西洋昼顔 ナス目/ヒルガオ科/セイヨウヒルガオ属 花期/5月下旬~9月 結実期/6月下旬~10月
学名/Convolvulus arvensis L.
外来種稀少
外来生物法「要注意外来生物」(廃止)
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
道端や畑の周辺に生えるとかいう、ヨーロッパ原産の蔓性の多年草。日当たりの良い乾燥地を好む、帰化雑草である。元は観賞用に日本に持ち込まれたのだとか、輸入された農作物(のうさくぶつ)に種子が混入していたとかいう。農作物に巻き付いて被害を出す強害雑草として危険視され要注意外来生物にも指定されていたが、神奈川県内での分布は広い範囲にあるもののそこまで目の敵(かたき)にするほどの脅威はなかった模様。平成(1989-2019)以降は数が減ったようで、めっきり見かけなくなった。かつて輸入農作物を積んだ貨物列車が走ったJR(当時は国鉄)東海道本線沿いをくまなく探せば見つけられるかもしれない。そこいらの草地によく生えているのは近似種のコヒルガオ(小昼顔)ないしヒルガオである。よく混同される。本種はこれらより葉も花も小振りなため、別名ヒメヒルガオ(姫昼顔)とも。なお最近は新たな外来の園芸植物であるコンボルブルス・サバティウスがセイヨウヒルガオと呼ばれてしまうこともあるが、不適切。
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/07/10
葉は、ヒルガオやコヒルガオと形状は似た感じのものながら、より小さい。厳密には形も違うが、三種いずれも葉の形状には変異が大きいため、細かくは触れない。
セイヨウヒルガオの葉 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオの葉 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオの葉 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオの葉裏 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオの茎と葉と蕾 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオの花
雰囲気としてはコヒルガオに似るが更に小さく、花径は3cm程度。コヒルガオは約4.5cmなので、並べて比べるまでもなく小さいのがわかる。花色もさらに薄いピンク。人によってはほぼ白色と感じるかもしれない。ヒルガオおよびコヒルガオとは雌蕊の形状が異なっており、これらは雄蕊の葯が二つに割れたような見た目をしており、セイヨウヒルガオの雌蕊は先端が細くて長く二裂するのでYの字形に見える。但し咲き始めの花では蕊はきれいに広がっていない。芳香なし。
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオの細く長く二裂した雌蕊(白色の方) 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/07/10
ヒルガオおよびコヒルガオとのもっとわかりやすい違いは、苞(ほう、花に付随する葉)が付いている場所。ヒルガオおよびコヒルガオの苞は大きくて萼の直下に付いているため萼を完全に覆っており、従って苞が萼に見えてしまい、ふつうの人はそこに苞があることに気づかないような状態。セイヨウヒルガオの苞は萼より離れて下方に、極々小さなものではあるも一対確認できる。なお苞の腋(わき)から新たな柄(え、苞を伴う)が生え出ることあり。。
セイヨウヒルガオの苞(白色矢印) 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオの苞 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオ 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオの苞と萼 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/05/31
セイヨウヒルガオの実
苞より上部の果柄(かへい)がくいっとひん曲がって、実は下を向く。外観が茶色くなればおよそ熟しており、種子は四個以下らしいが、実見したものは三個入りが多かった。
セイヨウヒルガオの実 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/07/10
セイヨウヒルガオの未熟な実 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/07/10
セイヨウヒルガオのほぼ熟している実 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/07/10
セイヨウヒルガオの熟した実 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/07/10
セイヨウヒルガオの種子 鎌倉市・JR東海道本線沿い 2021/07/10
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)