タムラソウ

田村草 キク目/キク科/タムラソウ属 見頃/9月中旬~10月上旬
学名/Serratula coronata L. subsp. insularis (Iljin) Kitam.

自生種稀少保護

タムラソウ 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウ 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

林縁の半日陰の草地などに生える多年草。ぱっと見はアザミ(薊)の仲間。アザミと同じキク目キク科アザミ亜科ではあるがアザミ属には入れてもらえなかったのでアザミには分類されない。アザミではないほぼアザミは他にもゴボウ(牛蒡)、ベニバナ(紅花)、オヤマボクチ(雄山火口)など多数ある。名前の由来は不明。集合することを意味する屯(たむろ)に関係しているのではないかという意見があるようだが、よく枝分かれして意外と花序が多く付くからそうかもしれない。湘南・鎌倉・三浦半島にも分布はあるが滅多に見かけない。自生地は減少しているようで、人があまり入り込まない丘陵地などのひょんな場所にこっそりある程度。園芸栽培もされない。ほぼ同時期に見られるアザミの仲間のうち最も多いのはタイアザミ(大薊)

タムラソウ 箱根湿生花園 2017/10/01

タムラソウ 箱根湿生花園 2017/10/01

結構大型な野草で、全体的な姿は”かなり徒長(とちょう)している”と感じるほど茎を長くひょろひょろ伸ばして背高になり、草丈1mを超えて子供の背丈くらいにもなる。茎はさほど太くならないので暴風で傾き倒れやすく、すぐ荒れる。

タムラソウ 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウ 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウ 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウ 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウの最大の特徴は、とげとげいがいが感が一切ない柔らかな葉っぱ。葉を見ればアザミとの違いは一目瞭然である。鋭利な棘(とげ)はないので、針が手に刺さって痛いということはまったくない。表裏共にざらざら。花が咲く頃には、葉は虫食い被害がひどくてずたぼろになっているものがほとんど。

タムラソウの葉 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウの葉 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウの葉 箱根湿生花園 2017/10/01

タムラソウの葉 箱根湿生花園 2017/10/01

タムラソウの葉 箱根湿生花園 2017/10/01

タムラソウの葉 箱根湿生花園 2017/10/01

名前が紛らわしいアキノタムラソウ(秋の田村草)はアザミとはこれっぽっちもかすらないシソ科の完全な別種。

タムラソウの花

アザミの仲間同様の頭状花序。上向きに咲く。

タムラソウ(咲きかけ) 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウ(咲きかけ) 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウ(咲きかけ) 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウ(咲きかけ) 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウ 箱根湿生花園 2017/10/01

タムラソウ 箱根湿生花園 2017/10/01

総苞片は先端の小さな棘状の部分だけ起き上がるが、総苞片そのものが大きく反り返ることはない。触っても粘着性がないためべたつかない。

タムラソウの総苞 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウの総苞 横須賀市・塚山公園 2019/09/17

タムラソウの総苞 箱根湿生花園 2017/10/01

タムラソウの総苞 箱根湿生花園 2017/10/01

ノハラアザミ(野原薊)という、同様に秋咲きする上向きアザミがある。葉と総苞が異なる。


東京都文京区・#小石川植物園(分類標本園)、横浜市戸塚区・舞岡公園

塚山公園(中央広場休憩所周辺、周辺の雑草を丸刈りしているため台風等でよく倒れ傷む)、高麗山公園

箱根湿生花園(9月下旬~10月中旬)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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タイアザミ

ノハラアザミ

アキノタムラソウ