋の山野草展”で見かけることがあるくらい。涼しい山地に生える植物なので、神奈川県南部の蒸し蒸しした最高気温35℃を超える暑い夏が問題。風通しが良く、かつある程度高い湿度を維持し、乾燥させず、直射日光に当てず、という条件で夏越しできるかどうか。栽培ものを見かける機会がぜんぜんないことから察するに、夏が来たら腐って溶けて終わりになる予感も。対してダイモンジソウは様々な園芸種がホームセンターなどでも出回っており、鎌倉の寺境内等で栽培されているものをちらほら見かける。

ジンジソウ 箱根湿生花園・企画展 2023/10/30

#ジンジソウ 箱根湿生花園・企画展 2023/10/30

ムラサキジンジソウの小株 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/13

#ムラサキジンジソウの小株 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/13

葉は深めに切れ込みが入り掌状(しょうじょう)になる。カエデ(楓)の葉のようだということで、別名モミジバダイモンジソウ(紅葉葉大文字草)。但し丸っこい葉もあるらしく、花が咲いていないとダイモンジソウとの見分けはちょっと難しいかもしれない。葉の色は緑色。赤みが強い(自然状態である)品種はムラサキジンジソウ(紫人字草)といい、カラーリーフ(銅葉)の山野草として流通することがある。

ジンジソウの葉 箱根湿生花園・企画展 2023/10/30

#ジンジソウの葉 箱根湿生花園・企画展 2023/10/30

ムラサキジンジソウの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/13

#ムラサキジンジソウの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/13

ムラサキジンジソウの葉裏 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/09

#ムラサキジンジソウの葉裏 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/09

ジンジソウの花

上向きの花弁三枚は小さく、丸みを帯びた三角形(おにぎり形)で、黄色の斑点が入る。雄蕊は十本、葯(やく)はオレンジ色っぽい赤色。花の見た目は春咲きのハルユキノシタ(春雪の下)に似ているが、ハルユキノシタは花期と葉の形状が大きく異なる。

ジンジソウ 箱根湿生花園・企画展 2023/10/30

#ジンジソウ 箱根湿生花園・企画展 2023/10/30

ムラサキジンジソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/12

#ムラサキジンジソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/12

ムラサキジンジソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/12

#ムラサキジンジソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/12

ムラサキジンジソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/12

#ムラサキジンジソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/12

ムラサキジンジソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/12

#ムラサキジンジソウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/12

ムラサキジンジソウの萼 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/12

#ムラサキジンジソウの萼 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/12

同じ秋咲きのダイモンジソウは、上向きの花弁三枚は細長く、黄色い斑点はない。雄蕊の葯は赤色(赤紫色)。


#箱根湿生花園

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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