青水 バラ目/イラクサ科/ミズ属 花期/9月下旬~10月上旬
自生種
アオミズ 鎌倉市・建長寺回春院 2019/10/03
日当たりのあまり良くない湿り気味な林床に生える一年草で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)の雌雄異花。一般の人にはシソ(紫蘇)の仲間に見えるだろうがシソではないイラクサ科の植物。名は、近似種のミズに比べて緑色が濃いものの意。ミズという名は水気を多く含んでいるため。全草ほぼ無毛なのでぱっと見はつるっとしており、また虫食いも少なく、きれいな姿を保っている。茎などは、赤みを帯びることがないわけではないが色薄く、基本的には深みのある緑色。草丈は人の膝(ひざ)くらいで、この手の植物としては中型。湘南・鎌倉・三浦半島では湿りがちな林床で普通種。群生することも。市街地になし。
アオミズ、周囲の大型なものはエゴマ 茅ヶ崎市・清水谷 2016/09/09
葉は対生。葉柄(ようへい)長め。葉の先端は尾状(びじょう)に伸びる。鋸歯は葉身基部近くまである。葉脈は三行脈(さんこうみゃく)がよく目立つ。主脈からはほぼ直角の角度で短い支脈があばら骨状に出る。見るからに山菜として食べられそうな柔らかそうできれいな葉であるが、(若いものを除いて)食用にされるという話を聞かない。灰汁(あく)が強いとか条(すじ)が硬いとか、食べられない何らかの理由があるのだろう。
アオミズの葉の特徴 茅ヶ崎市・清水谷 2016/09/09
山菜として食用にされるという話でアオミズといったらヤマトキホコリ(山時繁)という別種を指す。なおアカミズ(赤水)はヤマトキホコリに対してのウワバミソウ(蟒蛇草)のこと。ヤマミズ(山水)は近似種ながら明らかにちっちゃいもの。
アオミズの花
花は葉腋(ようえき)に付く。緑色なのが雌花、赤みを帯びているのが雄花、らしいが、小さすぎて見えぬ。
アオミズの蕾 茅ヶ崎市・清水谷 2016/09/09
アオミズ 鎌倉市・建長寺回春院 2019/10/03
アオミズ 鎌倉市・建長寺回春院 2019/10/03
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)