蒲 イネ目/ガマ科/ガマ属 花期/6月中旬~7月上旬 結実期/10月~11月
学名/Typha latifolia L.
薬用自生種保護
ガマ 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
湿地や耕作していない田んぼに生える大型の多年草。群生する。湘南・鎌倉・三浦半島には近似種のヒメガマ(姫蒲)やコガマ(小蒲)も分布があるが、中でももっとも太くがっちりした姿となる。草丈は2m前後で、ヒメガマと同様。湿地そのものが減少し、大型なのでよく繁茂すれば湿地を覆い尽くす目障りなものと化し、ガマなんかそこいらに生えているどうということのないものというイメージもまだ残っているだろう、保全すべきものとしての認識が高まっていないせいもあって滅多には見かけないものとなってきている。
#ガマが生えた湿地 鎌倉市・龍宝寺 2020/08/06
ガマの群生(後方の白綿は去年の実の残骸) 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの群生 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの群生 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの完熟して弾けた実 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24
葉は近似種に比べて幅広で、幅1.5~2cm。
ガマの葉 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの葉 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの葉 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの花
花期はヒメガマとほぼ同時で、コガマは遅れる。花序は二段構えで、上段が雄花序(長さ5~12cm)、下段(一般的にガマの穂と認識されるようになる部分)が雌花序(長さ10~20cm、幅0.6cm)。ヒメガマと違って、ガマの雄花序と雌花序の間は隙間なくぴったり隣接する。
ガマの露出した蕾 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマ 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの雄花と雌花 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの(上段)雄花と(下段)雌花の隙間が空かない境目 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
上段の雄花序は、蕾の頃は緑色で咲くと(ちょっと汚らしく見える)茶色に。花粉を放出し終えると花は落ち、雄花が付いていた茎だけが残骸として残る。なお花粉は、ヒメガマ、モウコガマ(蒙古蒲)、コガマと違って、四つの粒が”田”の字形にくっついている四集粒という特徴がある。顕微鏡で花粉の形状を確認できれば、特に混同しやすいコガマとの峻別が可能。
ガマの雄花 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの雄花 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
下段の雌花序は、緑色。受粉を終えて実となり熟してくると茶色に変色してくるようである。
ガマの雌花 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの茶色く変色してきた雌花 茅ヶ崎市行谷 2019/06/17
ガマの実
雄花の痕跡は茎の残骸を残してなくなり、雌花が熟して実ができる。茶色いウインナー形の円柱がいわゆるガマの穂である。ヒメガマより太くて立派なものができる(幅1.5~2.0cm)。穂は夏の間ずっとこのままあり、秋深まって弾け、種子を風で飛散させる。
ガマの未熟な実 鎌倉広町緑地 2019/07/21
ガマの未熟な実 鎌倉広町緑地 2019/07/21
ガマの実 三浦市・小網代の森 2017/08/29
熟すと穂が柔らかくなり、もわもわもわっと爆発するように綿が弾ける。これがガマの種子(のように見える個々の実)。タンポポ(蒲公英)と同様、種子に冠毛が付いたもの。
ガマの弾き始めた実 茅ヶ崎市行谷 2018/10/20
ガマの弾き始めた実 茅ヶ崎市行谷 2018/10/20
ガマの完熟して弾けた実 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24
ガマの完熟して弾けた実 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24
ガマの種子 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24
ガマの種子 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24
ガマの種子 茅ヶ崎市行谷 2018/11/25
茅ヶ崎市行谷・田んぼ(宝蔵寺の南向かい)
小網代の森、逗子市・名越緑地(法性寺東側の名越溜池)、鎌倉広町緑地(湿地はほぼヒメガマだがガマも少数混在、田んぼ奥の荒れ湿地に若干=近寄れない)、鎌倉市玉縄・谷戸池(滅失)、#遠藤笹窪谷公園(間近では見れない)、#新林公園
参考資料
『改訂新版 日本の野生植物 1』 大橋広好・門田裕一・邑田仁・米倉浩司・木原浩編 平凡社発行(2015)