種漬花 アブラナ目/アブラナ科/タネツケバナ属 花期/3月~4月 結実期/4月~5月
学名/Cardamine occulta Hornem.
自生種
咲き始めでまだ実ができていないタネツケバナ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/19
田んぼ周辺などやや湿った場所に好んで生える一年草(越年草)。名は、イネ(稲)の種籾を水に漬けて発芽を促す”芽出し”をする時期に咲き始める花の意。神奈川県内でも田んぼある所で普通種。ただの水田雑草。鎌倉では谷戸(やと)深部がじめじめ湿った林床になっているところが多いので、タネツケバナも野草として生えている。なおタネツケバナの仲間は紛らわしい近似種が多くて見分けはちょっと厄介。
畦に生えるタネツケバナ 三浦市・小松ヶ池公園・池下 2018/03/03
大きさは個体差あるも、およそ草丈20cm強。タネツケバナの仲間としては普通サイズ。
タネツケバナ 鎌倉市・浄智寺谷戸 2019/03/14
タネツケバナの特徴
田んぼなど湿った場所に多く分布。
有毛。ただし毛の量は個体差大きい。
茎(の特に下部)は紫色を帯びる。
※全草緑色⇒オオバタネツケバナをまず疑いたい
頂小葉は側小葉より大きめ。側小葉は数多く、四対以上。
※全体小型で、葉がロゼット状の根生葉のみ⇒ミチタネツケバナ
※頂小葉は側小葉よりずば抜けて大きい⇒オオバタネツケバナ
種子の周囲に翼がない。
※全体小型で、翼あり⇒コタネツケバナ
田起こし前の田んぼに生えたタネツケバナ 寒川町田端 2020/03/06
タネツケバナ 寒川町田端・田んぼ 2020/03/06
咲き始めでまだ実ができていないタネツケバナ 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/19
咲き始めでまだ実ができていないタネツケバナ 葉山町・森戸川源流 2018/03/18
タネツケバナ 寒川町田端・田んぼ 2020/03/06
タネツケバナ 寒川町田端・田んぼ 2020/04/11
葉は、茎下部で丸っこく、茎上部になるにつれて細く変わる。
タネツケバナの葉 鎌倉市・浄智寺谷戸 2019/03/14
タネツケバナの葉の特徴 寒川町田端・田んぼ 2020/03/06
タネツケバナの(茎中間の)葉 二宮町・せせらぎ公園 2018/02/19
タネツケバナの毛(毛量多過ぎな個体) 寒川町田端 2019/03/05
タネツケバナの花
白花の小型ナノハナ(菜の花)といった感じの花を咲かせる。
タネツケバナ 寒川町田端・田んぼ 2020/03/06
タネツケバナ 寒川町田端・田んぼ 2020/03/06
タネツケバナ 寒川町田端・田んぼ 2020/03/06
タネツケバナ 三浦市・小松ヶ池公園・池下 2018/03/03
小型な株はユリワサビ(百合山葵)と、まだ実ができていないとナズナ(薺)とうっかり見間違える可能性あり。葉がまったく異なるが。
タネツケバナ 寒川町田端・田んぼ 2020/04/11
タネツケバナの実
タネツケバナの実 寒川町田端・田んぼ 2020/04/11
種子は周囲が翼(よく)で囲われていないこと。翼付きだったら外来種コタネツケバナ(小種漬花)である疑い。
タネツケバナの種子 寒川町田端・田んぼ 2020/04/11
サクラ(桜)咲く頃に田起こしが行われるのでタネツケバナは緑肥にされてしまっている可能性。
三浦市・小松ヶ池公園・池下、寒川町田端、清水谷、二宮町・せせらぎ公園
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『神奈川県植物誌2001』 神奈川県植物誌調査会編集 神奈川県立生命の星・地球博物館発行(2001)